- 投稿日:2026/04/04
- 更新日:2026/04/05
はじめに
正直に言います。私はエンジニアではありません。
コードという言葉も知りませんでした。
ジーンズブランド「ONZO JEANS」を運営しながら、マーケティングも経理も広報も自分でこなしている、どこにでもいる小さな会社の人間です。
そんな私が 2 週間、「Claude Code(クロード・コード)」というツールを触り続けました。
結果として何が起きたか——
パソコンの中に、営業部・マーケティング部・経理部・広報部・商品企画部・秘書室が揃った「AI 社員チーム」が誕生しました。毎朝「おはよう」と打つだけで、今日のスケジュールと各部署からの行動指示が届きます。
「コードが書けない」は、まったく関係ありませんでした。
まず Claude Code って何? ChatGPT との違いを一言で
普通の AI チャット(ChatGPT など)Claude Code答えを返すだけファイルを作る・編集する・保存する毎回リセットされる記憶が残る(メモリ機能)1 人で動く複数の AI を同時に動かせる(チーム機能)指示した内容だけこなすGmail・カレンダー・会計ソフトにも繋がる
チャット AI は「賢い検索エンジン」です。
Claude Code は「実際に仕事をするパソコン内の取締役」です。
使い始めるのに必要なもの
パソコン、Claude Code 、コピペ(これだけ)
インストールは公式サイトの手順通りにコマンド(命令文)を数行コピペするだけです。「コマンド(command)」とは、パソコンに文字で命令を打ち込むことです。claude と入力して Enter を押すと起動します。
わからない時は「どうしたらいい?」と聞く
わからない時は意味が「分からないから教えて」「結局どうしたらいい?」「スクショで見せてもいい」と非エンジニアであることを伝えて聞きまくります。
それだけです。
例えば
スクショの写真を張り付けて
指示文:「このインスタを分析して改善点をアドバイスして」
こんな感じ
私がやったこと、全部書きます
① 部署フォルダとエージェントチームを作った
Claude Code には「チーム機能」があります。
Claude Code セッションのチームを調整する - Claude Code Docs
複数の AI エージェント(エージェント=自分で考えて動く AI のこと)を「チームのメンバー」として登録し、それぞれに役割を持たせる機能です。
私は ONZO JEANS の社内組織をそのまま再現しました。
onzo-jeans(チーム名)
├── team-lead(チームリーダー)
├── sales-dept(営業部)
├── marketing-dept(マーケティング部)
├── accounting-dept(経理部)
├── pr-dept(宣伝広報部)
├── product-planning-dept(商品企画部)
└── 秘書室
エージェントを作るとき、私はこう指示しました:
①営業部署、マーケティング部署、経理部署、○○部署...の部署フォルダを作って、各部署フォルダ内に成果物フォルダを作って、まとめた内容(成果物)は成果物フォルダに格納するようするようにして
②代表の考え方や日記や共有したい情報、ブランドルールなどを「ブランドWiki」フォルダを作って各部署と共有し、その考え方に沿って成果物を作成してください。
③各部署は専門知識を活かせる大手から個人事業まで理解したエキスパートとして発言して、各部署で会議した結果、成果物を作ってください 。
これだけです。
すると AI は自分でフォルダを作り、部署ルールのファイルを書き、仕事の成果を「成果物フォルダ」に保存するルールを設定してくれました。
人間でいうと「新入社員に自分のデスクと仕事のルールを自分で整備してもらった」ようなイメージです。
実際の指示例:こう打つだけで動く
私が実際に打った指示の例を見てください。プログラミングはゼロです。
マーケティング部への指示:
ONZO JEANSのInstagramを伸ばしたい。
釣りをしている人たちのコミュニティに向けた
3ヶ月のSNS戦略を企画書にして成果物フォルダに保存して。
経理部への指示:
3年間の売上データを分析して、
今期の課題と改善策を経営状況レポートにまとめて。
マーケ部の企画書と照らし合わせて予算が妥当かも見てほしい。
確定申告書類(スクショでOK)を分析してください。
複数部署への同時指示:
来月の展示会に向けて、
各部署が今週やるべきことをまとめて。
これで5部署の AI がそれぞれの視点から動き始めます。マーケが「SNS 告知のスケジュールを組みます」と言えば、経理が「その広告費では利益率が下がります」と突っ込む。広報が「プレスリリースを準備します」と言えば、営業が「この顧客リストにも案内を送りましょう」と連携する。
指示・質問・お願いを書き出すだけ。それだけです。
② ブランドWIKI——社長の頭の中を全部署に共有する場所
私が作ったもう一つの重要な仕組みが「ブランドWIKI(ウィキ=誰でも見られる百科事典のようなフォルダ)」です。
これは「社長(私)の考え・気づき・方針」を全部署の AI が参照できる場所です。
ブランドWiki/
├── ブランドコンセプト・パーパス/
├── ブランディング設計書
├── マーケティング方針書
├── ONZO_JEANS_会社ルール.md
└── 執行役員憲章.md
たとえば「ONZO JEANS のコンセプトは『スポーティジーンズ』で、競馬の調教で使われるジーンズが起源」「売上目標は 2,500 万円(1,570 人 × 8,000 円 × 2 回)」などをここに書いておきます。
