- 投稿日:2025/12/15
私はアニメがとても好きで、イラストレーターさんのカレンダーをよく買います。理由は単純で、すごく目に入るからです。ふと視界に入った瞬間にテンションが上がります。これは地味ですが、かなり強い体験だと思っています。
しかもカレンダーには、1年経ったら役目を終えるという特徴があります。だから「いつか片付けよう…」で物置に眠り続ける確率が低いです。物が増えるのが苦手な人間にとって、この性質はかなり相性が良いです。
ここでふと思ったのです。「CMが効果があるなら、カレンダーも広告として効果があるのではないか」と。
広告代理店がやっているのは「回数の設計」です
CMやポスターは、とにかく“見せる回数”を増やします。しつこいくらいに目に入れてきます。あれは気合いではなく、科学的な狙いがあると考えられます。
代表例が単純接触効果(mere exposure effect)です。ざっくり言うと、
好感度が中程度の対象は、接触回数が増えるほど好感度が上がりやすい
という現象です。
ただし万能ではありません。嫌いなものを無限に見せても好かれるとは限りませんし、むしろ逆効果になることもあります。広告が「うざい」と感じられてしまう摩耗(wear-out)の問題もあります。だから広告は本当は、回数だけではなく頻度・間隔・見せ方の設計が重要なのだと思います。
ではカレンダーはどうでしょうか。かなり強い「自然な接触」になります
カレンダーの強みは、CMと違って“自然に”視界に入ることです。
壁やデスクに置けば、毎日何度も見ます。見るたびに、そのブランドや作品、店の情報が脳内で再点火します。しかも、ユーザーは自分で買って飾っています。ここが大きいです。
「自分で買って置いた」という事実は、広告より一段強い影響を持ちやすいです。心理学的には、自己選択やコミットメントが乗ります。つまり、カレンダーは“押し売り広告”というより、手元に置くファンアイテム型の広告になりやすいのです。
カレンダー広告が向いているもの・向いていないものがあります
向いているのは、来店や接触が繰り返されるほど価値が出るものです。
たとえば、次のようなケースです。
・カフェ:月替わりの限定メニューや季節の空気感を写真で固定します
・ショッピングモール:その月の目玉イベント、家族向け企画、セールの予告に使えます
・飲食店:限定メニュー、新作、今月のおすすめの訴求に向きます
・ジムやスクール:今月のチャレンジ、イベント、キャンペーン告知に向きます
・個展・作家活動:作品の世界観を毎月更新して、ファンの生活に入り込めます
逆に向いていないのは、単発で完結する商品や、見た瞬間に嫌悪が出やすいテーマです。
単純接触効果は万能ではないので、雑にやると「ただ邪魔」になってしまいます。
効果を上げるなら、カレンダーに“仕掛け”を入れると強いです
「写真を載せました」だけだと、ただの飾りで終わる可能性があります。広告として使うなら、最低限この3つを入れると強いです。
毎月の“理由”を作ります
今月はこれを推したい、という意図が1枚で伝わるようにします。
次の行動の導線を置きます
QRコード、予約ページ、地図、SNS、LINEなどです。見た瞬間に動ける状態を作ります。
測定できる仕組みを入れます
月ごとに違うQR、クーポンコード、来店特典などです。やりっぱなしを避けられます。
ここまでできると、カレンダーは「印象を良くする」だけではなく、行動(来店・予約・購入)に繋げられる媒体になります。
注意点もあります。やりすぎると「好き」が「うんざり」に変わります
単純接触効果には副作用もあります。露出が過剰だと飽きますし、元々そこまで興味がない人には「しつこい」と認識されやすいです。なので、
デザインは生活の邪魔をしないようにします
情報は盛りすぎないようにします(視界が疲れると嫌われやすいです)
月ごとに小さな変化や物語を作ります(飽き対策になります)
このあたりが効いてきます。
結論:カレンダーは「買ってもらえた瞬間から強い」です
CMは“見せに行く”広告です。一方でカレンダーは“生活に置かれる”広告です。しかも1年で役目を終えるので、物が溜まりにくいです。ミニマル志向の人にも相性が良いです。
だから「CMが効果があるならカレンダーも効果がある」という発想は、かなり筋が良い仮説だと思います。
ただし狙うべきは新規獲得というより、ファン化・再来店・継続接触です。うまく作れば、カレンダーは“毎日ちょっとだけ好きにさせる装置”になります。これは地味ですが、かなり強いです。