- 投稿日:2024/11/06
- 更新日:2025/09/29

はじめに
結婚披露宴やフォーマルなお食事会など、普段とはちょっと違った宴席に参加する際には予めテーブルマナーの知識を持っていた方が安心してご参加いただけます。この記事はもし皆様がその様な宴席に参加することになった際に、予め読み返していただき心の準備を整えていただければと思います。
テーブルマナーとは
テーブルマナーとはそもそも何ぞや?というところから説明してまりいります。後述しますがそもそもテーブルマナーはお食事の席で同席の方々や周囲の方々に不快な思いをさせないために考えられたものです。周りの方に対して迷惑になるような行動はしない、常に尊敬の念をもって接する事が基本です。決して技術的な事(ナイフ・フォーク・スプーンの使い方等)を学ぶ事が重要ではありません。
会場到着〜お開きまで 順に説明します
会場到着〜着席
会場に到着したら、荷物やコート、傘等はクロークに預けて下さい。次に化粧室へ行き、身だしなみを整えます。ヘアスタイル、化粧、服装の乱れを直し手洗いを済ませておきます。
会場に入り、ご自分の席へ向かいます。同じテーブルに既に着席されている方がいらっしゃったら軽く会釈をしてから着席して下さい。
椅子に座る際には椅子の左側から座って下さい。(右方上位の考えから)
※西洋文化ではでは右側が上位という考え方が有ります。

テーブルの縁から自分のお腹まで約15cm程度空けて下さい。(拳1個半程度です)
ハンドバックをお持ちの場合は背中と椅子の背もたれの間に置くかバッグハンガーを使用して自席の左側に引っ掛けます。背筋を伸ばして姿勢正しく美しく座って下さい。
☓ NG行動 ☓ 背もたれによりかかる、足を組む、肘をつく
乾杯
乾杯の案内があった後、速やかに起立し、起立した後にグラスを持ちます。グラスはステム(細いスタンドの部分)を持ちます。

シャンパングラスを自分の胸の高さで保持し、乾杯の発声と同時に唱和して目の高さまでグラスを掲げます。※乾杯の際、グラスは合わせません。飲み物が飛び散ったりグラスが欠けたりする恐れが有るからです。
乾杯の後、グラスをテーブルの元の位置に置いてから着席着席します。
※着席の際、サービススタッフの介助が無い場合は自分で椅子を持って前にずらします。
食事開始
ナフキンを広げるタイミングはホスト(主催者)がナフキンを取り上げた時、又は最初の料理が運ばれてきたとき。
※乾杯後早々にナフキンを広げると食事を催促している様に見えるので注意して下さい。
ナフキンの掛け方
二つ折りにして、膝に掛けます。※首元にかけたり、胸に広げたりする方が居ますがエレガントではありません。膝に掛けて下さい。着物を着ていても同じです。襟元にナフキンを挟むのはフォーマルな席ではなさらないで下さい。(勿論フォーマルではない席、気心知れた仲間内での食事会ではその限りではございません。着物用のナフキンクリップ等をお使いになるケースもございます)アマゾンにこんな商品もございますhttps://amzn.asia/d/3LI3LNq口やグラスが汚れたと時は二つ折りにした内側で拭って、汚れが付いた面が見えない様に重ねて膝に戻して下さい。
途中で席を離れる場合、椅子の上に畳んで置いて下さい。最後に席を立つときは軽く畳んでテーブルの上に置いて下さい。
卓上のグラスの種類
水用 (ゴブレット)一般的に大きめで飲み口が広がったグラス
赤ワイン用(赤ワイングラス)大きめで飲み口が狭まっているのが特徴
白ワイン用(白ワイングラス)赤ワイングラスより小さめ
※飲み口が狭まっていることでワインの香りを閉じ込めてより楽しむ事が出来る。
シャンパン用(シャンパングラス)縦長で細い筒状のグラス
※縦長で細くする事で空気に触れる面積を狭くする事が出来るので炭酸ガスをより長い時間保持する事が出来る。
ビール用グラス(ピルスナー)も細長い形状から炭酸ガスの保持に適している。
