- 投稿日:2025/06/21
- 更新日:2025/09/29

現役消防士のかめと申します。
せっかく稼いで貯めたお金も、自分の命あってこそ価値があるものです。
今回は、地震が起きた時に自分の命を守る家具転倒対策をお伝えします。
結論
先にお伝えします。ここだけ見ても構いません。
寝室の家具の配置を見直しましょう!
たったこれだけのことで救われる命はいっぱいあります。
1 命を守る第一歩「家具転倒対策」——難しくない防災、まずは寝室から
2024年1月1日、石川県能登地方を襲った「令和6年能登半島地震」は、多くの命と暮らしを奪いました。震度7を観測したこの地震により、家屋倒壊や津波による被害も甚大でしたが、その中には「家具の転倒・落下」による負傷や命の危険にさらされたケースも少なくありません。
能登半島地震の被災者調査では、避難所に搬送された負傷者のうち、約38%が家具や家電の転倒・落下によるケガを負っていたとされています。これは、阪神・淡路大震災や東日本大震災など、過去の大規模地震と同様の傾向を示しています。
2 家具転倒は「二次災害」ではなく、命に直結する危険
多くの人が、地震で命を落とすのは建物の倒壊や火災だと思っています。しかし、実際には「家具の転倒や落下」が命を奪う主な原因の一つになっています。
総務省消防庁の調査によれば、1995年の阪神・淡路大震災では、死者の約10%が家具や家電の転倒・落下による圧死・窒息死でした。さらに東京都が実施した防災調査では、首都圏で発生するM7級地震では、負傷者のうち最大で5割が家具の転倒やガラスの飛散によってケガをすると予測されています。
こうした事実があるにも関わらず、家具転倒対策はまだ十分に浸透していません。
3 なぜ「寝室」から始めるべきなのか?
「家具の転倒防止をしよう」と思っても、リビング、キッチン、子供部屋と手を広げると、何から始めていいのか分からず、結局手が付けられないこともあります。だからこそ、まずは“寝室”から始めることを強くおすすめします。
その理由はシンプルです。人は一日の約3分の1、つまり約8時間を寝室で過ごします。そして、地震は昼夜を問わず突然やってきます。特に深夜の地震は、暗闇と寝ぼけによって、身を守る行動が極めて困難になるのです。
寝室に背の高いタンスや本棚があると、それが自分の方に倒れてきたとき、寝ている身体は逃げる余裕がありません。事実、阪神・淡路大震災では「タンスに押しつぶされて亡くなった」「逃げようとした瞬間に家具が倒れてきた」といった事例が多数報告されています。
4 首都直下型地震の切迫性——対策は「今」しかできない
政府の調査では、今後30年以内に首都直下地震が発生する確率は70%とされています。これは、仮に明日発生しても不思議ではないほど高い数字です。
首都直下地震では、震度6強以上の強い揺れが東京・千葉・埼玉・神奈川の広範囲に及ぶと想定されており、その被害想定では最大で死者2万3000人、経済被害約95兆円と見積もられています(内閣府・2022年報告)。
このような現実を前に、「家具の固定は面倒だから後回し」「賃貸だから難しい」と言っている時間はありません。“できるうちに備える”ことが、命を守る唯一の手段です。
5 今日からできる家具転倒対策:難しくない3つのステップ
「家具の固定」と聞くと、大工仕事のような面倒な作業を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際は費用も手間もそれほどかけずにできる対策が多くあります。特に寝室だけであれば、1〜2時間で終わることも可能です。
1 配置の見直し
ベッドの近くに背の高い家具がある場合は、可能な限り頭側・身体側に倒れてこない位置に移動します。横に倒れるような家具は特に注意。
2 家具の固定
市販の「突っ張り棒」や「L字金具」「ストッパー」で、家具を壁や天井に固定。最近では壁を傷つけにくい製品も多数登場しており、賃貸住宅でも使用可能です。
3 家具の上に物を置かない
重い物、割れ物、収納ケースなどが家具の上に積まれていませんか?落下物も大きな危険です。できるだけ別の場所に収納を。
6 未来を守るのは、「今」の小さな行動
自分の命を守るのは、災害が起きる前だけです。家具の転倒対策も、地震が起きてからでは間に合いません。
「家具が倒れなかっただけで、助かった命」がこれまでにも数え切れないほどありました。
そしてそれは、「昨日、寝室の家具を少し動かしただけ」で守れた命かもしれません。
完璧な防災でなくていいのです。“せめて寝室だけでも”、今日から一歩を踏み出してみませんか?
それが、あなた自身と家族の命を守る一番確かな行動になります。
すぐ行動することで一緒に守る力を鍛えましょう!