- 投稿日:2025/05/20
- 更新日:2025/09/29

遺族年金の金額の変遷について
夫が死亡し、妻と二人の子(18歳年度末までの子、障害なし)がいるケースについてみていきます。
ここでは遺族厚生年金・遺族基礎年金の支給要件を満たし、遺族厚生年金の金額が60万円(夫の老齢厚生年金の報酬比例の4分の3)/年と仮定します。
金額は令和7年度の金額となっています。
変遷のイメージ図は↓↓のとおりです。
妻と子二人が支払い対象となる場合
遺族厚生年金=60万円
遺族基礎年金=831,700円+239,300円+239,300円
=1,310,300円
遺族年金=600,000円+1,310,300円
=1,910,300円/年💰️
遺族厚生年金+遺族基礎年金本体+子加算2人分ということになります。
妻と子1人が支払い対象となる場合
上の子が18歳最初の年度末を迎えると、遺族基礎年金に加算されていた子加算1人分がマイナスされます。(遺族基礎年金は本体+子加算1人分)
このため、遺族年金は
1,910,300➖️239,300=1,671,000円/年💰️
となります。
妻のみが支払い対象となる場合(65歳まで)
子どもがみんな18歳最初の年度末に達すると、遺族基礎年金は終了となります😭。
そのかわり、「中高齢寡婦加算」(623,800円/年)が加算されます。
そのため、
遺族年金=600,000+623,800
=1,23,800円/年💰️
となります。
⚠️ 妻が自身の特別支給の老齢厚生年金(65歳前に受け取れる老齢年金)を受け取れる場合は、遺族年金か特別支給の老齢厚生年金のいずれかを選択し受け取ることとなります。
解説 中高齢寡婦加算とは 次のいずれかに該当する妻が受ける遺族厚生年金(※1)に、妻が40歳から65歳になるまでの間、623,800円/年が遺族厚生年金にプラスしてもらえるものです。(夫には加算されません)
1.夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子(※2)がいない妻。
2.遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)などにより、遺族基礎年金を受け取れなくなった場合
※1 死亡した夫の厚生年金保険の加入期間が20年以上の場合に限ります。
※2 「子」とは次の方に限ります。18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子。もしくは、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の障害の状態にある子
妻 65歳以降の遺族年金額
中高齢寡婦加算が加算されていたあるいは遺族基礎年金を受け取っていた昭和31年4月1日以前生まれの妻は、生年月日に応じて遺族厚生年金60万円に「経過的寡婦加算」が加算されます(妻のみ)。
経過的寡婦加算は生年月日に応じて金額が異なります。
ここでは、加算されないものとして説明します。
65歳から、妻自身が受給要件を満たせば、老齢基礎年金と老齢厚生年金がもらえます。
すると、遺族厚生年金は妻自身の老齢厚生年金を差し引いた金額しかもらえなくなります。
このため、仮に妻自身の老齢厚生年金(老齢基礎年金の金額は含まれません)が35万円だとすると、
遺族年金=60万➖️35万円
=25万円/年
となります。
⚠️ 遺族年金の60万円よりも妻の老齢厚生年金の金額が高い場合は、実質遺族年金は0円となります。
妻自身が厚生年金に加入し、老齢厚生年金の金額が増えると遺族年金が減るという仕組みになっています。
しかし、老齢基礎年金(国民年金部分)については、純粋に受け取れますので国民年金の支払いはしっかり行ったほうが良いかと思います。中高齢寡婦加算より妻自身の老齢基礎年金が少ない場合は、65歳以降の年金額がトータル減るという場合があります。
まとめ
遺族年金は一度決定されると、必ずしも一生涯同じ金額を受け取れるわけではありません。
人生設計において、遺族年金額がどれくらい受け取れるのかを把握する一つの材料となれば嬉しいです。😆