- 投稿日:2025/10/01
- 更新日:2025/10/10
学長の地震保険に対する考え
毎朝ライブでもよく話題に上がっていますが、地震リスクは確率低・損失大だけど、地震保険は費用対効果(リスクとリターン)が見合わないため、多くの人にとって不要、基本的に貯蓄で備えるべきリスクと言われています。
学長マガジンではこのように回答されています。
👨👩「火災保険は、地震による火災には保険が出ないと聞きましたが、その場合でも火災保険のみで地震保険は不要なのでしょうか?」🦁結論基本的に不要やな。
https://libecity.com/room_list?room_id=President-Tweet&comment_id=BErNgl1GookSUnPrDWVX
👨👩質問保険は、「確率低、損失大」に備えるものなんですよね。とすると、地震保険は要らないのでしょうか?地震は、火災と同じく、確率は低いけど、大損失な気がします。🦁ワシその通り。本来そこに当てはまるものやな。ただ、問題は…意外と保険金が出にくいねん。苦笑
https://libecity.com/room_list?room_id=President-Tweet&comment_id=hxuLGJPv0XBXAxwjUtFA
地震保険は基本的には不要ということはみなさん、頭では理解できていると思います。
でも・・・
本当に解約していいのか分からない。
お金の勉強フェスで火災保険のボランティアをした際には解約を迷われている方がとっても多かったので、シティの中も同じような方が多いのではないかと思います。
そもそも地震保険とは?🤔
まず、基本のポイントからおさらいです。
地震保険は、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災、損壊、埋没、流失による損害を補償する保険です。
【地震保険のポイント】
①地震保険に関する法律に基づいて政府と民間の損害保険会社で共同運営している制度
▶民間の損害保険会社の独自の保険商品ではない
②地震災害による被災者の生活の安定に寄与することを目的
▶家を建て直すための保険ではない
③保険料は各社共通
▶どこの保険会社がお得に入れるか?はない
④保険料はすべて準備金として積立
▶保険会社の利益が上乗せされていない
⑤火災保険とセットで契約
▶地震保険だけ入りたくても入れない
⑥居住用の建物と家財が対象
▶店舗や事務所の建物や設備什器は対象外
📝参考資料
保険料はいくらかかる?
地震保険の保険料は保険会社によって保険料が変わるような他の保険商品とは異なり、国が定めたルールで決まっています。
そのためどの保険会社で契約しても全く同じ保険料で、①どこに住んでいるかと②どんな建物かで決まります。
日本損害保険協会のHPで試算できます➝地震保険料試算
① どこに住んでいるか(地域の危険度) 🗾
日本は地震が多い国ですが、地震が起きやすい場所と比較的起きにくい場所があります。過去のデータや科学的な調査から、将来大きな地震が起きる可能性が高いと予測されている地域はリスクが大きいと判断され、保険料が高く設定されています。
・東京や愛知のようにリスクが高いとされている場所➝保険料高い⬆️
・福岡や北海道のように比較的リスクが低い場所➝保険料安い⬇️
② どんな建物か(建物の頑丈さ) 🏠
建物の種類によって地震が起きた時の壊れやすさも変わるため、壊れやすいお家ほど保険料は高く設定されています。
・イ構造(非木造):鉄骨やコンクリートでできたマンションなど。
火事に強く、壊れにくいのでリスクは小さい➝保険料安い⬇️
・ロ構造(木造):木でできた一戸建てなど。
非木造に比べると火事や揺れの影響を受けやすいのでリスクは大きい➝保険料高い⬆️
③年間の保険料例
地震保険の保険金額100万円あたりの金額を地域と構造を表にしたものがこちらです。
所定の確認資料を提出することで10〜50%の割引を適用できる場合もあります。
・東京都のイ構造の住宅で保険金額が1,000万円なら27,500円
・大阪府のロ構造の住宅で保険金額が1,000万円なら19,500円
※割引制度は考慮していません。
建物も家財も100万円あたりの金額は同じです。
けっこう高いですよね。
保険金はいくらもらえる?
保険料と同じく、どこの保険会社がいいように払ってくれるか?はありません。どの保険会社も同じ基準で認定をしています。
地震保険の認定の仕組み
地震保険は超簡単に言うと、建物や家財全体のうちどのくらいに損害があったかの割合を算出し、「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4区分に分けて認定します。
その区分に応じて決まった割合の保険金が支払われる仕組みです。
ここまでは多くの方がご存知と思います。
その他に、損害状況が4区分のどれにもに当てはまらない「無責」というのもあります。
損害の割合が「一部損」にすら当てはまらない場合は保険金は支払われません。0円!
