- 投稿日:2024/09/25
- 更新日:2025/10/15
株式分割って何?
「株式分割」とは、企業が発行している株式を一定の割合で細分化することです。具体的には、1株を2株や3株や10株…に分けるなどして、既存の株主が持っている株の数を増やすことを指します。
分割されると聞くと「価値が下がっちゃうんじゃないか」と心配に思う声も聞かれますが、株式分割しても会社の総資産や株主の保有比率は変わりません。たとえば、1株10,000円の株を2株に分割すると、1株あたりの価格が5,000円になり、株数は2倍になります。しかし、投資家の持つ株式の価値自体は変わらず、全体の投資額も同じです。
何で分割するの?
もちろん分割するには理由があります。
1. 株価を下げて投資しやすくする
株式分割を行うと、1株あたりの価格が下がるため、個人投資家が購入しやすくなります。例えば、1株1万円の株が2分割されると、1株5000円になります。これにより、株価が高すぎて手が出しづらかった投資家でも株式を購入しやすくなり、結果として新たな投資家層が市場に参入する可能性があります。
2. 株の流通量を増やす
1株あたりの価格が分割された株数に応じて下がるため、投資家が購入しやすくなるという効果があります。これによって市場での取引量が増加し、流動性が向上します。流動性が高まると、株式の売買が円滑に進みやすくなり、企業の株価が安定する傾向があります。
3. 株価の高騰に対応する
企業の業績が好調で株価が上昇し続ける場合、株価が高過ぎると一般の投資家が手に届かなくなることがあります。せっかく応援している企業や気になる銘柄を見付けても株価が高過ぎると手が出ないと悲しくなりますよね。単元未満株で購入できる場合は1株からでも買えますが株主優待は100株からだったり、そもそも単元未満対応外の場合は100株からになります。そうした場合に株式分割を行って株価を下げ、広範な投資家に購入してもらうことで投資機会を広げます。
4. 株主への還元
株式分割は株主にとってプラスの効果としては、元々100株だったのが2分割され200株になった場合、売却時に200株全部売ることも、100株だけ売って手元に100株残すという事もできるようになります。株主優待が以前通りの株数で据え置きとなれば、分割後の安い株価で分割前と同じ優待を受けることができます。また直接的な利益をもたらすわけではありませんが、心理的な効果があります。既存の株主は株数が増えるため、株式を「より多く持っている」感覚を持つことができ、ポジティブな印象を与えることがあります。
5. 株価上昇の期待
株式分割をする理由が株価の上昇によることが大半です。株価が上昇するということは投資家の期待値が高い銘柄であるということが多いです。その期待値の高い銘柄が分割後に株価が購入しやすくなったことで、需要がさらに増加し、結果として株価が上昇することもあります。このため分割後に投資家が株式を購入し、短期的に株価が上昇する期待が持てる場合もあります。
メリットしかない?
良い面が多いように感じる株主分割。
ですが手放しで喜べる事ばかりとは言えません。
1. 株価の過度なボラティリティ(変動)
株式分割によって1株あたりの価格が下がると、特に個人投資家が購入しやすくなるため、短期的な売買が活発になることがあります。このため株価が急激に変動しやすくなり、結果として株価が不安定になる可能性があります。
2. 分割後の株価下落のリスク
分割によって株価が下がった後、必ずしも新たな投資家の需要が増加するとは限りません。需要が見込めない場合、分割前の価格に比べて下落する可能性もあります。株式分割が市場に過度な期待を与え、その期待に応えられない場合、失望売りが発生し株価が下がることもあります。
3. 投資家の錯覚
株式分割は企業の実質的な価値や業績には影響を与えませんが、投資家の中には「株式分割=企業の成長や業績改善」と誤解する場合があります。このような錯覚が広がると、分割後に過度な期待で株価が上がったとしても、後にその期待が裏切られた場合に急激に売られるリスクが高まります。
4. 管理コストの増加
株式分割を行うと、株主名簿の更新や配当金の計算、権利確定日などの管理作業が増加するため、企業には事務手続きやコストがかかることがあります。特に大規模な分割や頻繁な分割が行われる場合、企業側の管理業務の負担が大きくなります。結果的に利益に影響が出る様なことになっては目も当てられません。
5. 株主の希薄化感
はじめにも述べましたが、株式分割後に既存株主は保有する株数が増加するものの1株あたりの株価が下がります。そのため株主によっては「持ち株の価値が減った」と感じることがあります。これは実際には企業の時価総額が変わっていないため錯覚に過ぎませんが、心理的なデメリットとして作用することがあります。
6. 配当金の希薄化
企業が配当を行っている場合、株式分割後の1株あたりの配当金が減少する可能性があります。分割後の株価が上昇すれば株主は恩恵を受けますが、株価が上がらず、さらに1株あたりの配当金も減ると配当を重視する投資家にはネガティブな影響を与えることがあります。株主優待の条件の据え置く企業もありますが、条件変更が行われたりしてマイナスの印象を与えることもあります。
まとめ
株式分割する理由やメリットデメリットを紹介してきましたが、全体的には市場での流通量を増やし活発化を図るという意味で株式分割はメリットが大きいと思います。
そのままでは売買がしにくい株価になってきたために行われることが多いので、株式分割をするという事は、それだけ企業が成長した証なのです。
今回たくさんの銘柄が分割されるということで、自分が保有している銘柄や日々追いかけている銘柄が株式分割されたらどうなるんだろう?と不安になったかもしれませんが、内容が分かるとホッとしたところもあるかと思います。「なるほど。こういう事もあるんだなぁ。」と、投資レベルアップのチャンスを得てラッキー!という気持ちで、これからも良い距離感で投資にチャレンジしていきましょう。