- 投稿日:2025/08/16
- 更新日:2025/09/29

作成の目的
創業計画書を作成することの目的は、取り組む事業の「売れる仕組みをつくる」ことです。よく「業績の向上」「現状把握」と言いますが、売れる仕組みが上手く機能していれば両方を達成できます。また、売れる仕組みが好き、スキル、経験等目に見えない無形資産から来ていることが大切です。有形資産はお金が掛かるため有限、無形資産は無限。無形資産を伸ばしましょう!
1.創業の動機
動機と言われると書きづらいですよね。ご本人が好きと思う理由や今まで蓄積してきたスキル・経験です。突然、全くの未経験から事業を始めることはまれで前職やアルバイト等で経験しているなど、きっかけをお書き頂ければ良いです。
一方でライバルは好きでこの事業を行っていると思います。好きじゃないと成果が出るのに時間が掛かる中で続けていくことは難しいです。参考にしてみてください。
2.経験者の略歴等
今までどのような経験をしてきたかです。事業を行うには色々な知識が求められます。事業に直接関係ない技能でも経理をやっていたらお金の管理は分かっていそうとか。営業職であれば商品さえ良ければ売れそうとかです。過去は変えられないですから、素直に書いて頂ければ良いと思います。
取得資格については、そもそもその資格がないと開業出来ないということがあります。創業するに当たり資格保有が必須かの確認をお願いします。
3.取扱商品・サービス
取扱商品・サービスの内容
ご自身が取り扱われる商品やサービスを大きく3つ以上に分けてその内容と売り上げに占める割合を記載します。「何を」売るのかを明らかにします。
セールスポイント
ご自身の「強み」を記載します。つまり「付加価値」です。この付加価値が利益の源泉儲かるポイントです。
例えば、同業のライバルがいたとします。価格は一緒です。それでもお客さんはあなたを選んで取引してくれました。その理由は何でしょうか?。
販売ターゲット・販売戦略
「誰に」売るのかを検討します。限られた時間、限られた人数・体力で販売するので闇雲に売っていては成果に繋がりません。あなたの強みをより高い値段で購入してくれる人、高い付加価値を感じてくれる人を選定します。いわゆるお魚さんです。お魚がいるけどそのお魚が食いついてくれる餌との相性も検討します。あなたの強みとターゲットの相性は良いでしょうか。
絶対に薄利多売にしてはいけません。「価格競争に巻き込まれない」ことも創業計画書を作る目的です。価格競争の先で待っているのは消耗戦です。精神的にも肉体的にも疲弊しては自由から遠ざかることになります。
事業によっては販売先とお金の支払者が異なる場合があります。商工会議所やよろず支援拠点の相談員に相談するお客さんと相談員にお金を支払う公的機関職員という具合です。双方に付加価値を感じて貰う必要があります。
マーケットイン・プロダクトアウト
昔は今のように何でも手に入る時代ではなかったため、製品を作ってからどのように売るか考える時代でした。これをプロダクトアウトといいます。一方で、今は必要とされる商品・ニーズを調査してどのように売るかを検討したうえで、商品開発を行います。これをマーケットインといいます。今はひとつの選択肢は何かしらあって、複数の選択肢を提示するイメージです。つまり、ニーズに対してどのように売るのかを検討した上で、商品・サービスを考えるため、考える順番が逆になります。今は、マーケットインで考えていかないと売るのが難しい時代となっています。参考にYouTubeで「覆面ビリオネア」【ビジネス格言集】正体を隠して1億円を稼ぐ大富豪「11」のビジネス金言買い手を見つけて相手のニーズに合わせるをご覧ください。
競合・市場など企業を取り巻く状況
ライバルがいるところにお魚がいます。どんなライバルですか。お魚は多いですか。過当競争となっていないでしょうか。ライバルからお客さんを奪うのですが、価格以外の差別化が必要です。あなたの参入がライバルとの価格競争を生んでしまうとお互い疲弊します。
イメージとしては、ライバルはAという商品を売っています。あなたはA’という商品・サービスを提供するのではなく、Bという商品・サービスをお客さんに提示することによりお客さんに新たな選択肢を提案する。価格以外で差別化出来れば社会的にも価値が生まれます。
とりあえずここまで!
ここまでは創業する人、副業を始める人に作成して欲しいです。これ以降は数字で記載しなければならないため、事業をこれから始める人や事業を始めたばかりの人はハードルが高いと思います。
ここまででいいですから創業計画書作ってみてください!
今後は事業を行いながら、先行く先輩や固定客・リピーターになってくれたお客さんに相談すると良いです。数字計画についても事業開始半年以内には完成させましょう!ひとりで悩む方が時間がもったいないので、創業計画書を作成したことのある人に相談しましょう!
