• 投稿日:2025/09/29
「でも、だって…」が口癖のあなたへ。自信は「与えること」から生まれるのかもしれない

「でも、だって…」が口癖のあなたへ。自信は「与えること」から生まれるのかもしれない

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かぜみどり

かぜみどり

この記事は約8分で読めます
要約
「でも、だって…」が口癖で行動できないのは、自信のなさからくる自己防衛かも。解決のヒントは、まず「与える」経験をすること。小さなボランティアなどで誰かの役に立つ実感は自信を育み、新しい挑戦への勇気になります。

「何か新しいことを始めたいな」

そう思いながらも、つい「でも、時間がないし…」「だって、私にはスキルがないから…」と、やらない理由を探してしまった経験はありませんか?

こんにちは。今日は、そんな風に一歩を踏み出すのをためらってしまう、かつての私自身のような人に向けて、少し変わった視点からの提案を書いてみたいと思います。

きっかけは、最近読んだ一冊の本、アダム・グラントの『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代』でした。この本を読んで、なぜ人が行動できなくなってしまうのか、そして、どうすればその壁を乗り越えられるのか、面白いヒントを見つけたんです。

もしあなたが、変わりたいのに変われない、挑戦したいのに勇気が出ない、そんなモヤモヤを抱えているなら、この記事が小さなきっかけになるかもしれません。

なぜ私たちは「でもでもだって」と言ってしまうのか

新しい挑戦を前にすると、私たちの心の中には決まって不安が顔を出します。「失敗したらどうしよう」「周りにどう思われるだろう」。そうした不安から自分を守るために、私たちは無意識に「できない理由」を探し始めます。

『GIVE & TAKE』の中では、人を3つのタイプに分類しています。

ギバー(Giver): 与える人。まず相手に何ができるかを考える。

テイカー(Taker): 受け取る人。与えるより多くを受け取ろうとする。

マッチャー(Matcher): バランスを取る人。損得のバランスを考える。

「でもでもだって」と言いがちな人は、この中の「テイカー」の性質に少し似ている部分がある、と私は感じました。

もちろん、これは「彼らが意地悪で強欲だ」という意味ではありません。むしろ逆です。本の中で描かれるテイカーの多くは、冷酷なのではなく、とても「用心深く、自己防衛的」なのだそうです。

つまり、傷つくことを極端に恐れるあまり、自分の殻に閉じこもってしまう。自分の能力に自信が持てないから、「私には無理です」と先にアピールすることで、失敗したときのダメージを減らそうとする。誰かが助けてくれるのを待っているけれど、自分から誰かに貢献するという発想には至りにくい…。

これって、行動できない時の私たちの心理状態に、すごく似ていませんか?
「私なんて、人に与えられるものなんて何もない」という思い込みが、行動にブレーキをかけているのかもしれません。

逆転の発想。「稼ぐ」の前に「与える」を経験する

では、どうすればこの「自己防衛」の壁を壊し、行動できるようになるのでしょうか。

普通なら、「もっと自信を持って!」「とにかくやってみよう!」と励ますのが定石ですよね。でも、慎重になっている人にとって、その言葉はプレッシャーになるだけかもしれません。

そこで、先ほどの『GIVE & TAKE』が示すアプローチが面白かったのです。それは、いきなり「成功しよう!」「稼ごう!」と大きな目標を掲げるのではなく、まず「人に与える経験」をしてみる、というものでした。

本書には、こんな一節があります。「テイカーをギバーに変えるには、まず、与えようという気にさせなければならない。そうすればいずれ、条件が整えばテイカーは自分のことをギバーだと思うようになるだろう」。

つまり、小さなことでいいから、誰かのために行動してみる。その経験を繰り返すうちに、「あれ、自分も誰かの役に立てる人間なのかも」と、自分に対する認識(自己イメージ)が自然と変わっていく、というのです。

大切なのは、誰かに言われたからやるのではなく、「自分の選択で」繰り返し人に与えること。そうすることで、その行動が自分の個性として内面化されていくのだとか。

宣言するだけでは意味がありません。「私は思いやりのある人間になる!」と決意するよりも、「私は人を助けたい人間なんだ」と自分に言い聞かせ、実際に行動してみる。その小さな言行一致が、自分を変える一番の近道だというわけです。

自信を育てる特効薬、それは「小さなボランティア」

この考え方を、私たちの日常に落とし込んでみましょう。
「小さい他者貢献を通して、自分は人のために行動できる人間なのだと知る」
そのための最もシンプルで効果的な方法が、「ボランティア活動」ではないかと考えました。

「ボランティア」と聞くと、少しハードルが高く感じるかもしれません。でも、ここで言うのは、何か壮大な活動のことではありません。ほんの少しの時間、誰かのために自分の力を使ってみる、というくらいの気軽なものです。

