- 投稿日:2025/10/27
ハンドメイドの「作り方動画」は、単なるハウツーではありません!
受け手が体験として理解できる構成にすることで、動画レッスン・キット販売・対面講座のフォローアップなど、幅広く応用できる強力なツールになります。
この記事では、日本ホビーショーの公式オンラインワークショップを3年連続で企画した経験をもとに、「横型・プロ感・有料動画」を前提にした制作のポイントを整理しました。
さらに、無料動画と有料動画を分ける決定的な違いについても、明確に解説します。
■有料動画と無料動画を分けるポイント
ナレーションの有無が印象を大きく左右します。
無料動画
・バックグラウンド音+テロップ、字幕のみ
・ポップで手軽な印象ですが、YouTube感や無料感が出やすい
有料動画
・目の前に生徒さんがいるように、説明しながら制作する
・リアルな臨場感が生まれる
・出来ればフル字幕が望ましい
・もしくは、間違えやすい部分はテロップ掲載
イメージとしては「手芸本のプロセスページを動画にしたもの」です。視覚的に理解しやすく、最も伝わる構成です。
横型推奨
横型(16:9)はPC・スマホどちらにも対応し、汎用性が高くフォーマルな印象を与えます。SNSの短尺投稿以外は、基本的に横型で撮影・編集するのがおすすめです。
■カメラと撮影設定
2023年以降のスマートフォンであれば十分です。無理に一眼カメラを使う必要はありません。基本は、俯瞰・平行の1カメラ構成で完結します。
*スマホ用俯瞰撮影スタンドを使用。
*手元がしっかり映るように、ズームは1〜1.8倍程度。
(あとで拡大編集すると画質が粗くなります)
*余裕があれば、導入・エンディングのみ正面カメラで作家本人を撮影すると、より身近な存在の印象が強くなります。
■撮影前のチェックリスト
1.画面サイズ:16:9横長
*撮影後に気づくと再撮影になりますので必ず確認!
2.カメラ設定:1080p HD / 60fps
*配信環境によって4K・8Kは対応しきれません
*iPhoneの場合:「設定」→「カメラ」→「ビデオ撮影」
3.チャプター(構成)を確認
4.伝わりにくい部分は静止画でも撮影し、動画に差し込む
5.コマ送り的な動作を意識(作家さん方は動作が速くなりがち)
6.水平確認(カメラと机が水平になっていないかチェック)
■動画構成の基本順序
1.完成品・作品の特徴紹介
2.材料説明(お届けする材料や各自用意する材料)
3.使用する道具
4.各チャプター冒頭に「〇〇の部分を作ります」など一言添える
5.作業完了時:「完成しました」と一言
6.使い方・アレンジ・汎用性の紹介
7.ご自身のレッスンやSNSへの誘導
8.エンディングメッセージ(感謝、予告など)
■NGポイント(意外と多い)
*カッティングボードの使用は避ける
編み目模様が視覚の邪魔になります。
*鼻すすり・咳払いはNG
思っている以上に目立ちます。
*頭頂部が画面に入らないよう注意
前かがみになると映り込みやすいので、姿勢を一定に。
■必要な画像(16:9推奨・1280×720)
*完成作品(冒頭とサムネイルに使用)
*キット一式
*キット以外、各自ご用意いただく材料
*使用する道具
これらの静止画は、動画内の補足、冒頭、サムネイルなどに使用します。
※サムネイル:動画を一覧表示するときに使用される見本画像、動画の看板
■動画の編集
編集アプリは初心者用、かつ基本無料で使える物を選んでいます。
わたくし自身は、初心者でも比較的簡単にプロっぽい動画が作れると評判のPowerDirectorを使用しています。
1.PCで使えるアプリ
●Clipchamp
Windows 11に標準搭載、Microsoft公式の動画編集ツール。シンプルで直感的な操作が可能です。
●iMovie
Macに標準搭載、iPhoneとの連携もスムーズ。シンプルで分かりやすい画面と、高品質なテンプレートが魅力。Macユーザーならおすすめです。
スマホアプリで人気を博したアプリのPC版。SNS向けの豊富なテンプレートやAI機能が魅力。スマホ版ユーザーには馴染みやすいです。
2.スマホで使えるアプリ
●CapCut(iOS / Android)
シンプルで機能が豊富。SNS向けのトレンドテンプレートが充実、操作が分かりやすく、初心者でも比較的高クオリティな動画制作が可能です。
●iMovie(iPhone/iPadにプレインストール)
非常にシンプルで、iPhoneユーザーの入門用としておすすめです。
●InShot(iOS / Android)
シンプルで分かりやすい操作画面が特徴。特にSNS(Instagram、TikTokなど)の投稿サイズへの調整が簡単です。
●VLLO(iOS / Android)
初心者にも優しい高機能な動画編集アプリとして人気。直感的な操作でテロップやBGM入れが可能です。
3.字幕を生成するアプリ
●Vrew (ブリュー)
字幕生成といえば、の代表的なアプリです。「テキスト編集」感覚で字幕・動画編集が可能です。不要な会話部分をテキストで削除することで、その部分の動画もカットできます。
●CapCut
自動キャプション機能の精度が高く、テロップのデザインやエフェクトも豊富。スマホでもPCでも使えます。
●VLLO (ブロ)
シンプルな操作画面で人気の動画編集アプリ。自動字幕生成機能(自動キャプション)を搭載、直感的な操作で字幕のタイミングやデザインを調整できます。
■動画は「完成度」より「新鮮さ」
動画は、書籍とは違い新鮮さが命です。特に「作り方動画」は、リアルタイム性や臨場感が何よりも大切です。
完璧を求めすぎるよりも、むしろ言い間違いや、やり直す場面がそのまま入っているほうが、作家さんの人柄や誠実さが伝わり、視聴者に喜ばれることもあります。多少の失敗や間があることで、動画にリアリティと信頼感が生まれます。
編集で削りすぎず、ものづくりの息づかいをそのまま残すことこそ、手芸・ハンドメイド動画の最大の魅力かもしれません。