- 投稿日:2026/03/17
- 更新日:2026/03/19
仕事終わりに飲む一杯、仲間と乾杯するビール。
お酒って、おいしいですよね。
でも、ちょっと待ってください。
飲みすぎていませんか?飲酒が習慣になってはいませんか?
ついついお酒がやめられなくて、「最近飲みすぎかも」と感じている人へ。
この記事では、若い頃からお酒が好きで、やがて重度のアルコール依存症となった母が「断酒」に成功したお話を紹介します。
精神病院で何度も入退院を繰り返し、幻覚症状や要介護状態にまで進行した母がどうやって断酒できたのか?
答えは、「物理的にお酒から距離を取る」でした。
アルコール依存症とは
アルコール依存症とは、
アルコールに対する精神的・身体的な依存が形成され、
お酒を飲む時間や場所、量をコントロールできなくなる精神疾患です。
(引用:AUDアルコール相談室)
母に見られた主な症状は以下の通りでした。
・毎日飲酒する
・飲んでいない時間はイライラする
・常に飲む理由を探している
「酒好き」から依存症へ
母はもともと、金融機関で働く几帳面で真面目な人。
明るく、お酒を飲んでも荒れることはなく、晩酌を適量楽しむタイプでした。
それが崩れたのは定年退職後。
・仕事からの解放
・家族の介護
・配偶者の死
これらが重なり、気づけば昼間から飲酒するようになっていました。
ただの「酒好き」だったはずが、依存症へと変わっていったのです。
「なんでこんなになるまで放っておいたの」
当時、私はアメリカで子育て中でした。
帰国後、妹から母の異変を聞き、慌ててかかりつけの内科に相談したところ、医師は厳しい口調でこう言いました。
「なんで、こんなになるまで放っておいたの」
少し前までは自分で管理できていたのに…気づけば、あっという間に症状は進行していました。
保護入院と離脱症状
「このぐらい大丈夫よ」「自分で止められるから」と嫌がる母を説得し、病院へ連れていきましたが、その後も飲酒は止まりませんでした。
ついには命の危険があると判断され、医師と家族の同意による「保護入院」となります。
入院後すぐに強い離脱症状が出て、「保護室」へ。
※保護室は、「隔離」という目的に特化した精神科の病室です。母の入院した部屋は、自傷を防ぐため、壁が柔らかい素材で出来ていました。
・幻覚
・強い不安や混乱
看護師の話によると、これらの症状にかなり苦しんでいたようでした。
入退院を繰り返し、要介護状態へ
退院してもすぐに飲酒に戻り、再び入院。
この繰り返しが何年も続きました。
やがて症状は悪化し、次のような状態に。
・幻覚と現実の区別がつかない
・排泄のコントロールができない
・記憶障害
肝臓も肝硬変一歩手前となり、ついには60代で要介護3と診断されました。
「底付き」は効かなかった
依存症では「底付き(どん底を経験する)」が回復のきっかけになると言われます。
しかし母の場合は違いました。
母を立ち直らせるため、一旦家族全員母と距離を置いたり、親子関係を断つ一歩手前まで行きましたが、 それでも、
「お酒が飲めればそれでいい」
という状態でした。
高齢で失うものが少ない場合、「底付き」が機能しないケースもあると感じました。
転機は「環境」だった
転機は、地方の老人ホームへの入所でした。
その施設はアルコール依存症への理解があり、事情を話すと、非常に親身になって母の断酒に協力してくれました。
そのホームは畑に囲まれた山間にあり、周囲にはアルコールを購入できる店はありません。
月に一度バスで行く買い物ツアーでは、付き添いの職員さんに協力してもらい、 お酒を購入しようとした場合は回収してもらいました。
つまり、物理的にお酒と距離を取る環境を作ったのです。
物理的な距離が断酒につながった
最初は抵抗していた母も、徐々に落ち着いていきました。
入所から10年後には、お酒を探すこともなくなり、感情の起伏が穏やかになるなど、ほぼ安定した状態で生活できるようになりました。
施設の遠足や、施設内でのレクリエーション・温泉なども楽しんだり、月に1回は家族と外食や買い物も楽しめるようになりました。
74歳で心臓疾患により亡くなるまで、穏やかな晩年を過ごせたと思います。
ただ、飲酒への渇望は決して無くなることはなく、会う度に必ず「お酒ないの?」と聞いていたものでした。
アルコールには強い依存性がある
医師から言われた言葉があります。
「アルコールは、強い依存性を持つ物質です」
数量規制もなく、いくらでも簡単に手に入るため軽視されがちですが、
付き合い方を謝れば、人生を大きく変えてしまう力があります。
「アルコール依存症は、慢性で、進行性の病気です。慢性ですから、完治することはありません。」(引用:よしの病院)
依存症になる前に、自分で止めることが必要なのです。
まとめ・適切な距離感が大切
私自身、お酒が嫌いではありません。
今でも、友人と飲みに行くこともありますし、月に1〜2回は夫と晩酌を楽しんでいます。
ただ1つ気をつけているのは、アルコールとの距離感です。
アルコールは、
・飲み方
・頻度
・環境
これらが少し崩れるだけで、
誰でも依存に近づく可能性があります。
お酒は楽しいものですが、同時にリスクもあるもの。
適切な距離を保ちながら、上手に付き合っていくことが大切です。
※アルコール依存症の対応は個人差があり、専門的な治療や支援が必要です。気になる場合は医療機関や専門窓口にご相談ください。
※アルコール依存症は、2014年「アルコール使用障害」へと名称が変更されました。本記事では、分かりやすさのため旧名称のままとしています。