- 投稿日:2025/01/08
- 更新日:2025/09/30

ひかりのたね
もりのおくふかくに ちいさな たね がおちていました。
そのたねは、ただのたねではありません。
よるになると ほんのりひかる ふしぎなたねでした。
たねはじぶんのことをしりたくて もりのどうぶつたちにきいてまわります。
「ぼくは、なんのたねだろう?」
さいしょにであったのは フクロウのせんせい。
「おや、めずらしいたねじゃ。だが、わしにもなんのたねかわからぬ。きっと、そだててみればわかるじゃろう。」
つぎにであったのは、リスのこどもたち。
「そのたね、たべられるかな?」
たねはおおあわてでこたえます。
「たぶんたべられないよ!ぼくはそだつためのたねだとおもうんだ!」
もりをたびするうちに たねはふしぎなことにきづきます。
じぶんがどこかにおちると、そのばしょがほんのりあかるくなるのです。
くらいどうくつではみちをてらし
かわべでは すいめんをきらめかせました。
「もしかして、ぼくは ひかりをとどけるたね なのかな?」
そうおもいはじめたたねは じぶんをうえるばしょを さがしはじめます。
あるひ たねはもりのはしで ひとりぼっちのしょうねんと であいます。
しょうねんは かなしそうに いいました。
「このあたりはいつもくらいんだ。だからみんなとおくにいってしまって、ぼくひとりだけのこったんだ。」
たねは ゆうきをだして いいました。
「ぼくをここにうえてみない?ぼくがひかるりゆうが、きっとわかるとおもうんだ。」
しょうねんがたねをうえると たねはすこしずつおおきくなり ひかりをはなつめがのびはじめました。
そのひかりは まわりをやさしくてらし もりのなかにすむどうぶつたちやひとびとをひきよせました。
いつのまにか くらかったもりは えがおであふれるばしょになりました。
おおきなきになったたねは じぶんのやくめをしります。
「ぼくはやっぱり ひかりをとどけるたね だったんだ。ここにこられてほんとうによかった。」
しょうねんはそのきのしたで「ありがとう」とそっとつぶやきました。
そして よるになるとそのきは ほしのようにもりぜんたいをてらしつづけました。