- 投稿日:2025/11/06
- 更新日:2025/11/07
「まさか、また救急車に乗ることになるなんて。」
そう思った日がありました。
◆子育て支援での、ほんの一瞬
1歳になったばかりの長女と子育て支援で保育園に遊びに行っていた日のこと。
先生が「冷たいのとあたたかい飲み物、どっちがいいですか?」と聞いてくれて、
私は「あたたかいのをお願いします」と答えました。
出していただいたお茶は思ったより熱く、
「これは子どもにはあげられないな」と思って、
手の届かないように少し高めのテーブルの上に置きました。
その直後。
子どもの服の裾を直していたほんの一瞬のすきに、
子どもが手を伸ばしてお茶をひっくり返しました。
顔から首にかけて熱いお茶がかかり、
泣き方が明らかにいつもと違う。
見ると首が赤くなっていて、私はすぐに冷やす対応をしました。
◆水曜日の昼。病院がどこも閉まっていた
その日は水曜日のお昼。
かかりつけの小児科も皮膚科もお昼休み中で、電話がつながりません。
先生が教えてくれた皮膚科に電話しても「予約でいっぱいです」とのこと。
「遅くなってもいいので診ていただけませんか?」とお願いしても、
受け入れは難しいという返答でした。
そこで、♯8000(小児救急相談)に電話。
対応はとても丁寧で、すぐに3つの受診先を紹介してくれました。
けれど出てきたのは、どちらかというと美容皮膚科系のクリニック。
「皮膚科が無理なら小児科では診てもらえませんか?」と聞いてみたけれど、
「やけどは皮膚科の方が専門です」との回答。
理屈はわかる。でも、現実的にはどこもいっぱいで動けない。
「これはもう、自分の手には負えない」と感じた瞬間でした。
そのとき、保育園の先生が言ってくれました。
その一言に背中を押され、救急車をお願いしました。
◆救急搬送と診察
園のシャワーを借りて、服の上から20分ほど患部を冷やしました。
先生方が着替えやタオルを用意してくれて、本当に助かりました。
救急車が到着して、県立こども病院へ搬送。
到着後すぐにトリアージ(緊急度の判断)が行われ、結果は“軽症”。
看護師さんが軟膏を塗ってくれて、長女もミルクを飲んで落ち着きました。
5時間待ちの長い午後だったけれど、
診察で先生がこう言ってくれました。
「首や口の中のやけどは、腫れが広がると呼吸に影響が出ることもあります。念のため病院で診てもらって正解でしたよ。」
その言葉に、張り詰めていた気持ちが少しほどけました。
◆翌日、先生の言葉に救われた
翌日の再診で、別の先生が静かにこう言いました。
「子どもがつまずく石は、誰も完全に取り除けません。
結果が軽症だったのなら、それでよかったことにしましょう。」
その言葉を聞いた瞬間、涙が出そうになりました。
“守れなかった”という思いばかりが頭の中をぐるぐるしていたけれど、
「それでも守ろうとした」ことの方が大切なんだと気づかされました。
県立こども病院の先生たちは本当に優しくて、
忙しい中でも丁寧に声をかけてくれました。
その姿に「迷っても、動いてよかった」と心から思いました。
◆今回の学び
・迷ったら動く。 子どもの命は“大げさに扱う勇気”で守る。
・♯8000は親切だけど、現実とズレることもある。 紹介先のジャンルは要確認。
・救急車を呼ぶことに遠慮はいらない。 軽症で済むのがいちばんの成功。
保育園の先生方にはご迷惑をかけてしまったけれど、
「軽く済んでよかった」——この言葉にすべてが詰まっています。
子どものケガや事故は、どんなに気をつけても完全には防げません。
でも、起きたときにどう動くかで、守れるものがある。
事故はないことに越したことはありません。
けれど、この経験が、どこかの誰かの判断の助けになれたら幸いです。