7.必要な資金と調達方法
以降は気になる人だけ読んで頂ければと思います。4~6は省略します。
設備資金
商売道具です。これが今まで散々申し上げてきた無形資産の対となる有形資産です。商売道具が足りていないということはないですよね?。仕事で使用するパソコンが5年前はあり得ないです。非効率のハンデを背負って事業を行わないようにしましょう。
運転資金
事業を行う上で掛かってしまう費用などです。イメージとしては年間売上高の3ヶ月ほどと言われています。季節変動が大きい事業でしたら半年ほどと考えれば大丈夫です。
調達方法
簿記の原則からするとこちらを先に解説するのが本来ですが、日本政策金融公庫の創業計画書エクセルシートが上記2つを記載した上で左右の合計金額を合わせた方がよいのでこの順番にしました。「借金なんかするんじゃねぇ」ですから自己資金に金額を記入すればよろしいかと思います。
8.事業の見通し
ここで気をつけることは資金が底をついてしまい事業継続が困難になることです。創業当初はご自身が創業したことを世間の人は知りません。ご自身の人脈を活用して創業当初は乗り切りましょう!事業が軌道に乗ってからご自身が思う事業やお店作りをすればよいのです。最初は事業を軌道に乗せることが最優先です。
創業当初
経費倒れになってしまい赤字でも大丈夫です。しっかり想定しましょう。機会損失は避けてください。例えば夜の店だから昼間のランチはやらない等です。創業当初は少しでも売り上げがあがる方がよいです。
1年後又は軌道に乗った後
記載しやすい方で大丈夫です。私個人としては軌道に乗った後の方が書きやすいです。創業当初は売り上げ確保のため、ある程度売り上げがあがる仕事を受けておいて、軌道に乗った後はご自身がやりたい仕事とのバランスを考慮しつつ仕事量を調整すればよいです。せっかく会社員でないのですから、仕事をご自身の判断で選べる自由を手に入れて欲しいと思います。
おわりに
最期までお読み頂きありがとうございました。他の方が創業計画書の作成の仕方をノウハウ図書館に寄稿されていたのも拝見し、融資に利用しないことを前提として解説しました。いかがでしたでしょうか。書き方を理解されたら、先行く先輩もしくは固定客・リピーターになってくれたお客さんに半年に1回相談して見直しされることをお勧めします。事業環境変化といいますが、感染症や異常気象、AIの発達など私達がコントロールできない外部環境がスピードを増して変化しています。私も自由を目指す一員として応援しています。共に頑張りましょう!
おまけ
私は現在中小企業診断士の勉強をしています。資格取得後独立する予定です。独立時の創業計画書を作成しました。士業は自分とパソコンさえあれば出来るので、売り上げのほとんどが利益です。仕入れもなければ在庫もなし。属人性が高いため従業員を雇うのは難しいです。参考までに!
上級者向け(誰かに見せることが前提の方向け)
融資を受ける人や協力してくれる仲間を探している人で、創業計画書を見せることを前提としている場合です。融資を受ける場合には、金融機関の支店長で支店長決裁権限は1件500万円ほどです。それ以上は本店融資部からの決済も必要になります。そこで、金融機関の担当者に応援して貰えるか。「私のビジネスプラン応援して貰えませんか」という気持ちで説明しましょう。また、誰かにビジネスの協力をお願いする場合に、計画書を見せた時に「協力して貰えないか」「応援して貰えないか」という視点が入っているかが大切です。気にする人は気にするのですが、「困っている人がいるので、こういったサービスを提供します。」という場合です。困っている人にサービスを提供してお金を頂く場合に、さらにお客さんが困窮するという場合があります。ターゲットとなるお客さんがお金に困っている人ではない。もしくは、広告収入等を通して顧客にサービス提供して、広告主から料金を貰うなど顧客とお金の出し手が異なるなどのビジネスプランにしておくことも注意が必要です。協力して貰うどころか敵に回してしまうこともあるので気をつけましょう。
結局は頑張る動機
こう言ってしまうと元も子もないのですが、ビジネスアイデアなんて誰かしら同じものを持っています。それにビジネスプラン通り事業が上手くいっている人も少ないです。結局はなぜそのビジネスをやりたいと思ったのか。頑張る理由は何か。何があっても頑張り続けることが出来るのかを知りたいのです。そのビジネスを行う上で、今までどれほど準備してきたのか。経験をどれほど積んできていて、失敗の経験や誰かの失敗を見てきているとか。その業界の特性や慣習を知っているとか。これが想像を超える失敗はしないだろうな、再起出来ないほどの失敗はないだろうな。ということを予想出来ます。結局世の中、やらない人、行動しない人が多いということです。行動していれば行動する人のコミュニティに招かれたりとか、誰かを紹介して貰えたりとか。どちらかというと誰かを引きつける理由やストーリーの方がよっぽど大切です。
独立したら成長できない!?会社員は成長できる!?
完全に私が書きたいことを書いてしまっていて申し訳ないです。よく独立したら自分の能力を超える仕事は来ない。一方で、会社員は本人の成長を考えて難しい仕事を任せて、難しいところは先輩が教えてくれる。だから、成長したいなら会社員、報酬が青天井なのは独立と言われたりします。しかし、私は独立についてはビジネスを継続して成長させるという違う部分があると思うんです。「ビジネスが自分の手を半分離れてみんなで作り上げて成長させる感じは会社員の成長とは違うのでは」と思うんですよね。合う合わないはあると思いますので、まずは副業でチャレンジしてみて欲しいです。