• 投稿日:2026/01/12
「自分に厳しすぎる人」が無意識にやっている3つの思考パターン

「自分に厳しすぎる人」が無意識にやっている3つの思考パターン

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N.j@公認心理師/臨床心理士

N.j@公認心理師/臨床心理士

この記事は約6分で読めます
要約
自分に厳しすぎる人は、性格に問題があるわけではありません。 真面目さや責任感と経験が結びつき、心の反応が偏ってきただけの場合も多いのです。この記事では、自分に厳しい人に共通しやすい3つの思考パターンと、性格を変えずに心の扱い方を楽にする視点を整理しています。

真面目で、責任感が強く、

決して怠けているわけではない。

周りからは一定の評価もされている。


それなのに、

・自分に対して評価が厳しい

・少しうまくいかないと、強く落ち込む

・できたことより、できなかったことが頭に残る


そんな感覚を抱えている人たちと、

これまでカウンセリングを通じて数多くお会いしてきました。


こうした傾向は、

真面目さや責任感といったもともとの性格特性に、

これまでの経験が重なり合うことで

少しずつ形づくられてきたものだと感じています。


そして大切なのは、

それが「性格だから変えられない」という話ではない、ということです。

自分の心の反応パターンを知り、

日々の考え方や行動に小さな工夫を増やしていくことで、

そのあり方は少しずつ変化していくことがあります。

自分に厳しい人に共通する3つの思考パターン

この記事では、

自分に厳しすぎる人に共通しやすい3つの思考パターンを取り上げます。


どれも、

「直すべき欠点」ではありません。

これまで生きるために役立ってきた側面を持っています。


その一方で、

状況によってはこれまで身につけた反応を繰り返すことで

苦しさが生まれてしまうこともあります。


これから取り上げる傾向について「どう直すか」ではなく、

”どこで同じ反応が起きているのか”

に気づくという視点で読んでもらえたらと思います。

①「できていない部分」に注目しやすい

自分に厳しい人ほど、

できたことより、できなかったことに

自然と意識が向きやすくなります。


9割うまくいっても、

残りの1割がつい気になってしまう。

周囲と比べて、

「自分はまだ足りない」と感じてしまう。


これは、改善点に気づき、

成長しようとする力が強い人ほど

起こりやすい反応です。

それ自体が悪いわけではありません。


ただ、その力が

振り返りや評価の場面でも

「自分ができたか/できていないか」という基準に固定され、

なおかつ視点が足りない部分に偏り続けると、

心は少しずつつらくなっていきます。

②「ちゃんとしていない自分」には価値がない、という前提

自分に厳しい人の中には、

「ちゃんとしている自分」でいなければ

安心できない感覚を持っている人も少なくありません。


・休むと、どこか後ろめたい

・失敗すると、人として否定された気がする

・一定以上でいないと、「自分はだめなのではないか」と感じてしまう


こうした感覚は、

怠けたい気持ちからというより、

「ちゃんとしていたい」「期待に応えたい」という思いが

強い人ほど抱きやすいものです。


これまでの経験の中で、

「ちゃんとしていること」や

「期待に応えること」が

評価や安心につながってきた場合、

それが自分の価値を確かめる基準になっていきます。


その結果、

自分の価値を測る軸が

「ちゃんとしているか/していないか」

という一つの基準に偏りやすくなります。


そうなると、

疲れて休んでいる自分や、

うまくいかなかった自分は、

その基準から外れてしまったように感じられ、

そのまま受け止めることが難しくなります。


完璧主義的な思考は、

自分を追い詰めるために生まれたのではなく、

安心を保つための工夫だったとも言えます。


ただ、その工夫が

今の生活や自分の状態に合わなくなっていると、

「ちゃんとしていない自分」を必要以上に否定してしまい、

心が苦しくなっていくのです。

③「相談するほどじゃない」と抱え込んでしまう

自分に厳しい人ほど、

つらさを感じていても

「相談するほどのことではない」と考え、

一人で抱え込んでしまう傾向があります。


・もっと大変な人がいる気がする

・これくらいで頼るのは甘えではないか

・自分で何とかすべきだと思ってしまう


こうした考えは、

誰かに迷惑をかけたくない気持ちや、

自分の責任は自分で引き受けたいという思いから

生まれてくることが多いものです。


これまでの経験の中で、

「自分でやりきること」や

「弱音を見せずに乗り越えること」が

評価や安心につながってきた場合、

それが一つの行動基準になっていきます。


すると、

つらさを感じたときにも、

「助けを使う」という選択肢が

最初から視野に入りにくくなります。


問題は、

相談することそのものが悪いのではなく、

相談を選ぶ基準が厳しすぎることです。


「まだ我慢できる」

「もっとつらくなってからでいい」

そう考えているうちに、

気づかないまま負担が積み重なっていきます。


カウンセリングの場では、

「こんなことで来ていいのか迷っていました」

と話される方が少なくありません。

そうした方ほど、

長いあいだ一人で抱え続けてきた背景を持っています。


相談できなかったことは、

弱さや甘えの問題ではありません。

むしろ、

責任感が強く、

自分で何とかしようとしてきた人ほど

抱え込みやすい傾向があるのです。

問題は性格ではなく、心の反応パターンの偏り

ここまで見てきた3つの思考パターンは、

それぞれ別の問題のように見えるかもしれません。


しかし共通しているのは、

どれも「性格そのものが原因で」起きているわけではない

という点です。


・改善点に気づきやすいこと

・ちゃんとしていたい気持ちが強いこと

・自分の責任を自分で引き受けようとすること


これらは本来、

周囲から信頼されやすい人に多い特性です。


ただ、その力が

評価や安心を保つために

限られた形で使われ続けると、

心の反応パターン(いつもの考え方や行動の流れ)が

一方向に偏っていきます。


すると、

自分を評価する基準が厳しくなり、

自分に向ける視線も硬くなり、

助けを使う選択肢が見えにくくなっていきます。


問題は、

その人の性格そのものではなく、

使える反応の幅が狭くなっていることです。

心の扱い方は誰でもうまくなることができる

自分に厳しすぎる状態は、

何かが欠けているから生まれるものではありません。


これまでの人生の中で、

必要だった考え方や行動が、

今も同じ形で使われ続けているだけ、

ということも多いのです。


だから大切なのは、

自分を変えようとすることではなく、

自分がどんな心の反応パターンを使ってきたのかに気づくことです。


「ここで、いつも自分を責めているな」

「この場面では、助けを使う選択肢が抜け落ちているな」


そんなふうに整理できるだけでも、

心の扱い方は少しずつ変わっていきます。


臨床の現場でも、

劇的に別人になるような変化より、

もとの自分の個性を大切にしたまま、

選べる反応が少しずつ増えていく変化の方が、

結果として、安定した良い状態につながっていくことをよく目にします。


この記事が、

自分を評価するための材料ではなく、

自分への向き合い方を見直し、

そして、そんな自分を少し認めてあげるための

ひとつの手がかりになれば幸いです。

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N.j@公認心理師/臨床心理士

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