- 投稿日:2025/02/02
- 更新日:2025/09/29

1.「成年後見制度」&「任意後見制度」を調べたきっかけは…少しだけ投げやりになりました!😔
親が認知症などで判断能力がなくなった、と金融機関が判断した場合、預貯金口座などが凍結され、生活費、介護費用、入院費などが引き出せなくなります。
取り急ぎ、どこからお金を持ってくるかと言えば、私の貯金を取り崩すしかないですよね。大変、困ります😨このままだと、破産してしまいます😥
そこで、認知症の親の財産管理ができる人を決める「成年後見制度」というものがあります。この制度を使って、「成年後見人」になると、入院の手続きや契約のサポート、お金の支払いなどができるようになります。
この「成年後見人」には、親族もなれるのですが、誰がなるかは、家庭裁判所が決めます。また、認知症や障害の程度がどのくらいかも(補助、保佐、後見にわかれます)家庭裁判所が判断します。症状が重い場合は、弁護士や司法書士さんのような専門家が「成年後見人」となることもあります。当然、費用も高額になりがちです。
ということで、手続きのハードルが高いので、父が「認知症になったら、その時はその時だ!」と投げやりになって保留していました😣
2.父が突然、歩くことが不自由になり…
父は、かなり高齢でしたが、囲碁や投資なども半世紀近く嗜んでおり、一人でバスツアーに参加したりと、活発で社交的な人です。もちろん、認知症の心配もしたことがなく、すっかり安心していました。ところが、急に歩くことが不自由になったため、気持ちもマイナス思考になり、父:「財産管理を任せたいから、任意後見人になってくれ」と言われました。
私:「成年後見制度って、手続きも大変でお金もかかるんじゃないの」と聞いたら、父:「成年後見制度じゃなくて、任意後見制度は、判断能力が失われる前に契約するから、後見人を自分が選ぶことができる。手続きもシンプルだから」と言われて、「任意後見制度」を調べることになりました。
3.「任意後見制度」には、3つの種類がある
厚生労働省のサイトに、「任意後見制度」の説明の記載はあるのですが、具体的にどのような契約書を作成すれば良いのかがよくわからず、市役所、公証役場のサイト、Perplexity(通称パプちゃん)、ChatGPT、で調べまくりました。
契約書を作成する時に、どのような内容を盛り込むかで、①「将来型」、②「移行型」、③「即効型」があります。
①「将来型」:将来、判断能力が低下した時に、任意後見を開始する。
②「移行型」:本人に判断能力があるときは、第三者(例えば、私)が委任契約によって、本人の財産を管理を行い、判断能力が低下した時に任意後見に移行する。
③「即効型」:任意後見契約の締結後、すぐに任意後見を開始する。
今回の私のような場合(父の判断能力に問題はないが、歩くのが不自由)は、②「移行型」がお勧めです。つまり、契約を結べば、すぐに父の財産管理をある程度行うことができるようになります。
4.②「移行型」の契約書の作成へ
色々なサイトに契約書のひな形がありましたが、公証役場に掲載されているひな形がお勧めです。上記リンク先を見ますと、全国の公証役場を検索することができます。ただ、それぞれの公証役場は、データの連携を行っているわけではないので、後で説明しますが、少しだけ、厄介なことがあります。
また、地域によって、サイトの作りが違う場合があるので、参考にしたひな形があった「横浜駅西口公証センター」のサイトにリンクを貼ります。この中の「4 移行型について」に契約書のひな形があります。
*最終的には、契約書を自分で作成しなくても問題ないのですが、公証役場に行ってからの時間節約のためにも、自分がどんな契約を結ぶのかを理解しておいた方が良いです。質問にも即答できるようになります。
5.「移行型」契約書の構成について
大きく以下の4つの内容に分かれますので、どのような内容が記載されているか、説明します。要は、父が、任意後見人(この場合は私)にして欲しいことを記載します。
■第1章「委任契約」:父の判断能力が低下する前に私が対応できる内容を記載してあります。どんなものを預かるか(実印、キャッシュカード、マイナンバーカード、預金通帳、有価証券等々)、費用は父が負担、私の報酬の取り決め(今回は無報酬にしました)、契約終了の時期などです。
■第2章「任意後見契約」:父の判断能力が低下した後に私ができる内容を記載してあります。第1章の内容と重複しますが、大きく違うのは、任意後見監督人が家庭裁判所により選任されることです。つまり、私の財産管理のやり取りを見張る人ができ、報告義務も発生します。
