- 投稿日:2025/06/30
- 更新日:2025/09/29

はじめに
「どうして私だけできないの?」「みんなはもっとちゃんとしてるのに」発達障害のある子どもを育てていると、こんな言葉を聞くことがあります。 特に思春期、高校生になると「社会に適応できるのか?」「この子のままで大丈夫か?」という親の不安が強くなりがちです。
でも私は、自分の家庭での経験から、「普通じゃなくていい」と本気で思っています。むしろ、本人が“自分らしくある”ことを支える環境が、社会での生きやすさに繋がるのです。
この記事では、我が家で育ててきた「普通じゃなくていい」をベースにしたルールづくりと、趣味に没頭する娘(高校生)との具体的な関わりについて紹介します。
1.「普通」の正体を疑ってみる
「普通って何だろう?」これは、発達障害のある子どもと向き合うと、避けて通れない問いです。
学校では「時間通りに行動する」「空気を読む」「話を合わせる」ことが重視され、社会でも「まわりに合わせること」が求められます。でも、発達特性を持つ子にとって、これらはとてもハードルが高い。
たとえば、音に過敏な子にとって、賑やかな教室は苦痛です。相手の表情の微細な変化を読むのが苦手な子にとって、「空気を読む会話」はほぼ暗号の世界です。
こうした“見えない困りごと”の中で、「普通にして」「もっとちゃんとしなさい」は、自己否定を深めるだけです。
2.我が家の基本ルール:「自分を大切に」「人を傷つけない」
我が家のルールは、たった二つです。
1.自分を大切にすること
2.人を傷つけないこと
これだけです。細かいことは、その都度調整していきます。大切なのは、「型にはめる」のではなく、「本人が心地よく、自分らしくいられる状態」を家の中で作っていくこと。
このルールを軸にすると、日々の声かけや判断がとてもシンプルになります。
例: 「宿題より、今は休んだ方が自分を大事にできる?」 「あなたの言い方で、お母さんがちょっと傷ついたよ」
この2つの軸があることで、親も子も“正しさ”より“自分の気持ち”に目を向けるようになります。
3.趣味に没頭する高校生の娘との関わり方
私の娘は高校1年生。今はゲームやゲーム内チャットに夢中です。週末は推しキャラのイラストを描いたりイベント参加などの計画で頭がいっぱい。家事には目もくれません(笑)。
「少しは家のこともしてほしい」と思うこともありますが、コミュニケーションが苦手な彼女がチャットを楽しんだり、イベントに参加する時間は、彼女が「自分らしくいられる貴重な時間」です。
そこで私たちは、話し合ってこんなルールを作りました。
・平日は趣味優先でOK。日曜の午前中だけは洗濯物をたたむ。
・ご飯中はスマホ禁止。食べながらでも今日の話を少しする。
・部屋は週に1回、自分で整える(やらない時は声かけする)
“できる範囲”で“話し合って決める”この姿勢が、「家族の一員である感覚」「責任感」につながっているように思います。
4.家庭の中で「社会の練習」をする
家の中は、子どもにとって最初の社会です。
「自分を守る」 「他人と折り合いをつける」 「嫌なことにどう対処するか」
これらを家庭で経験できれば、学校や社会に出たときに「自分を守る力」や「伝える力」が育っていきます。
我が家では、こんなことを意識してきました。
・子どもが機嫌の悪いときは、「今話せる?」「あとにする?」と確認してから話す。 ・「○○すべき」ではなく、「○○するにはどうする?」と“協力”を求める言い方に。 ・親も自分の苦手や失敗を共有する。「お母さんも今日はイライラしちゃってさ…」
“完璧な大人”を演じるより、等身大の大人の姿を見せる方が、子どもにとってはリアルなモデルになります。
5.「できることを、できる範囲で」への許可
発達障害のある子どもは、「できないこと」が目立ちやすく、「やらせなきゃ」と思うほど親の負担も増えます。
でも、「今はここまでできてる」ことに目を向けてみてください。
娘も、洗濯物を雑にたたみ、時には忘れます。でも、「やろうとしてる」その姿に意味があります。
親はつい「完了形」で物事を見がちです。でも、プロセスに価値を見出すことが、子どもの“自分らしさ”を肯定する一番の応援になります。
おわりに:普通じゃなくていい。あなたは“あなたらしい”がいちばん強い
「普通」とは、多数派の平均値でしかありません。発達障害のある子どもにとって、“普通”を目指すことは、自分らしさを削ることになってしまうことも。
我が家では、「できること」「好きなこと」「得意なこと」を尊重しながら、 社会の中でも生きやすくなるための“自分軸”を家庭の中で育てています。
「自分を大切にする」「人を傷つけない」 この二つのルールを土台に、子どもと話し合い、調整しながら進む日々。
それは、社会に出たときに必ず役に立つ、 “自分らしさを大切にしながら、人とつながる力”を育てるプロセスだと信じています。
家庭の中のルールづくりは、「親が子をコントロールすること」ではなく、 「子どもと親が一緒に、生きやすい方法を考えていくこと」。
あなたの家庭にも、「普通じゃなくていい」我が家だけのルールをぜひ作ってみてください。