- 投稿日:2024/12/30
- 更新日:2025/09/29

はじめに🌱
「家族に多額の借金があることが分かった・・・。」
・かなり昔に消費者金融から借りて、返すことができず放置したまま
・現在、高金利の利子込みで数百万円の督促状が法律事務所から届く
家族がこのような状況にあるとき、どのように対処したら良いのでしょうか…?
自己紹介🙋♂️
はじめまして。えんどりゅーと申します。
私は、某自治体にて多重債務の相談窓口の相談員をしております。年間約300件のご相談の中には、ご家族の借金についてのご相談も多くあり、リベシティでも同様のご相談をいただくことがありました。
本記事が、似たようなお悩みを持つ方の助けになれば幸いです。
まずは債務の全容を把握しよう💡
まずは、ご家族(以下「本人」とします。)が負っている債務(借金)の全容を把握しましょう。
・どこから(消費者金融、銀行、クレジット、知人など)
・借りた時期
・最後に返済した時期
の3つについて、書面や本人の記憶を頼りに整理しましょう。
本人を責めず、安心してもらえるように🍵
ここで大切にしておきたいのが、「本人を責めないこと」。
本人はこれまで債務の存在を周囲に相談できていなかったのであり、今回債務のことを知られたことで、情けなさ、申し訳なさ、恥ずかしさなどを感じておられるかもしれません。
また、返せる根拠がないまま、今後も一人で何とかしようとされるかもしれません。
そのため、債務について聞き取る際は、本人を非難せず、合法的に対処できる可能性があること、相談先があることを伝え、安心して任せてもらうようにしましょう。
他にも借りてたはずだけど・・・覚えていないときは🌀
債務について、書面で正確な情報が分からず、本人も記憶が正確でないときは、以下の信用情報機関に本人の信用情報の開示を請求することにより、詳しい情報を得られる可能性があります。
・クレジットの利用がある方:CIC(シー・アイ・シー)
・消費者金融の利用がある方:JICC(日本信用情報機構)
・銀行融資の利用がある方:KSC(全国銀行個人信用情報センター)
信用情報の確認方法については、ノウハウ図書館の以下の記事も参考になると思います。
*【意外と知らない!?】あなたの「信用情報」を確認する方法と見方についてbyマッスルたかさん
借金にも「時効」がある!?💸
債務の全容が把握できたところで、次はこれらの債務を「時効援用」により消滅させることができるかを検討します。
*時効援用:債務が時効を迎えていることを、借りた側(債務者)が貸した側(債権者)に主張すること
債務を最後に返済した日から原則5年を経過していれば、その債務は時効(消滅時効と言います)を迎えているといえます。
ただし、時効を迎えると自動的に債務が消滅するのではなく、債務者が債権者に対し、「この借金は時効なので払いません」という意思を伝える(=時効援用)ことにより、はじめて債務は消滅します。
時効援用は、債権者に内容証明郵便を送ることによって行うことができ、法律家を介さずとも行うことは可能です。
時効援用通知書のサンプル📃
時効援用通知書のサンプルはインターネット上に多くありますが、参考にこちらにも一例を載せておきます。
内容証明郵便で送る都合上、縦書きの場合で1行20字以内、1枚26行以内となるように文面を作成し、1枚に収めることができれば郵便料金を抑えることができます。
WordやGoogleドキュメントで作成したら、3部印刷し、それぞれ押印して、印鑑と郵便料金を持って郵便局に持っていきましょう(印鑑は1行が20字を超えた場合の訂正印として使うことがあります)。
3部のうち、1部は債権者に、1部は郵便局保管に、1部は本人の控えとなりますので、時効援用が功を奏さなかった場合に備え、控えは保管しておきましょう。
ーーー(以下サンプル)ーーー
時効援用通知書
貴社は、私に対し、令和○年○月○日付「○○○○」と題する書面で私の貴社に対する債務の支払を請求されておられます。
しかし、本件債務に対し私が最後に弁済したのは5年以上前のことであり、かつ、その期間における時効中断事由もございません。
したがって、本件債務は既に消滅時効が完成しておりますので、私は本書をもって時効の援用をいたします。 よって本件債務は消滅することになりますので、今後は本件に係る請求をなされないよう願います。
また、本書を受け取られましたら、速やかに信用情報機関へ情報訂正のご連絡をしていただけますよう、併せてよろしくお願いいたします。
以上
令和○年○月○日
○○県○○市○○○丁目○番○号(注:本人の住所)
○○ ○○(注:本人の氏名) 印
東京都○○区○○○丁目○番○号(注:債権者の住所)
○○株式会社(注:債権者の会社名) 御中
時効援用通知書を送ったあとは・・・?👀
時効援用通知書が配達されたことを確認できたら、しばらく様子を見守りましょう。債権者から反論などがない場合は、これまでされていた督促が止み、そのまま終了になります。
