- 投稿日:2025/08/17
- 更新日:2025/10/11
はじめに
突然ですが「スマホ新法」という言葉を聞いたことはありますか?
最近ネットやSNSで話題になっていて、
・iPhone終了のお知らせ
・iPhoneのセキュリティリスクが高くなる
・AirDropが使えなくなるらしい!
といった噂が広がっています。
不安をあおるような情報も多いので、気になっていた方もいるかもしれません。
私自身も気になったので、実際に法律の条文や関連資料を調べて「結局iPhoneはどうなりそうなのか?」をわかりやすく解説していきます!
結論:今は心配する必要なし!
実は現時点では施行が決まっているだけで、細かい運用ルールはまだ決まっていません。
細かいルールは今後の運用の中で決められていく予定だそうです。
そのため今後iPhoneがどのように変わっていくかもまったくわかりません!
なので、この記事もこれで終わりです!
ありがとうございましたー✨
というのは冗談で、せっかく読んでくださった方に申し訳ないので、
ここからは「知識だけでも身につけておこう!」ということで、スマホ新法の中身を解説していきます!
スマホ新法とは?
正式名称は
「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」
です。長いので、これ以降も「スマホ新法」と呼びます 笑
内容を簡単に言えば、
スマホに関係するソフトを、一部の会社だけが好き勝手に独占しないようにするためのルール
です。
対象となる会社は「Apple」と「Google」の2社で(注1)、
施行は今年の12月18日までに行われる予定です。
スマホ新法の目的
スマホが普及してから20年以上が経ち、今では私たちの生活に欠かせないものになりました。
仕事だけでなく、勉強、遊び、買い物など、あらゆる場面で使われています。
ですが、スマホに関係するソフトを扱う大きな会社はほんの一部です。
その結果、その大企業が自分たちに有利なルールを作ったり、他の会社の活動を妨げたりするのではないか、という懸念が出てきました。
そこで「もっと公平に競争できる環境を整えよう!」と作られたのがスマホ新法です。
競争が増えることで企業はより良いサービスを開発し、最終的にユーザーにとってもメリットが大きくなることが期待されています(注2)。
対象となるソフトウェア
先ほどから「スマホに関係するソフト」という言葉を使ってきましたが、実際にどんな分野を扱う会社が対象なのかも、はっきり決まっています。対象は次の4つです。
・OS(スマホを動かす基本ソフト)
・アプリストア
・ブラウザ
・検索エンジン
つまり、スマホを使ううえで欠かせない部分が丸ごと対象になっているわけです。
これらの分野を少数の企業だけが独占しないようにすることが法律の大きな狙いです(注3)。
想定されるデメリット
ではこの法律は、ウワサされているようなデメリットがあるのでしょうか?
私は次の1つがデメリットになりそうな印象を受けました。
セキュリティリスクの増加
条文には、
「他のアプリストアからもアプリをダウンロードできるようにしなさい」(注4)
と書かれています。
現在のiPhoneでは、App Store経由でしかアプリを入れられません。
さらにApp StoreのアプリはAppleの厳しい審査を通過していて、ウイルスや危険なアプリは排除されています。
ですが、他のアプリストアが解禁されると、
厳しい審査を通らないアプリが出回り、セキュリティリスクが増える可能性があります。
ですが、他のアプリストアが解禁されると、そうした厳しい審査を受けないアプリが出回る可能性があります。
そのため、これまでよりセキュリティリスクが大きく高まることが懸念されています。
想定されるメリット
ではこの法律にメリットはないのでしょうか?
私はむしろメリットの方が多いと考えています。
ここでは便利になりそうな項目を3つを紹介します。
使えるアプリが増える
アプリストアが解禁されれば、これまでApp Storeにないアプリも利用できるようになります。
私たちの選択肢が広がり、より便利なアプリを活用できる可能性があります。
標準アプリに依存しなくなる
現在のiPhoneでは、ブラウザやメールアプリは選べるようになりましたが、地図アプリはAppleマップしか標準にできないなど、まだ制限があります。
新しい法律では、こうした標準アプリをより自由に選択できることを求められています(注5)。
これが実現すると、より自分好みのiPhoneにカスタマイズできるようになります。
スマホの乗り換えが楽になる
AndroidからiPhone、もしくはその逆への乗り換えは、データ移行がめんどくさいことが課題になっていました。
新しい法律では「連絡先」「購入したアプリの情報」「ブラウザのお気に入りやブックマーク」がスムーズに移行できることを求められています(注6)。
これが実現すると、スマホの乗り換えが今よりもはるかに楽になります。
なぜ不安が広がっているの?
今のところメリットの方が多そうな法律ですが、
なぜ「スマホ新法はヤバイ」と言われているのでしょうか?
その理由は、ヨーロッパで先に施行された類似の法律で、利便性の低下などの問題が報告されているからです。
ヨーロッパで何が起きているの?
ヨーロッパでは2024年に「Digital Markets Act(以降、DMAと記載)」という法律が施行されました(注7)。
この法律の影響で、Appleは規制対応のために一部の機能を変更したり、まだ提供されていない機能があります。
例えば、
・iPhoneとMacのミラーリングやSharePlay画面共有が提供されていない
・AirPodsの自動切り替え機能も一部挙動が変わった
など、ユーザー体験に直接影響する変更がありました。
背景には「Appleの製品間連携が閉じた仕組みになっており、他社のサービスやデバイスとの競争を阻害している」というEU側の問題意識があります。
日本でも同じことが起きるの?
では、日本でも同じことが起きるのか?と言われると、私は可能性は低いと考えています。
理由はシンプルで、日本の法律は対象を「スマートフォン関連サービス」に限定しているからです。
一方、ヨーロッパのDMAは「コアプラットフォームサービス(アプリストア、OS、ブラウザ、検索、SNS、クラウド、メッセージサービスなど)」を対象にしているため、影響が大きくなっています。
つまり、日本では対象範囲が狭いため、同じような問題が起きる可能性は低いと考えられます。
煽り情報に騙されないようにしよう
SNSなどでは、
・ヨーロッパではAirPodsの自動切り替え機能が完全に使えなくなった
・AirDropも使えなくなったらしい
などのウワサも流れています。
ですが、実際にはそうした事実は確認されていません。
ユーザー体験に一部制限が入ったのは事実ですが、「使えなくなった」までにはなっていません。
煽り情報に振り回されて不安になりすぎないようにしましょう😊
まとめ:ITリテラシーを高めよう!
最終的に言えることは、「まだ細かいことは決まっていない」ということです。
そのため、現時点で不安になる必要はありません。
ですが、今後の運用次第ではスマホの使い方に影響が出る可能性もあります。
だからこそ大切なのは、
ITリテラシーを高めて変化に柔軟に対応できるようにしておくことです。
安心してスマホを楽しむためにも、これからの動きを一緒に見守っていきましょう!
参考資料
(注1)(令和7年3月31日)スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律における特定ソフトウェア事業者の指定について
(注2)スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(令和六年法律第五十八号) 第一条
(注3)同法 第二条
(注4)同法 第七条
(注5)同法 第一二条
(注6)同法 第一一条
(注7)Digital Markets Act