- 投稿日:2023/12/19
- 更新日:2025/09/29

マンゴーとは
漆(うるし)の仲間
原産地がインドあたりと推測される熱帯果樹植物。原種では寿命が長く30年以上生きます。また、樹高が高く15mを超えます。栽培品種では10~15年を目安に植替え、樹高も1.5m程度に仕立て、栽培効率を高めています。
マンゴーを食べるときの注意
漆のかぶれ成分「ウルシオール」に似た「マンゴオール」を有しています。
マンゴーを食べて「唇や舌がヒリヒリする」「のどがかゆい」などの症状が出る場合は体質的に合わないので、残念ながらマンゴーを食すのは諦めましょう。
日本のマンゴー産地
✅宮崎県
→太陽のタマゴで有名な地域。基本的に加温機(ボイラー)を用いて栽培しており5月~7月にかけて出荷されます。
✅沖縄県
→日本最南端の島々。露地栽培、無加温ハウス栽培、加温ハウス栽培などのバリエーションがあります。とはいえ、商業ベースで出荷されるのはハウス栽培物がほとんど。今回は「無加温ハウス栽培」もののマンゴーを美味しく安く食べる方法に焦点を当てます。
✅その他の県
→ハウスと加温機があれば、どこでも栽培可能。北海道でも栽培記録はあります。が、商業ベースで展開するにはハードルが高いせいか、あまり市場に出回ってるものは見ない印象です。
加温栽培について
農業ハウスに暖房器具を導入することで、「栽培の早期化」「安定した着花、着果」を目指す技術です。商業ベースにおいては生産者の安定した売り上げにつながりますが、消費者目線で見た場合は「ハウスの暖房器具代」「暖房稼働時の燃料代」がマンゴーにオンされることになります。
マンゴーの品種
アーウィン種
いわゆる「アップルマンゴー」と呼ばれるもの。国産のマンゴーは大体コレだと思って良いです。大きさは300g~500g程度。個人的にもいくつかのマンゴーを食べ比べているが「糖度」「酸味」「触感」のバランスはこの品種が一番良いと思っています。今回は主にこのマンゴーについて記述します。
キーツ種
緑色のマンゴー。大型果実で800~1000g程度。収穫期は8月中下旬~9月下旬ごろまで。糖度は高く濃厚だが、実質がやや繊維質で歯に残る。また、マンゴー独特の匂いもアーウィンに比べ強めです。食べごろがアーウィンに比べて分かりにくいので、買ったときに食べごろを教えてもらい、その日に食べるのが良いです。
夏小紅
沖縄県の新品種。ほとんど市場には出回らないです。小型果実で300g~400g程度。アーウィンに比べやや遅めの8月上旬ごろに収穫します。糖度はかなり高いが、実質が繊維質であることと、酸味が物足りなく味の奥行きに欠けます。
てぃらら
沖縄県の新品種。こちらもほとんど市場には出回らないです。キーツ種と似たような特性ですが、形が湾曲しており、後述のペリカンマンゴーのような形状をしています。
ペリカンマンゴー
正式な名称は不明ですがタイ産のマンゴーはこれが多い印象。800g前後の大型果実でペリカンのくちばしのような形をしています。
美味しいマンゴーの条件
産地
各地のマンゴーを食べまくった私の経験から
「豊見城市」
のマンゴーが一番美味しいです。
理由は色々あるのですが、マニアックすぎてここには書けないので
直接聞いてください(笑)
旬の時期
7月20日~7月30日の非常に短い期間です。これは豊見城産マンゴーのハウス無加温栽培の旬の時期であり、もちろんこれ以外の時期にも購入はできます。
サイズ
サイズは400g前後が一番おいしいです。販売所等により規格が異なりますが「2L」として売られる事が多いです。1.5kg箱なら4玉入り、2kg箱なら5玉入りのものを買うと良いでしょう。
等級
マンゴーには色乗りの良い「秀品」とあまり色乗りが良くない「良品」があります。今回は安いマンゴーを買いたいので「良品」を選択します。
「秀品」は化粧箱というカラーの絵が付いた光沢のある段ボールに入っています。贈答用なので高いです。
一方で「良品」は白箱という光沢のない白い段ボールに入っています。こちらは家庭用なので価格も安いです。
色は関係ある?
なんとなくですが真っ赤なマンゴーのほうが美味しそうですよね?ところが実は色は味にはほとんど関係ありません。最終的にオレンジ色くらいまで色が付けば、真っ赤なマンゴーと同じく美味しく食べられます。
マンゴーの美味しい食べ方
追熟させる
マンゴーは樹から切り離した後も徐々に熟成されていきます。そのため収穫直後より、少し日を置いてから食べたほうがいいです。そのときの注意点として
✅買って(届いて)すぐに冷蔵庫に入れない!