カトラリー(ナイフ・フォーク・スプーン)の使い方

飾り皿の上に付いているカトラリーはデザート用で左右のカトラリーの後で使います。
基本的に右手にナイフ、左手にフォークを持ちますがフォークだけで食べられる料理の場合、フォークを右手に持ち替えてもかまいません。
料理は左側から一口大にナイフで切ってフォークで刺して口に運びます。先にまとめてナイフで料理を切り分けたりせずに食べる分だけその都度ナイフで切って下さい。切り分けてしまうと料理が乾いたり冷めたりと美味しさが損なわれます。
ナイフ・フォークの置き方
食事中に手を休める際は、皿の上に「ㇵ」の字になるように置きます。 ※ナイフの刃は自分の方を向く様に置いて下さい。
食事がお済みになりましたら右側斜めに置いたナイフにフォークを揃える様に置いて下さい。食事終了のサインです。魚やレモンの皮など召し上がれないもの、残したものは皿の上の方にまとめて下さい。
食事途中 食事終了
スープのいただき方
左手をスープボウルに添え、スプーンですくって口元に運びます。
音を立てず、流し込むように静かにいただきます。
量が少なくなってきたらボールの手前を少し持ち上げてすくい易くして下さい。
お召し上がり中手を休めるときはボールの中にスプーンを置いて構いません。食事終了後はボールの手前、敷皿の上にスプーンを置きます。
パンのいただき方
バターは個々に小さなお皿で配られる場合と、2〜3人分をバタークーラーにセットして予め食卓にセットされる場合が有ります。
バタークーラーでセットされている場合は各自適量をパン皿に取り分けます。お席の方々を気遣いながら譲り合って取り分けて下さい。
パンを一口大にちぎり、バタースプレッダーでバターを適量塗って一口でいただきます。
決してパンを口でかじったりしないで下さい。またパンにスープやソースを付けて食べるのはフォーマルな席では控えましょう。本来スープはそのものを味わうもの、ソースは料理に合わせて食べるものです。
ステーキの焼き加減
メインディッシュがステーキの場合、事前に焼き加減を尋ねられる事が有ります。以下をご参考にお好みを伝えて下さい。
①レア(rare)表面に火を通した程度 (仏)ブルー(bleu)
②ミディアム・レア(midium rare)内側にも少し火を通す
(仏)セニャン(saignant)
③ミディアム(midium)普通に火を通す (仏)ア・ポワン(a point)
④ウェルダン(welldone)良く日を通す (仏)ビヤン・キュイ(bien cuit)
※特にこだわりが無ければミディアム・レアがお勧めです
サラダのいただき方
大きな野菜(トマト・アスパラガスなど)は一口大にナイフで切っていただきます。※決してかじって食べない様にして下さい。
大きな葉野菜(レタスなど)は一口大になる様にフォークとナイフを使って折りたたんでフォークで押すように刺して口に運びます
飲み物について
注ぎ足しはサービススタッフが行います。継ぎ足しの間はグラスは必ず卓上に置いて下さい。持ち上げてサービススタッフの方に差し向ける様な仕草は見た目も良く有りません。
デザートのいただき方
スプーンまたはフォークを使う時は器や皿に必ず左手を添えていただいて下さい。スプーンとフォークが両方添えられている場合はその都度持ち替えて使用して下さい。
ナイフ、フォークが添えられる場合は右手にナイフ・左手にフォークが基本です。
コーヒーのいただき方
コーヒーはふうふうと息を吹きかけたり、すする様な音を立てたりしない様に静かにいただいて下さい。
ミルク、砂糖を入れたら、スプーンでかき混ぜてスプーンは敷皿のカップの向こう側に置きます。ソーサーは持たずにカップの取っ手を持って口に運びます。
お食事後
席を立つ際にナフキンは汚れが付いた面が見えない様に軽く畳んでテーブルのデザートのお皿の左側に置きます。(お皿が下げられていた場合はお皿が合った場所に置いて構いません)
