- 投稿日:2025/11/06
結論から言うと──
美容鍼灸は「しわ」「たるみ」「むくみ」などに対して一定の改善効果が確認されています。
一方で「美白」や「肌の明るさ」などの分野では、まだ明確な科学的根拠は十分とは言えません。
国内の研究では、複数の論文で「顔のリフトアップ感」「しわの浅くなり」「むくみ軽減」などが統計的に改善傾向を示しています。
つまり、美容鍼灸は“肌を変える施術”というより、“肌の状態を整える施術”と考えるのが実際に近いでしょう。
美容鍼灸って言っても、何に効くの?
SNSでは「即効性がある」「小顔になる」といった声が多く見られますが、実際にどんな症状に効果があるかは、これまであまり整理されてきませんでした。
今回、J-STAGE(国内学術論文データベース)に掲載された研究をもとに、美容鍼灸が「どんな症状に、どれくらい効果があるのか」をまとめてみました。
文献からわかった「美容鍼灸の効果」
国内論文を整理すると、実際に統計的な改善や参加者の主観評価で「変化があった」と報告されているのは、主に次の5つの症状です。👇
ここからわかるのは、美容鍼灸は「肌を変える」のではなく、肌の環境を整えることで“自然な変化”を引き出しているということです。
特に「しわ」「たるみ」「むくみ」は複数の研究で改善傾向が一致しており、血流や筋バランスの調整が関与していると考えられます。
⚠️ 注意 ⚠️
※ あくまで現在の研究段階であり、これら以外の症状は効果が「ない」という意味ではありません。
美容鍼灸の共通メカニズム
研究や臨床現場の知見を踏まえると、美容鍼灸の主な作用メカニズムは以下の4つです👇
これらは東洋医学で言う「気・血・津液」の巡りを整える作用と一致しています。
つまり、局所的な刺激が全身の調整につながるのが美容鍼灸の特徴。
単に「顔に鍼を打つ」だけではなく、「体の中から美しくする」点に大きな違いがあります。
まだ文献は少ないが、臨床的に効果が期待できる症状
現在、研究としては報告が少ないものの、臨床現場では以下のような症状でも効果を感じるケースが多くあります。👇
🔶目の下のクマや眼精疲労:顔面部の血流が促進され、目まわりのくすみ・重だるさが軽減する。
🔶口角の下がり・表情の左右差:表情筋の緊張バランスを整えることで、自然な笑顔が戻りやすい。
🔶乾燥肌・脂性肌:皮脂腺の働きが整い、肌質のバランスが改善する。
🔶ストレスによる肌荒れ:自律神経の安定によって睡眠やホルモンリズムが整い、肌の回復力が上がる。
これらは今後、研究としても検証が進めば「美容と健康の橋渡し」として新しい可能性を持つ分野です。
美容鍼灸は外見を変える美容法ではなく、内側の環境を整える医療的アプローチとも言えます。
今後の展望
国内の研究数はまだ限られていますが、近年は皮膚弾力の計測や3D画像解析を用いた評価など、より客観的なデータに基づいた研究が進みつつあります。
美容鍼灸は、美容の領域でありながら「血流」「表情筋バランス」「自律神経」といった健康要素と密接に関係しており、まさに“健康と美容を同時に整える施術”として注目されています。
今後、大学附属の臨床施設や地域の治療院でデータが積み重なれば、「科学的根拠に基づいた美容鍼灸」としてさらに社会的認知が進むと考えられます。
まとめ
美容鍼灸は「見た目を変える施術」ではなく、「身体の内側から整えて自然な美しさを引き出す施術」だと思っています。
研究の数こそまだ少ないですが、たしかな変化を感じている患者さんはとても多いです。
鍼灸師として、科学的根拠と東洋医学の知恵の橋渡し役になれるよう、これからも発信を続けていきます。