- 投稿日:2026/02/24
削蹄という仕事は、牛の爪を整える技術職です。
でも僕は、「技術だけでは足りない」と思っています。
新規で伺う農家さんほど、ヒアリングをとても大切にしています。
雑談も含めて、まずはしっかり話を聞く。
そして削蹄前(作業を始める前)に、必ずこうお聞きします。
「削蹄が終わった後、牛たちがどうなっていたら嬉しいですか?」
この一言が、僕にとっての“魔法の言葉”です。
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ゴールのすり合わせが、満足度を決める
長年削蹄をしていると、農家さんのニーズはある程度わかるようになります。
でも――
「わかっているつもり」と
「本当に求められていること」は、違う場合があります。
例えば、
• 牛たちが健康で、生活しやすくなってくれたら嬉しい
• 足の痛い牛が多いので、とにかく痛みを軽減してほしい
• 爪が伸びて滑りやすいから、スリップを改善したい
• 歩様を安定させて、事故を防ぎたい
目的は農家さんごとに違います。
もしゴールがズレたまま作業をしてしまえば、
技術的にうまくいっても、心からの満足にはつながりません。
だからこそ最初に聞きます。
「どうなっていたら嬉しいですか?」
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繰り返し確認することが信頼になる
ヒアリングした内容は、必ず自分の言葉で確認します。
「つまり、こういう状態になったら理想ということですね?」
と、すり合わせを行います。
さらに、
「他に気になっていることはありませんか?」
「削蹄中でも、気づいたことがあれば教えてくださいね」
と声をかけます。
作業中にも、
「今ぐらいの爪の長さで大丈夫ですか?」
「何かして欲しい事があれば、遠慮なく言ってくださいね」
と確認を重ねます。
こうした積み重ねによって、農家さんは
「ちゃんと牛のために考えてくれている」
「丁寧に向き合ってくれている」
と感じてくださいます。
この“安心感”こそが、信頼につながっていくのだと思います。
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リピートや紹介は、技術+対話から生まれる
正直に言うと、この質問を意識してから
「またお願いしたい」
と言っていただけることが増えました。
さらに後日、他の農家さんをご紹介いただくこともあります。
削蹄は特殊な仕事かもしれません。
でもこの考え方は、どんな業種にも通じるはずです。
サービスの前に、
「終わったとき、どうなっていたら嬉しいですか?」
と聞くだけで、相手のゴールが明確になります。
そして、そのゴールに向かって一緒に進む姿勢こそが、
信頼を生み、リピートや紹介につながるのだと実感しています。
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技術を磨くことは、もちろん大切。
でも、相手の“理想の未来”を聞くことも、同じくらい大切です。
もしよければ、あなたの仕事でも
この質問を使ってみてください。
きっと、見える景色が変わります。