補足 テーブルマナーに纏わる知識あれこれ
①西洋料理の変遷
古代ローマ時代 食事は「寝食」が主流でした。王侯貴族は食事前に浴室で身を清め、食事専用の衣類に見を包み食堂に入ります。
食堂にはベッドが設置されており、半身寝ながら食事をしました。
料理を運ぶのは奴隷の仕事でした。ナイフやフォークはまだ無く、手食(手で取って食べる)であったため、汚れた手や口を拭うために布を使用していた。これがナフキンの起源となりました。
中世 宮廷の厨房は組織化され、料理長、パン係、ワイン担当、果物担当と分業化されました。
大皿で提供された料理を自分の食べる分だけナイフで切り分けて取り皿に取り、手で食べていた。ナイフは他の方と共用していた。
スプーンはこの頃から存在していたがフォークはまだ使われていなかった。
ルネサンス期
本格的なカトラリー・テーブルマナーの導入のきっかけとなったのが
1533年の事で、イタリアの貴族メディチ家よりフランス王室に嫁いだカトリーヌです。その際イタリアより食器類・カトラリーを持ち込みました。当時はフランスよりイタリアの方が料理法・カトラリー・テーブルマナーについて進歩していました。カトリーヌと共にイタリアよりフランスに赴任した料理長がフランスのテーブルマナーの野蛮さに驚き、カトラリーの使い方などを纏めた「食事作法の50則」が生まれました。
これが世界初のテーブルマナー専門書と云われています。
因みに日本に箸がもたらされたきっかけはもっと前に遡ります。
607年 聖徳太子が小野妹子を遣隋使に送った際に、随王朝(現在の中国)での歓迎宴席で箸が使われているのを見て日本に持ち帰ったのが始まりと云われています。この箸が奈良時代には庶民にも広がりました。
西洋で手食文化が根強く続いた理由は諸説有りますが、長年の習慣を捨てきれなかった、フォークが銀器なので贅沢品だった、宗教的な理由から食事は神様からの授かりものであり手で食べるのが正しいという考え方によるものと推測されます。
②フルコースの順番の意味
フルコースの料理の順番には理由が有ります。
前菜 前菜の役目は「食欲を駆り立てる事」に有ります。量は少なめで、彩り豊かな盛り付けがなされ、味付けは塩味や酸味が効いている事が特徴です。
サラダ仕立てになっている事も多いが、これはサラダを食する事により血液をアルカリ性にして、後々肉料理を食した際に血液が酸性寄りになる事を想定しバランスを取る役目が有ります。
スープ スープが正式な食事の始まりです。口にし易い噛まずに飲み込めるスープが最初に提供されます。スープと共にパンが供されます。パンは主食であり、口の中に広がった料理の味を一旦リセットする役目も担います。
魚料理 肉料理より前に供されるのは、一般的に肉料理より淡白で繊細な味わいであり、消化も良いためである。(勿論重厚な味わいの魚料理も有ります)
ソルベ(シャーベット) お口直しのため、魚料理の味をリセットするために提供されます、
肉料理 メインディッシュです。しっかりとした味わいの料理が提供されます。
チーズ 口の中の雰囲気を変えるため、また肉料理に合わせて注文した赤ワインをデザートコースの前により楽しむために提供されます。
デザート しっかりとした甘みのあるデザートによってより満腹感を増すと共に、甘いものには食べた物を胃から腸へと押し出す働きが有ります。
コーヒー コーヒーのカフェインにはリラックス効果が有ります。またコーヒーに含まれるクロロゲン酸には脂肪燃焼効率を高める効果が有ります。
小菓子 最後のしめくくりとしてコーヒーとともに供されます。一口大の焼き菓子やチョコレート等が一般的です。
以上、最後までお付き合い下さりありがとうございました。コメント欄にご質問等いただければ回答致します。またご質問内容によって本文も更新致しますのでご意見・ご質問等色々とお寄せいただけると助かります。