- 投稿日:2025/07/31
- 更新日:2025/11/18
まず最初に知っておいてほしいこと
・一般的に“創業計画書”というと、日本政策金融公庫の書式をイメージする方が多いと思います。本記事では、創業計画書の必要資金や売上高、原価率など、各種数値の考え方について解説していきます。
・しかし、本当に重要なことは「書類を作成すること」ではなく、「算出した数値から具体的な行動計画を考えること」です。書類作成は目的ではなく手段です。
・この記事の真の目的は、目標金額や利益率から、必要な仕入れ金額・行動量を数値で“見える化”し、実行可能な計画に落とし込むことです。
➡この記事での創業計画・事業計画の定義:目標金額、利益率、目標達成に必要な仕入れ金額と行動量の具体的な数字を算出すること
・ただし、計画はあくまで“スタートライン”です。最初から完璧な予測はできません。試算には「ざっくり感」があってOK。まずは全体感を掴みましょう。
・最も大事なのは、とにかく“せどりの実践”です。数字はあとで修正できます。計画は走りながら調整すれば大丈夫なので、サクッと計画を立てて、早く実践に移ることが大切です。
さて、それでは早速せどりの事業計画に取り掛かりましょう。
ステップ①:目標金額を決めよう(月利目標)
最初に「月にいくら稼ぎたいのか?」という目標を決めましょう。
「月5万円くらい欲しいな」「家賃分くらい稼ぎたい」――そんな動機でOKです。数字の根拠は不要、まずは“心がワクワクする金額”を設定してみてください。
ステップ②:利益率を仮決めしよう
利益率は「利益 ÷ 売上」で計算できます。
例えば、売上が10万円で利益が2万円なら、利益率は20%です。
初心者の方は、以下のような利益率の目安を参考にしてください。
これはあくまでも目安です。
もし実情に合っていなければ、あとからいくらでも修正できるので、最初は「えいやっ!」で決めてOKです。
今回は新品の店舗せどり(利益率15%)でケーススタディをしていきましょう。
ステップ③:月商と仕入れ金額を計算しよう
目標金額を達成するために必要な「月商」と「仕入れ金額」を算出します。
◆目標月商の計算式:(目標月利) ÷ (利益率)
たとえば、目標月利5万円、利益率15%なら、目標月商は次の通りです。
5万円 ÷ 15% = 約33.3万円
◆必要仕入れ金額: (月商) × (原価率)
原価率65%と仮定すれば、ひと月あたりに必要な仕入れ金額は
33.3万円 × 65% = 約21.7万円
※原価率の目安がわからなければ、ひとまず「65%」で計算してみて下さい。
(今回は平均販売価格4000円、販売手数料10%、平均送料400円、利益率15%と仮定し、原価=4000円-4000円×10%-400円-4000円×15%=2600円→原価率=2600円÷4000円=0.65という想定で計算しています。が、最初はよく分からなくても大丈夫です。とりあえず65%で計算してみて、実際にせどりを実践していくなかでギャップを感じたら、その時に見直せばOKです。)
ステップ④:1日あたりの必用な仕入れ金額
ステップ③で算出した1ヶ月に必要な仕入れ額(21.7万円)を、1日ごとの作業量に分解します。
例えば、店舗せどりで平日20日稼働、1日あたりの仕入れ時間を2時間と仮定した場合
1日あたりの仕入れ目標:21.7万円 ÷ 20日 = 約1.1万円/日
もし原価(仕入れ値)2600円程度の商品であれば、目標達成までに必要な仕入れ量は1日あたり4~5個程度です。
どうでしょう。1日4~5個の仕入れならば、なんだか自分でもできそうな気がしませんか?😆
ステップ⑤:実現できそうか?を確認しよう
この計算結果が、自分のライフスタイルや行動量に合っていそうかを確認しましょう。
・実際に2時間で4~5個仕入れられる?
・移動距離や在庫スペースは?
・時間の確保はできる?
できそうであれば、もうやるだけです!
もし難しいと思えば、ご自身の状況に合わせて前提条件を見直しましょう。
例えば、平日に毎日せどりをするのは大変だなあと感じたならば、土日のどちらかを使って月に4日×7時間稼働という条件に変更してみましょう。
1日あたりの仕入れ目標:21.7万円 ÷ 4日 = 約5.4万円/日
一日あたり5.4万円をしいれることが出来れば、仕入れノルマを達成できます。
仕入れ単価2600円の商品なら20~21個を仕入れることが出来ればOK。
電脳や中国輸入など、他の手法でも考え方は同じです。
このように、目標月商から必用な仕入れ金額・行動量のノルマを数値化し、実際の行動計画(事業計画)に落とし込んでいくことが重要です。
応用編:計画見直しのやり方
今回のケーススタディでは比較的現実的な目標設定になっていましたが、設定に無理があるパターンも考えられます。
例えば、目標金額が月利5万円ではなくて、3倍の月利15万円ならどうでしょう。
・仕入れ金額も3倍 → 65万円/月
・1日あたり → 3.25万円の仕入れ
・仕入れ値2600円の商品なら → 12〜13個/日
初心者にとっては、ちょっと大変そうな数字じゃないでしょうか。
現実的に厳しい設定になっている場合は、何かを改善するような施策を考えていかなければなりません。感覚的な話ではなく、これまで計算してきた変数(パラメータ)を論理的に改善し、月利を3倍にしていかなければなりません。
▼ 目標達成に向けた改善例:
稼働時間を増やす:1日2時間 → 6時間(3倍)にする。
仕入れ単価を上げる:2600円 → 7800円(3倍)にする。
利益率を上げる:ジャンルを変える or 商品選定力を強化。→利益率を3倍にする。
手法を変える:大量仕入れが可能な電脳せどり等を検討。
上記のように、ひとつの変数を3倍にすれば月利も3倍になりますが、実際には、複数の施策を掛け合わせて、実現可能なスタイルを模索していくことが多いです。
例えば、稼働時間を2時間から3時間(1.5倍)に増やし、平均仕入れ単価を2600円から3900円(1.5倍)に上げて、利益率を15%から20%(1.33倍)にUPすれば、トータルで1.5倍×1.5倍×1.33倍=3倍の成果が期待できます。
このように「数値化して行動計画に移していく」という一連の流れは、創業時の計画段階だけではなく、ある程度経験を積んだせどらーがステップアップをしていくうえでも必要な考え方です。
大切なのは“計画”より“実行”
ここまで計画の立て方を説明してきましたが、正直に言うと、計画通りにいくことの方が少ないです(笑)
それでも、計画を立てることには大きな意味があります。
・自分の現実的な限界が見えてくる
・どこを改善すればいいのか数字で分かる
・やるべきことが明確になる
でも、何より大事なのは“やってみること”。
机上の空論で終わらせず、まずは小さく一歩踏み出してみましょう。
数字はあとからいくらでも変えられます。PDCAをどんどん回して、成功へと近づいていってください。
最後に
この記事が、せどりを始めるあなたの背中を押すきっかけになれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!