必ず4区分のどれかに当てはまるわけではないのです。
地震保険金1000万円の場合の例
では、仮に火災保険の保険金額が2,000万円で地震保険に加入していた場合にいくら支払われるのでしょうか?
地震保険が保険金額1,000万円(50%)と600万円(30%)の場合で比較してみます。
※ここでは時価額限度という点は考慮していませんので、あくまで簡易的な試算として捉えてください🙏
地震保険の支払いで最も多いのが一部損です。
1,000万円かけてても50万円、600万円かけてても30万円。
実際に自分が被災したとして、この金額をもらってどう感じますか?🤔
地震保険の保険金請求者のリアルボイス
ここからが本題です。長年、地震保険の支払い実務をやってきた中で感じていることはこちら。
「地震保険の支払い金額に満足してる人は非常に少ない」
地震保険の支払い実務の中で実際に散々言われたセリフを紹介します。よりリアル感を出すためにオブラートに包まずありのままで書きます。
※言葉がキツイけど、本当にこういう言い方されます🥺(泣)
その前に前提・・・・
かなり大雑把な説明となりますが、地震保険は再保険なので損保各社が支払ったあとに支払った金額を再保険会社から回収しているので、自腹を切って保険金を支払している他の保険とは扱いが全く異なります。
何が言いたいかと言うと、
損保各社からすると地震保険の支払いを渋る理由があまりないので、渋って払わないようにしているのではなく、機械的に計算した結果、請求者の気持ちを満たすような支払い金額になっていないということです。
(金融庁から厳しく指導されているので、今は昔のように「払い渋り」には各社敏感。地震保険以外も渋っていないハズ🤔)
①これだけしか払ってくれないのかよ!😠
一部損の認定となることが多いので、多くの人は地震保険の保険金額の5%しかもらえません。
逆に全損の認定でも当面の生活の安定を目的としている地震保険ではお家の再建ができるほどの保険金はもらえません。
どちらにしても「たったこれっぽち😠」と思われる人が多いのです。
②いざという時に払ってくれないのか!😠
地震による損害があったとしても、一部損にすら該当しないケースも実は多いんです。その場合は無責、1円たりとももらえない。
特に家財の地震保険は無責となることが多いです。
③こんなに支払いの条件が厳しいなんて聞いていない!😠
どの認定結果でも高確率で言われます。
小半損でも大半損でも、不満な人は不満なんですね。
④保険金もらえないorこれぽっちしかもらえないなら地震保険入って損した!😠
そして不満な方たちが最後に放つ言葉がこれです。
「保険入って損した」「保険料返せ」
※これに対しては「やめたければどうぞ」と言いそうになりますが決して口にはせず、淡々と解約窓口を案内しています。貯蓄型保険のように、解約を渋られることはありません。
請求者のほとんどはサイレントマジョリティ
不満を口にする一部の人たちの意見が悪目立ちして印象に残っているだけでは?と思うかもしれません。
たしかにそれはそのとおり。大半の方は不満一つ口にしません。金額を伝えても、「分かりました。ありがとうございました。」で終わります。
でも「これだけか・・・😢」という残念そうな心の声が聞こえてくるんです。
支払いの金額を伝えた瞬間、明らかに下がる声のトーンや話し方で、がっかりしてる感がヒシヒシと伝わってくるんですよね。
なので、「地震保険の支払い金額に満足してる人は非常に少ない」と思ってます。
中にはいますよ、「わーいお小遣いゲット😆」みたいな人も。ほんのわずかですが。
地震保険のよくある勘違い3つ
地震保険に対して感じる不満は勘違いも一因と思います。
はっきりと言ってしまえば、保険の内容を理解せず、言われるがままに加入してしまっているから…🤫
(大きな声では言えないけど、代理店がちゃんと説明してあげていないからだよね、と支払い担当者間ではひっそりと話すことしばしば。)
よくある勘違いを3つを紹介します。
①保険金で元通りの家が再建できる
地震保険は、被災後の「当面の生活を支える」ためのお金であり、家を再建するための保険ではないんです。
全壊したとて、保険金だけでは残念ながら再建不可能。
②修理代の見積書の通りに保険金が支払われる
地震保険は実際の修理代とは関係なく、損害の割合によって決まります。
建物に入ったヒビの修理代金が100万円だった!となっても、火災保険のように見積書の通りには支払いされません。
家財についても、テレビが壊れた!とてテレビの修理代が出るわけではありません。あくまで家全体の家財のうちどの位の家財に損害があったかで判断します。
③見た目の被害が大きければたくさん保険金がもらえる
損害認定は外壁のひび割れといった見た目の派手さではなく、主要構造部(基礎、柱、壁、屋根など)にどれだけの損害があったかで機械的に判定します。
例えば大きなお宅で、1箇所大きなヒビが入った!としても建物全体の割合で判断するため、希望の判定に沿うとは限らないんです。全体の割合で機械的に判断するので、家が大きいほど損害の割合が低くなるため一部損もしくは無責となることも十分考えられます。
結局地震保険どうする?解約しようか迷ってる人がやること
ただただ不安だから・・・と迷ってしまう場合は、実際に数字を見て考えてみましょう!