を実践してください。マンゴーの追熟には人のいる部屋で行ってください。ただし、夏場なので高温多湿になる環境には置かないでください(30℃以上の部屋は避けたほうがいいです)。
先ほど色は味に関係ないと書きましたが、実は「赤いマンゴーのほうが食べごろがわかりやすい」です。とはいえ赤いマンゴーは高いのです。キッチリと食べごろを見極める目があれば良品でも美味しく食べられます。
ポイントは下記2点です
✅マンゴー全体がテカテカしてくる
→購入直後はサラサラとした感触をしています。全体が脂ぎってギトギトのテカテカになったら食べごろです。と同時に持ち上げたときに柔らかくなります(基本的にはあまり触らないようにしましょう)。
✅芳醇な匂いを放つようになる
→前述の見た目になると香りがかなり強くなります。箱を開けたときに顔を近づけなくても香りが漂ってくるレベルになると食べごろです。
食べる前に冷やす
さて、買ってすぐには冷蔵庫に入れてはいけないのですが、食べごろになったら冷蔵後に入れましょう。基本的には生で食べるものですので温度の影響を強く受けます。最低でも2~3時間は冷やしてからカットしましょうね。
マンゴーの切り方
まずは3枚におろします。
シールが貼ってある面がマンゴーの表です。そのまま錐もみ状に90°回転させ、マンゴーの側面から種を避けて3枚におろします。そうすると
「前」「種」「後」の3つのパーツに分かれます。
種の部分は皮を剥いて、種にかぶりついてください。一番美味しい部分ですが、果汁が垂れるので、誰も見ていない台所のシンクでかぶりつきましょう(笑)
前と後の部分は主に2つの方法がありますが、賽の目切りのほうがおすすめです。
✅亀甲(きっこう)切り
種側から包丁で5cm角程度になるように格子状に切り込みを入れます。
皮側からギュッと押し込むと亀の甲羅上に実が開きます。
あとはスプーンでこそぎ取って食べます。
イメージとしてはこんな感じになります。
✅賽の目(さいのめ)切り
皮を剥いてしまいます(リンゴのように)。
そのあと縦2回、横2回ほど包丁を入れ5cm角程度になるようにカットします。
あとは爪楊枝やフォークなどで食します。
安く買う方法
旬に買う
旬には多くのマンゴーが出回ります。また、マンゴーは賞味期限が短く保存がほとんど効きません。そのため旬の時期には安く買うことができます。豊見城産のマンゴーは全体でおよそ200t程度の出荷量がありますが、7月20日~7月30日には毎日10t以上のマンゴーが出荷されます。つまりこの10日間に全体の半分以上のマンゴーが出荷されるのです。非常に短い期間ですが、可能であればこの時期を狙いましょう。
色乗りの悪いマンゴーを買う
前述のように色乗りの悪い「良品」を狙います。ただし、後述の致命的な病気は避けるようにしましょう。
マンゴーの病気等
問題ない症状
✅黒い点があるんだけど?
炭疽病と呼ばれる病気です。表面の黒点部分は徐々に広がりますが、切り取れば問題ありません。ただし、購入時に大きい黒点は食べごろまで寝かすと広がりすぎて食べられません。目安として食べるときに500円玉程度の大きさであれば問題ないです。購入時に1円玉より大きい黒点がある場合はやめておきましょう。
✅マンゴーの表面がかさぶたみたいにガサガサしてるけど?
アザミウマ(スリップス)という虫に齧られたあとです。品質にはほとんど影響しませんが、果実全体の半分以上がこの症状である場合は食べごろがわからなくなるので避けましょう。
避けるべき症状
✅マンゴーに打撲のような跡があるけど?
打撲の跡です。マンゴー全体の味が落ちるので避けましょう。
✅マンゴーの頭部分が水っぽい灰色なんだけど?
軸腐れ病という病気です。炭疽病と異なり、患部を取り除いても全体が美味しくなくなるので避けましょう。
✅紫色のまま、硬くて柔らかくならないんだけど?
熟さない果実です。購入時にわからない場合がありますので、常温で保存しても一向に熟す気配がない場合は、購入場所へ現物を持って行き交換してもらいましょう。
ブランドマンゴー
ブランドマンゴーは一定の基準をクリアしたマンゴーに与えられる称号のようなものです。品質は保証されているため、贈答品で使う場合はコチラのほうが箔が付きます。
太陽のタマゴ
言わずと知れた宮崎県のブランドマンゴーです。糖度15度以上、鮮紅色が全体の1/2以上、350g以上、自然落下果実であることが条件となっています。ちなみに沖縄県産はほとんど自然落下ではなく、手作業でもいでます。
美らマンゴー
沖縄県におけるブランドマンゴーです。正直なところ、ここに書いてあるノウハウを理解していれば敢えて購入する必要はそれほどないです(特に家庭用において)。とはいえ、沖縄マンゴーを応援する意味で購入してもらえると個人的にはうれしいです。
まとめ
安くて美味しいマンゴー
✅沖縄県豊見城市産のものを買う
→沖縄県には離島も含めて産地がいくつかありますが、一番栽培が高レベルでまとまっている市です。ふるさと納税も行っているので、ふるさと納税で買いたい人はここの市から買うのが良いと思います(ただし、返礼品は化粧箱マンゴーです)。
✅7月20日~30日に買う
→無加温マンゴーの旬は非常に短いです。賞味期限も短いため一斉に出荷されます。この時期であれば十分な数量が出回るので比較的安くて美味しいマンゴーが購入できます。
✅白箱(光沢のない段ボール箱)で買う
等級の高いマンゴーは化粧箱(光沢のある段ボール)に入っています。
家庭用であれば等級の低いマンゴーを買いましょう。
✅2Lサイズ(400g前後)で買う
1.5kg箱なら4玉入り、2kg箱なら5玉入りのサイズです。
食べ応え、味の濃さなどの総合面で一番美味しいサイズです。
果物の王様と呼ばれるマンゴー。あまり食べる機会がない&高価なのでハズレはなるべく避けたいですよね。
とはいえ、今回紹介した安くて美味しいマンゴーは家庭用のお試し品です。生産者が栽培を継続するためには贈答用のマンゴー販売も必要となるため、食べてみて美味しければお世話になった人への贈り物にいかがでしょうか?
まだ、シーズン前ですが、シーズン近くなったら切り方、食べごろの変遷の写真などを投稿できればと考えています。また、個別の相談も受け付けますので気軽に連絡してください♪
なお、筆者は会社員時代はマンゴーのせいで150時間/月の残業を強いられたため、複雑な思いで本記事を投稿しています(笑)