- 投稿日:2026/01/02
- 更新日:2026/01/03
「内容には自信があるのに、なぜか成約に繋がらない……」
「ブログや資料を公開する直前、いつも不安がある……」
もしあなたがそう感じたことがあるなら、それは内容のせいではなく、文章に潜む「小さな違和感」が原因かもしれません。
そもそも「校正校閲」って何?
「校正校閲って、誤字脱字を直すだけでしょ?」
と思った方、いらっしゃいますよね?
私も自分の仕事を説明するとき、わかりやすさ重視でそう答えてしまいます。
ですが、実はそれだけじゃないんです。
そもそも、校正校閲とはどのようなシーンで活躍する仕事かご存知でしょうか。
●出版業界:書籍、雑誌、電子書籍など
●新聞・メディア業界: 新聞記事やニュースサイトなど
●広告・印刷業界:チラシ、カタログ、パッケージなど
●Web・デジタル業界:Web記事、SNSコンテンツ、動画字幕など
●企業広報・IR:社史、パンフレット、プレスリリースなど
●教育・学術:教科書、論文、入試要項など
こうした、情報の正確性と信頼性が命となる現場で、文章の品質を最後の一線で守るのが校正校閲の役割です。
しかし、こうした専門的な話を聞くと、
「自分の発信には、そこまで大袈裟なものは必要ない」
「間違いを見つけるだけなら自力で何とかする」
「AIでもいいんじゃない?」
そう感じる方もいらっしゃるでしょう。
もし校正校閲の仕事が、本当に誤字脱字の発見だけだったとしたら、今の時代、AIや自動チェックツールに任せれば十分です。
精度もどんどん上がっていますからね。
それでも、校正校閲という役割がなくならないのはなぜでしょうか。
誤字脱字は「離脱のきっかけ」
誤字脱字そのものは、実はそれほど大きな問題ではないこともあります。
漢字をひとつ間違えたくらいなら、「内容がまったく伝わらない!」なんてことにはならないでしょう。
それでも、読み手は誤字脱字を見つけた瞬間に、
「あれ?ちょっと雑じゃない?他の部分も大丈夫かな?」
と、無意識にブレーキがかかってしまいます。
これをビジネスの視点で言えば、「読み手の離脱」です。
内容とは関係ないところで集中が切れ、せっかくのメッセージが届かなくなってしまう。
校正校閲の現場では、この「信頼が削れる瞬間」をとても重く見ます。
読み手は、想像以上にシビア
文章を読むとき、人は無意識に書き手を評価しています。
「この人は丁寧に仕事をしてくれるかな?」
「細かい配慮ができるパートナーかな?」
「信頼していい相手かな?」
誤字脱字や表記の揺れ(例「引越し」と「引っ越し」の混在など)は、この判断に小さな影を落とします。
「内容が良ければいい」と頭では思っていても、心のどこかで「違和感」が残るのです。
校正校閲は、その違和感を最小限にし、読み手がメッセージに100%集中できる環境を整えるための仕事です。
校正校閲が見ているのは、文章の「向こう側」
校正校閲は、ただ正しい日本語を求めているわけではありません。
常に、文章の向こう側にいる「読み手」を想像しています。
例えば、イベントの告知文で
「2026年1月1日(水)開催!」
という記述があったとします。
ぜひカレンダーを見てみてください。2026年1月1日は木曜日です。
「え、水曜日? 1日? どっち……?」
読み手は混乱してしまいますね。
この瞬間、イベントの内容よりも「情報の不備」に意識が向いてしまいます。
また、こんな文章が続いたとします。
「今回のイベントは、近年SNSやYouTubeを中心に注目を集めている最新の集客トレンドを徹底的に網羅しつつ、初心者の方でも今日からすぐに実践できる具体的なステップを、業界の第一線で長年活躍し続けている実績豊富な講師が、自身の成功体験も交えながら、参加者の皆様に寄り添って丁寧に解説する予定となっています。」
特別難しい文章ではないけれど、一文が長く、読み手の負荷が高くなっています。
情報量が多いと、内容を理解する前に「読むのが大変」という印象も先に立ってしまいます。
私なら3つの文に分ける提案をします。
こうした「事実確認(ファクトチェック)」や、「読み手が読みにくくないか」という視点も欠かせません。
書き手の思いを尊重しつつ、第三者の冷静な目で「読み手の体験」をシミュレーションし、トラブルや機会損失を未然に防ぐ「安全装置」の役割を校正校閲が担っています。
「正しさ」と「安心感」を届ける
校正校閲が入ってうまくいった文章は、誰にも気づかれません。
「読みやすかった」
「特に問題なかった」
それで終わりです。
その「何も違和感がなかった状態」こそが、校正校閲の成果です。
もし校正校閲がいなければ、読み手はどこかで立ち止まり、信頼を少しずつ失っていたかもしれません。
校正校閲は、その「何も違和感がなかった状態」を陰から支えています。
最後に
校正校閲は、単なる「間違い探し」ではありません。
読み手の集中を守り
書き手の信頼を守り
文章が安心して受け取られる状態をつくる
もしあなたが、
「ちゃんと書いているつもりなのに、なぜかうまく伝わらない」
と感じることがあるなら、それは内容の問題ではなく、校正校閲が担当する「受け取り側の安心感」の部分にヒントがあるかもしれません。
文章の内容が届く前に、信頼が揺れてしまわないように。
校正校閲は、そのために存在しています。
次の記事では、
「AI校正が得意なこと」と「プロの人間がやるべきこと」
の具体的な切り分けについてお話しします。
「全部プロに任せるべき」という話ではなく、現実的な使い分けのヒントを一緒に考えていければと思います。