①年間の地震保険料を確認する
家計管理の一環で火災保険にいくら払っているのかを確認している方も多いと思いますが、そのうち地震保険料がいくらなのか確認していますか?
保険料は火災保険と一体で表示されるため地震保険としていくらなのかちょっと分かりづらいんです。
まずは保険証券や保険会社のマイページ等で確認してみましょう!火災保険より地震保険の保険料が高いことに驚くと思います。
②今の契約内容でいくらもらえる可能性があるのか確認する
「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4区分それぞれの場合でいくら貰えるのか簡易的に計算してみましょう。
・全損 保険金額×100%
・大半損 保険金額×60%
・小半損 保険金額×30%
・一部損 保険金額×5%
いくら支払われるのか計算してみてどう思いますか?実際に被災したつもりで考えてみてください。
①と②と貯金を踏まえてどうするか考える
最後は①保険料と②保険金とご自身の貯蓄と相談です。
・保険金の支払見込みの金額と今後支払っていく保険料を考えて解約する
・地震保険の契約や支払われ方に納得した上でやっぱり解約しない
ご自身が納得するのならどちらでもアリだと思います。
ただ個人的には特に以下に該当する方々は地震保険をかける必要がないと思っています。
・賃貸物件の家財
・マンションの建物と家財
マンションは構造的にも全損のような大きな損害になりにくいからです。
でも最終的には各自の自己判断🦁
結局、実際に地震が起こったときに「こんなはずじゃなかった」「入らなきゃよかった」、逆に「入っておけばよかった」と後悔しないように選択するのがベストです。
貯蓄型保険などのように今すぐやめないと損!というほどの毒キノコではないので、じっくり時間を取って考えてみてください。
ちなみに、私自身は賃貸物件で一度も地震保険に入ったことがありません。
学長を知る前から入っていなかったので、学長の「いらんよ🦁」でやっぱりいらなかったんだと答え合わせができた感覚です。
解約のハードルは低い
地震保険は火災保険はそのままで地震保険だけを解約することができます。
また、一度解約しても、以下のような危険が切迫している状況を除き再度加入することができます。
・警戒宣言が発令されたとき
・大きな地震が発生した直後
これは「やばい、地震が起こりそうだから入っておこう」「地震で損害があったから入って保険金をもらおう」というのを防ぐためです。
「一度やめたらもう二度と入れませんよ」などと脅されることはありません。解約しても再度加入したければ、よほどのことがない限りまた入れます。ただし再加入時点での保険料率が適用となり、元の保険料で契約できないこともあります。
(一応損保各社に契約の引受基準があるので「絶対にまた入れます」という表現は控えておきます🙇)
まとめ
情報提供ギリギリのラインを攻めてしまったかもしれませんが、以上が中の人として伝えられる地震保険のリアルでした。
地震保険を解約するべきかどうか迷ったら、
・地震保険の内容を知る
・支払ってる保険料を確認する
・いくらもらえるのかを確認する
で最終的にどうするか考えてみてください。
損保の社員は地震保険に入ってるのか?どうなんだ?というと、実態はけっこうな割合で地震保険をつけてるんじゃないかなと…🙄社内的には地震保険つけて当たり前って文化かもしれません。
ですが!支払い担当の人は中身を知っているからか、こんなのいらないよねと言ってる人けっこういます。(実際支払い実務をしてると色々とわかるので)
日本損害保険協会作成の地震保険パンフレットにはこんな感じで大きく「必要保険です」と記載されています。
学長と真逆です🦁
代理店や不動産屋でお家の火災保険の契約をするときにはどこの損保の契約でも必ず地震保険もセットで勧められますし、地震保険つけるのが当たり前というスタンスで説明されるのでご注意を。
もっと地震保険について詳しく知りたい方はこちらを参照ください🔗
日本損害保険協会ホームページ
日本損害保険協会地震保険専用サイト
この記事が地震保険を解約するかどうか、または加入するかどうかの判断に迷った方々の参考になれば幸いです🍀
思いの外長文になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます😊