なぜボランティアなのでしょうか。それは、お金のためではなく、純粋に「誰かの役に立つ」という経験ができるからです。

誰かのために行動し、「ありがとう」という言葉をもらう。その瞬間、私たちはこんな風に感じることができるはずです。

「自分は誰かの役に立てる人間なんだ」

「自分が思っていたより、世の中には優しい人がたくさんいる。もし自分が困ったら、誰かが助けてくれるかもしれない。なら、少し挑戦してみようかな」

「誰かの力になるって、こんなに嬉しい気持ちになれるんだ。もっと人の役に立ちたいな」

この「誰かの役に立てた」という小さな成功体験こそが、カチコチに固まった自己防衛の殻を内側から溶かしていく、温かい力になるのです。

ボランティアがもたらす、意外なメリット

他者貢献の経験は、自信を育む以外にも、科学的に証明された多くのメリットをもたらしてくれます。

ある研究によると、親切な行いは社会的なつながりを強め、ストレスを減らし、幸福度を高め、さらには寿命を延ばす効果まであるそうです。また、心理学の研究では、「見知らぬ人と交流する」「他人を助ける」といった行動が、人生の幸福度を大きく引き上げることがわかっています。

面白いのは、幸福度だけでなく、「時間がない」という焦りの感覚にも効果があるという点です。

「早く何者かにならなきゃ」と焦っている時ほど、私たちの視野は狭くなりがちです。目先のわかりやすいタスクにばかり追われ、本当に価値のあることを後回しにしてしまう。ボランティア活動で誰かのために時間を使うと、不思議なことに「自分はこんなに時間を使えるほど余裕があるんだ」と感じられ、心理的な時間のプレッシャーが和らぐのだそうです。

さらに、誰かの悩みや困りごとに直接触れることは、新しいビジネスアイデアの宝庫にもなり得ます。世の中の「不便」「不満」「不安」を解決することこそが、ビジネスの基本だからです。

最初の一歩を踏み出すための、3つのヒント

「理屈はわかったけど、やっぱり最初の一歩が怖い…」
そうですよね。特に「でもでもだって」が口癖になっている慎重な人にとって、ボランティアという非日常的な行為は、とてもハードルが高く感じられるはずです。

そこで、最初の一歩をできるだけ小さくするためのヒントを3つ提案します。

仲間と一緒に始める
一人で飛び込むのが怖いなら、友人や同僚を誘ってみましょう。「あなた一人じゃないよ」という安心感が、大きな支えになります。地域のイベントの手伝いや、施設の慰問など、複数人で参加できる活動から探してみるのがおすすめです。

とてつもなく小さなことから始める
いきなり一日がかりの活動に参加する必要はありません。まずは「ボランティアの見学」や「5分だけの手伝い」からでもいいんです。オンラインでできるデータ入力や、感謝のカードを作成するような活動もあります。「これならできそう」と思える、ごくごく簡単なことから始めてみましょう。

「やりすぎない」ことを意識する
ギバー、つまり与える人は、時に自分を犠牲にしてまで他者に尽くしてしまうことがあります。それでは本末転倒です。そこで目安にしたいのが「100時間ルール」。これは、年間100時間(月に8時間、週に2時間程度)を超えると、かえって幸福度が下がってしまうという研究に基づいています。あくまで自分の生活の補助的な活動と位置づけ、無理のない範囲で続けることが大切です。

そして、活動が終わったら、ぜひ振り返りの時間を作ってください。
「今日はどんなことができて、どんな気持ちになったかな?」
「誰かの笑顔が見られて嬉しかったな」
と、ポジティブな経験に意識的に注意を向けることで、その活動のモチベーションはさらに高まります。後ろ向きな気持ちになりやすい人ほど、この「ポジティブな振り返り」は効果的です。

「助けられる側」から「助ける側」へ

この記事で伝えたかったのは、行動できない自分を責める必要はない、ということです。その慎重さは、あなたがこれまで自分を守るために身につけてきた、大切な鎧なのかもしれません。

でも、もしその鎧が重すぎて、新しい世界へ飛び出すのを邪魔しているのなら。
一度、外の世界に目を向けて、誰かのためにほんの少しだけ力を使ってみませんか。

エレベーターで「開」ボタンを押してあげる。
道に迷っている人に声をかける。
同僚の仕事を少しだけ手伝ってあげる。

そんな日常に転がっている、ささいな「与える」経験の積み重ねが、やがて大きな自信の源泉となっていきます。

行動を通じて人とのつながりを感じ、自分自身の価値を見出す。
「助けられる側」から「助ける側」へ。その小さな視点の転換が、あなたの世界を、そして未来を、大きく変える最初の一歩になるはずです。

あなたの「でもでもだって」が、誰かの「ありがとう」に変わる日が来ることを、心から願っています。

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