- 投稿日:2025/11/19
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要約
朝の散歩で見つけた小さなパン屋🥐
扉の向こうの甘い香りが、学生時代の土曜の朝をそっとよみがえらせる。
米粉パンとレモンパンを抱えて歩く帰り道は光に満ち
あかりの胸に小さな灯りが静かに灯る物語。💛
朝の空気がいつもよりやわらかい気がして、
あかりはいつものように散歩に出た。
休日の、行き先のない歩み。それが彼女にとっての贅沢であり、
自分に戻るための静かな儀式だった。
住宅街を抜けて細い路地に入ったとき、
ふいに、小さな異国の玄関のような建物が目に入った。

英語で書かれた木の看板がぶら下がり、
窓辺にはアンティークの小物がこぢんまりと並んでいる。
まるで街角の影にそっと隠れた“魔女の家の入口”みたいで、
あかりは思わず歩みを止めた。
真鍮の取っ手に手を添えると、ひんやりした金属が指先を冷やした。
その冷たささえ心を静かにさせる。
扉を押し開けた瞬間――
甘くて、ふかふかしていて、あたたかい匂いが頬に触れた。

それはただの焼きたての香りではなく、
どこか懐かしい場所へ導くような温度を帯びていた。
バターの甘さ、小麦が膨らむときに生まれる柔らかな匂い、
少し焦げたチーズの香ばしい気配。
それらがゆっくりと混ざり合い、
胸の奥の、ほこりの被った引き出しをそっと開けてくる。
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