■別紙1「代理権目録(委任契約)」:第1章の場合の財産管理の範囲を記載します。具体的な金融機関もいくつか記載した方が、取引がスムーズになると言われました。家賃、年金、公共料金、生活費、保険、登記、医療や介護契約等々です。
■別紙2「代理権目録(任意後見契約)」:第2章の場合の財産管理の範囲を記載します。別紙1と重複しますが、不動産や遺産関係に関する事項を追記しました。
↓以下は、特約を付けた場合です。
*別紙3「同意(承諾)を要する旨の特約目録」:重大な契約や取引の場合に任意後見監督人の同意を要する旨の特約を付けるかどうかです。私は、複雑な不動産などはないため、この特約は付けませんでした。
6.いざ、公証役場へ~まずは私ひとりで
私が住む近くの公証役場へ平日に訪問しました。予約が必要です。公証人への相談は無料です。予約時に伝えられた以下の書類を持参しました。
私:住民票、印鑑登録証明書 ⇒ マイナンバーカードがあればコンビニでも 発行可能ですね。ネットで郵送申込もできます。
父:住民票、戸籍謄本、印鑑登録証明書 ⇒ もし父が自分で手配することができない場合は、広域交付制度を利用して、私の近くの役所で受け取ることも可能です。
公証役場へ伺い、必要書類を提出しました。「将来型」にするのか「移行型」にするのか、「特約」を付けるかの確認をされ、すぐに公正証書(まだ下書き)を作成してくれました。
帰ってから、この公正証書(まだ下書き)をメールで父に送り、確認をしてもらい、次は、父同伴で実印を持参して契約の締結を行うことになります。
7.任意後見制度の良い点
●「任意後見人」を父が自分で選ぶことができる。私には、弟もおりましたが、父の私への委任希望が通りました。任意後見人を専門家に任せると、報酬などが発生する場合もあります。
●父が、私に、何をして欲しいかを父自身が決めることができます。
●費用が割安! 父が公証役場まで訪問できない場合は、公証人の出張も可能ですが、交通費や日当が発生します。そうでなければ、4万円ほどで収まると思います。弁護士さんや司法書士さんに依頼すると、10万円、20万円…とかかるそうなので、勉強にもなるので、自力で頑張りましょう!
●認知症対策になります。
8.デメリットも考えてみました。
深く考えずに、任意後見契約を締結しましたが、デメリットもあるということで、調べてみました。
▲後見開始(判断能力が低下した時)した時は、家庭裁判所により「任意後見監督人」の選任が必要となり、報酬が発生します。月額数万かかります。父いわく、判断能力が低下する前に生涯を終えることができたらと…
▲後見開始(判断能力が低下した時)した時は、相続対策はできない。父の財産を守るための制度なので、相続人(私)のための対策はできないということです。
その他にも色々とあるかもしれませんが、私の身に起きたら、また報告させていただきます。
9.困ったこと
最終的には、私の住まいの近くの公証役場で契約を行いましたが、本当は父の近くの公証役場で契約を行いたかったです。その場合、公証役場同士では、データの連携を行っていないので、最初からやり直しになると言われました。出張していただくのもお金がかかり、予約もかなり先になると言われました。
今回、父が、私の住まいの近くの公証役場まで来ることができましたので、無事に完了しましたが、ある程度、事前に打合せしていれば、1度で完了できると思います。ご参考になさってください。
10.任意後見契約が完了しました
父と私で公証役場に訪問しました。持参物は、実印と万が一、印鑑登録証明書と印鑑が相違した場合に備えて、本人確認証明書(マイナンバーカード)を用意しました。
公証人が契約書を読み上げて、父と私で確認しました。筆ペンで署名、実印を押印。原本は、法務局で保存し登記してくれるそうです。複製を2部受け取り、父と私で保管となります。私が受け取った方は、複製であっても、「正本」と押印されており、金融機関などで手続きが必要な場合に持参すれば良いそうです。父が亡くなった場合などは、この契約は無効になるので、登記の取り下げは、私が手続きする必要があります。
法務局への郵送費などの手数料も含めて、42,600円となりました。何よりも、父が「これで何があっても、ひとまず安心だ」と言ってくれたので、良かったと思います🥹ずっと、自分が認知症になったらどうしようかと悩ませていたので、ストレスを少しでも軽減できたと思います。
*注意
私は、専門家でなないので、経験したことを記載いたしました。もし、勘違いしている点などがありましたら、ご指摘くださると嬉しいです。ご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。