• 投稿日:2025/11/22
【第34話】FIREについて研究してみた~FIRE達成者のリアルから、未来の生き方・働き方を考える~

【第34話】FIREについて研究してみた~FIRE達成者のリアルから、未来の生き方・働き方を考える~

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OGA@社会人大学院生

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要約
大学院でFIRE(Financial Independence Retire Early)をテーマに修士論文を執筆しました!「FIREって何?」という教授や、「先行論文がないテーマはやめた方が良いですよ」という教授たちの反対を押し切り、書き上げた論文を分かりやすく解説します。

【第34話】FIREについて研究してみた
~FIRE達成者のリアルから、未来の生き方・働き方を考える~

🔶 FIRE研究の3つの意義

リベシティのみなさん、こんにちは!社会人大学院生のOGAです。

大学院で「FIRE(Financial Independence Retire Early)」をテーマに修士論文を書いた経験を、みなさんにも共有したいと思います。

・「FIREって早期退職のこと?」
・「どうせお金の話でしょ?」

そんなイメージを持たれがちですが、論文を書き上げる中で気づいたことは──
FIREは “生き方そのもの” を問い直すテーマ だということでした。

1. なぜ「FIREの研究」が重要なのか

大学院でFIREの研究をするためには、その研究をするに値する価値や重要性を説明する必要があります。

そこで、本研究では、「学術的」「社会的」「実務的」という3つの意義を示しました。ざっくり言うと、“FIRE達成後のリアルを明らかにすることで、学問にも社会にも企業にも役立つ”という内容です。

これまでの研究や記事の多くは、FIREをどう達成するかに焦点を当てており、FIREを達成した後に何が起こるのか――

つまり、自由を得た人たちの価値観の変化や、人生満足のあり方までは、ほとんど明らかにされてきませんでした。

本研究は、まさにこの“FIRE後の空白”を埋めるという壮大なミッションを掲げることにしました。

2. 学術的な意義:FIRE後の「心の変化」に光をあてる

これまでの学術研究は「どうやって資産形成をするか」とか「早期退職の条件とは」というFIREを達成するためのテクニックに偏りがちでした。しかし、多くの人が本当に知りたいことは、「FIREした“その後”、人生はどう変わるの?」という部分へと関心が移っていきます。
そこで、本研究では、FIRE達成者10名の語りを丁寧に分析することで、

・働くことの意味

・組織から離れた後の自己像

・キャリア選択の自由と迷い

・自己実現と生活満足の関係

といった心の変化を理論的に整理します。

これにより──

・働くことの意味

・仕事から離れるときの心理

・自己実現とキャリアの関係

といった「経営学」の重要テーマに、新しい視点を加えることができます。

3. 社会的な意義:変わりゆく時代に“新しい働き方”のヒント

FIREの広がりは、社会構造の変化とも深く関わっています。

・少子高齢化による年金不安

・長時間労働・職場ストレスといった働き方の限界

・副業やリモートワークの普及によるキャリアの価値観の多様化

こうした変化の中で、FIREは単なる「退職」ではなく、「経済的自立を基盤にした、新しいキャリアと生き方の選択肢」として注目されています。

本研究では、FIRE達成者の実際の生活から

・どんな人がどのような動機でFIREを選ぶのか

・FIRE後にどんなことに悩み、何を求めているのか

・生きがいや、社会的役割の喪失をどう乗り越えるのか

といった点を明らかにしていきます。

これにより、多くの人が抱える「キャリア不安・生きがい喪失」といった現代の悩みに対して、自分らしく働き、生き直すための実践的なヒントを提供します。

さらに、働き方改革やキャリア支援の政策にも、実践的なエビデンスを提供する役割を果たします。

4. 実務的な意義:企業の人材マネジメントへの示唆

FI(経済的自立)を達成した人材にとっては、もはや「給料」「昇進」といった従来型の動機づけが通用しにくい現実があります。なぜなら、経済的に自立した人ほど、「働く・働かない自由」「意味のある仕事」「自分で選べる働き方」を重視するからです。

そこで、本研究の知見では、次のような実務的課題に活かせます。

・柔軟な働き方制度の設計(副業・リモート・短時間勤務など)

ワーク・エンゲイジメント(仕事への意欲・没頭感)の再構築

・自己決定感・意味づけを重視したマネジメント手法の開発

といった組織づくりにそのまま活かすことができます。

つまり、企業がFIRE志向を持つ人材を「辞めていく人」と見るのではなく、「新しい価値観を持つ人材」として組織変革の触媒にできるか――。
その視点転換こそ、これからの人事戦略に求められると考えました。

🔶 まとめ

FIREを研究する意義をいろいろ書いてきましたが…正直なところ、単純に「FIRE達成者と直接話してみたかった」という気持ちが出発点でした。

リベ大ライブなどでFIREのことを見聞きしてはいましたが、実情を何も知らないままFIREを目指すのは不安で…そのリアルを確かめたかったのです。

論文では表向きの“研究の意義”を唱える必要がありましたが、私にとっての研究の原点は、FIRE達成者の生き方や価値観を自分の目で確かめたいという素朴な問いだったのです。


最後まで読んでくださりありがとうございました。

次回も、研究で得た知見をわかりやすく紹介していきます!

・木下康仁(2007)『ライブ講義 M-GTA 実践的質的研究法』弘文堂 ・日経ビジネス(2022)「“働かない幸せ”という幻想」 ・坂倉杏介(2021)「関係性のウェルビーイングから考える退職後の居場所」『日本労働研究雑誌』第732号

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OGA@社会人大学院生

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