債権者から反論などがある場合は、引き続き督促が続くことが予想されますので、以下も参考にしてください。
時効援用で難しい場合は、最寄りの行政の窓口へ!🏢
ここまで時効援用の方法を紹介してきましたが、債務の状況によっては、解決ができない場合があります。
・例1:過去に訴訟や支払督促などの裁判手続を起こされており、裁判所が債権者の請求権を認めている場合(「債務名義がある」といいます)は、その手続が完了してから10年後まで時効が伸びます。
・例2:本人が債務の存在を認める行為をした場合(支払いについての話をする、和解書を取り交わす、一部返済するなど)は、その行為があった日から5年後まで時効が伸びます。
上記のような事情のほか、時効を迎えていない債務については、時効援用により解決することができません。
その場合は、本人のお住まいの自治体の市町村の多重債務相談窓口に相談にされることをお勧めします。
市町村によって差はありますが、一般的に以下のようなサポートを受けることができます。
・債務、収入、支出の状況を整理し、対処方法について一緒に考えてもらえる
・債務整理(任意整理、自己破産など)が必要な場合は、それらの手続の案内に加え、弁護士、司法書士の紹介をしてもらえる場合がある
・社会保険料や税金の滞納、障害、介護など他の問題がある場合、他の行政機関への相談が円滑にできるように案内を受けられる
予約制の所が多いため、事前に電話して簡単に状況をお伝えしておくとスムーズです。
Q .書留郵便で配達される督促状は受け取るべき?
書留郵便を受け取ると、差出人(債権者)は、本人がその住所に住んでいることを確認できるため、引き続き督促の書面を送ったり、住所地に訪問したりする可能性が出てきます。
ただし、大きい金融機関であれば、わざわざ訪問までしてくることは通常無く、もし訪問されても相手にしなければ良いです(万が一、大声を出す、物を壊す、いつまでも帰ってくれないなどの迷惑行為がある場合は、警察を呼んでください)。
債務の全容を把握する上で、書面は重要なヒントになりますので、可能な限り受け取って確認することが望ましいです。
(どうしても受け取りたくないという場合は、前述した信用情報の開示請求により確認することも有効です。)
Q.裁判所から「口頭弁論期日呼出及び答弁書催告状」や「訴状」などが届いているのですが、出席しないといけないのでしょうか・・・?🧑⚖️
裁判所から届いた書類の中に「答弁書」があると思います。その中の「私の言い分」欄に、時効援用する旨を記載し、裁判所に郵送かFAXしてください。その後、裁判所に電話し、答弁書を送付したこと、口頭弁論期日には出席できないことを伝えてください。
これにより、時効援用通知書を送ったのと同様の効果があると扱われ、債権者(申立人)側に反論がなければ、訴えが取り下げられて終わることが通常です。
Q .SNSなどで「借金が減らせます」という法律事務所の広告を見かけますが、そこに相談するのはどうですか?
あくまで個人的な経験則に基づく意見ですが、SNSなどで借金の減額を謳った広告を出している弁護士・司法書士事務所は、相談者の最善の利益を考えた対処をしてくれないことが多く、全くお勧めできません。
以下の例は、いずれも私が相談者から伺った事例です。
・本人の収入、資産が少なく、法テラスの「弁護士・司法書士費用等の立替制度」が利用できる状況にもかかわらず、その案内をせず、しかも相場の2〜3倍近くの手数料を請求する
・自己破産でしか対処できないような状況であるにもかかわらず、無理な任意整理を勧めて手数料を支払わせ、その後本人が任意整理で返済できなくなっても関与しない(又は自己破産として受けて再度高額な手数料を取る)
・弁護士、司法書士と直接面談することなく、事務員がすべて対応したり、メールやLINEでのやり取り、ビデオ通話のみで完結したりする(日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会の内部規定に違反しています。)
スキルマーケットにて個別相談もできます💡
上記のような相談窓口はあるものの、
*リベシティの人に気軽に相談したい
*公的な窓口では〜〜と言われたんだけど、別の方の意見も聞きたい
*本人にどう関われば良いかを相談したい
というお声もいただくため、スキルマーケットの個別相談もできます。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください^^
【身近な人に借金が…!?】借金のお悩み総合相談
https://skill.libecity.com/services/28444
おわりに
長々と書いてしまいましたが、ご参考になれば幸いです。
支払えない借金を長年抱え続けることには、大きな心労を伴います。この記事をきっかけに解決につながり、ご家族が肩の荷を下ろせることを願っております。