- 投稿日:2025/05/23
- 更新日:2025/11/05
自宅でピアノとリトミックの教室を開いている、月と申します。
私がリトミックに出会ったのは、実家の近くにある楽器店で講師募集が行われていたことがきっかけでした。名前だけは聞いたことがありましたが、内容については何もわからないままレッスンを見学させてもらい、子どもたちがピアノの音にあわせて生き生きと動く姿に、涙ぐむほど感動しました。それ以来すっかりリトミックの魅力にはまってしまい、レッスンを行いながら勉強し続けています。
教育関係者の間では広く知られているものの、一般の保護者の間ではまだまだ認知が進んでいないリトミック、習い事としてレッスンに通った場合、どうお子様の成長につながっていくのか、5つの力に絞ってお伝えいたします。どなたかの参考になれば幸いです。それではいってみましょう!
はじめに
まずは、「リトミックってなあに?」という疑問からお答えしていきましょう。リトミックは、スイスのエミール・ジャック=ダルクローズによって、20世紀初めに考え出された音楽教育法です。
小中学校の教育現場、障がい児教育、高齢者の認知能力向上など、いろいろな年代に対応する教育法として確立されていますが、日本では主に幼児教育分野で広く普及しており、子どもの成長発達を支援する重要な教育方法として位置付けられています。
音楽を聞く・歌う・演奏する・作るといった音楽教育で学ぶすべてのことを、からだを動かす経験を通して感じとっていくのがリトミックの教育法の特徴です。
楽器を習うときに生まれる課題(リズム・強弱・テンポ・ニュアンスなど)を分析し、年齢や個性にあわせていろいろな角度から細かく進度を決め、遊びを十分取り入れて理解を深めていきます。将来出会うであろう乗り越えるポイントに対し、子どもたちが楽に、あるいはちょっと訓練、努力すれば飛び越えられる力を育んでいきます。そして音楽の楽しさ、素晴らしさをからだを通して伝えていきます。
それでは、お子さまがリトミックを始めるとどんな力が身についていくのか。さっそく見ていきましょう。
①集中力・注意力が育つ
リトミックでは、音楽に合わせて体を動かしたり、音を聴いて即座に反応したりする「即時反応」という活動が多くあります。たとえば、ピアノの音が止まったら動きを止める、音の高低に合わせてジャンプするなど、耳を澄ましながらタイミングを計る場面がたくさんあります。こうした活動を通して、子どもは自然と音に集中するようになり、注意深く耳を傾ける力が養われます。また、グループで行う活動では周囲との協調も必要となるため、自分の動きやタイミングをしっかり意識するようになります。集中力と注意力は、就学後の学習においても非常に大切な力です。リトミックは音楽を楽しみながら、無理なくその力を高めていくことができるのです。
②身体能力がぐんぐん伸びる
リトミックは、音楽に合わせて歩く、走る、跳ねる、止まるといった全身運動を取り入れた活動が中心です。特に幼児期は、身体の基礎を作る大切な時期。リトミックで様々なリズムやテンポに合わせて体を動かすことで、バランス感覚や俊敏性、柔軟性といった身体能力が自然に高まっていきます。また、動きを模倣したり、即時に反応する力も身につくため、神経と筋肉の連携がスムーズになり、運動能力の土台がしっかりと育まれます。しっかりと音を聴いて体を動かすことで、将来、スポーツを始める時にも役立つリズム感も身につきます。
③想像力・創造性が広がる
「想像力」とは、頭の中でイメージする力。「創造性」とは、イメージを表現する力です。
リトミックでは、「この音はどんな動物に聞こえる?」「このリズムでどんな動きを作れる?」といった、自由な発想を引き出す活動が多くあります。子どもは音やリズムを通して、目に見えないものを心の中で思い描いたり、自分なりの表現を試みたりします。こうした経験を繰り返すことで、想像する力や、自分の考えを形にする創造性が育まれていきます。また、正解がない世界で自分らしさを大切にできる感覚を養えることも、リトミックの大きな魅力です。音楽を媒介にすることで、子どもたちは安心して自分の内面を表現でき、創造的な心が豊かに育つのです。
④心とからだのバランスが整う
リトミックは、音を感じ取り、心で味わい、それを体の動きとして表現する活動です。たとえば、ゆったりとしたワルツのリズムに身をゆだねると、心が落ち着き、からだの動きも自然と柔らかくなります。逆に、速いテンポや強いビートでは、エネルギッシュな動きが引き出され、心も高揚します。このように、音楽を通して「今の自分の気持ちと体の状態を感じ取り、それに合った動きをする」という経験が繰り返されることで、心とからだのバランスを取る力が身につきます。これは情緒の安定やセルフコントロールにもつながり、子どもがより健やかに成長していく土台となります。
⑤自己肯定感と自信が育まれる
リトミックでは、「できた!」をたくさん経験できます。たとえば、リズムにうまく合わせて動けた時、友達と息を合わせて動きをそろえられた時、自由な表現を褒めてもらえた時…。こうした体験を積み重ねることで、子どもは「自分はできるんだ」という感覚を持ち始めます。また、リトミックには正解がありません。自由な表現が尊重されるため、自己肯定感が高まります。この「自信」は、挑戦する心や他者と関わる力、困難に立ち向かう勇気など、これからの人生で必要な多くの力を支える原動力となるのです。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。いかがでしたでしょうか?
音楽を注意深く聴き、自分のからだを使って、「思いっきり自己表現する」「ありのままの自分を受け入れてもらえる」
幼少期にこのような経験を積んだ子どもたちは、自分らしく生きるために大切な、自己表現する力を、自然なかたちで身につけていけるはずです。
自分が親になって、子どもたちに思うこと。「まわりと比べないで、自分を大好きになって欲しい」「明るく前向きに希望を持って、人生を楽しんで欲しい」
子どもに“自分を大好きになってほしい”と願うのは、一見簡単に思えるかもしれませんが、実際にはとても難しいことです。でも、1人1人がそう思っている世界が来れば、人間関係のトラブルや心の悩みから発展する痛ましい事件・事故は減るのではないでしょうか。少し話が大きくなってしまったかもしれませんが・・・。
また、人工知能(AI)が発達し、これからの社会を生き抜いていくためには、意欲と創造性がとても大事になってくるのではないでしょうか。ここまでお読みいただいた方には、リトミックが意欲と創造性を育むのにふさわしいことを、お分かりいただけたかと思います。
感覚的成長が最も著しい幼少期にこそ、ぜひ体験して欲しいと思います。この記事がどなたかの参考になれば幸いです。
↓私のバイブルです。
以下の書籍を参考に書かせていただきました。
「リトミックってなあに リズムの良い子に育てよう」岩崎光弘著 ドレミ楽譜出版社