すると、どの部署の AI に仕事を頼んでも「ブランドの方向性と一致した提案」が返ってきます。毎回同じ説明をしなくていい。これが積み重なると、AI が「うちのブランドをわかっているチーム」として動いてくれる感覚になります。
日々気づいたことや方針変更もここに書いておけば、全部署がその情報を参照してくれます。社内メモ・日記・議事録の機能も兼ねています。
③ スキルのインストール——AI に「専門知識」を持たせる
Claude Code には「スキル(Skills)」という機能があります。
スキルとは、AI に追加の専門知識を持たせる「拡張パック」のことです。スマートフォンにアプリを入れるイメージです。
重要なのは、スキルを入れると AI がただの「一般知識」ではなく「その分野のプロ知識」で動いてくれる点です。スキルなしの AI は「知っているけど浅い」。スキルありの AI は「その分野の専門家として答える」イメージです。
私がインストールしたスキル:
スキル名何ができるようになるかai-video-generation(エーアイビデオジェネレーション)AI で動画を自動生成。広告動画・ブランド動画を作れるui-ux-pro-max(ユーアイユーエックスプロマックス)プロ級の画面デザインの知識。ホームページやLPの制作水準が上がるremotion-best-practices(リモーションベストプラクティス)動画制作のプロノウハウを AI が習得find-skills(ファインドスキルズ)他のスキルを探してインストールしてくれる
インストール方法は /install-skill スキル名 と打つだけ。
「/(スラッシュ)」から始まる命令を「スラッシュコマンド」と呼びます。/ を打つと使えるコマンドの一覧が出てきます。
④ 秘書室と MCP サーバー——AI を「外の世界」に繋げた
ここが最も驚いた部分です。
「MCP サーバー(エムシーピー・サーバー)」とは、Claude Code と外部サービスを繋ぐ「橋渡し役」のことです。難しく聞こえますが、イメージとしては「AI と Gmail の通訳者」「AI とカレンダーの連絡係」です。
私が「秘書室」に繋いだのは 3 つです:
Gmail(メール)
→ AI がメールを読む・下書きする・特定の送信者のメールを検索するなどができます
Google Calendar(グーグルカレンダー)
→ AI が予定を確認・新しい予定を作成・変更できます
MoneyForward Cloud(マネーフォワード・クラウド)
→ AI が会計データを取得・仕訳(しわけ=お金の記録)を確認できます
つまり、「メールを読んで、カレンダーを見て、帳簿も確認できる秘書」が誕生しました。
⑤ 「おはよう」スキル——毎朝のブリーフィングを自動化した
これが個人的に最も気に入っている機能です。
「スキル」は自分で作ることもできます。私が作ったのは「おはようスキル」。毎朝「おはよう」と打つだけで以下が自動で届きます:
Google カレンダーから今週の予定を取得今日の予定を整理して表示各部署から「今日やるべきアクション」をアドバイス
実際のやり取りはこうです:
私が打った文字:
おはよう
AI から返ってきた内容:
おはよう!今日は 2026年4月4日(土)です。
━━━ 今週の予定 ━━━
[土] 展示会準備ミーティング 14:00〜
[日] なし
[月] 小林電工 展示会 10:00〜18:00
[火] なし
[水] 仕入れ業者 打ち合わせ 13:00〜
[木] なし
[金] なし
━━━ 今日の予定 ━━━
14:00 — 展示会準備ミーティング
━━━ 各部署からのブランド成長アクション ━━━
【SNS・マーケティング】
🎯 今日やること:展示会の「舞台裏」をストーリーズで投稿する
→ 準備過程のリアルは「こだわりが伝わるコンテンツ」になり信頼を作る
📅 今週中に:展示会当日のライブ配信かリール投稿の台本を今日中に作る
【EC・販売】
🎯 今日やること:展示会限定価格・特典の案を1つ決めて告知文を準備する
→ 「展示会でしか買えない」体験は新規顧客の購入障壁を下げる
📅 今週中に:展示会来場者向けの LINE 登録特典を設計する
【展示会・イベント】
🎯 今日やること:商品のディスプレイ(陳列)とこだわりボードの内容を最終確認する
→ 月曜本番まで残り2日。視覚で伝えるブランドストーリーが購買を決める
【経理・数字管理】
🎯 今日やること:展示会の目標売上と損益分岐点(利益がゼロになる売上額)を確認する
→ 目標を数字で持って臨むことで判断が速くなる
━━━ 今週の最重要アクション(1つだけ) ━━━
▶ 月曜の展示会で「LINE 登録」を必ず促す仕組みを今日中に作る
→ 展示会は「一期一会」。来場者を LINE リストに変換できれば、
後からEC誘導・リピート販売ができる。これが最も売上に直結する。
「おはよう」の5文字だけで、これが届きます。
Google カレンダーの予定を自動取得して、ブランドの状況と照らし合わせて、今日やるべきことを各部署の視点でアドバイスしてくれます。
このスキルの設定は「こういう動きをしてほしい」という説明文を書いたファイルを作るだけです。プログラミングは不要です。
2 週間で生まれた成果物の全リスト
私が「指示を出した」だけで AI が作ったファイルの一覧です。
ブランドWiki
ブランドコンセプト・パーパス整理ターゲット設計書ブランディング設計書マーケティング方針書会社ルール・執行役員憲章
マーケティング部(成果物フォルダ)
UGC(ユーシージー=ユーザーが自ら作るコンテンツ)施策 企画書動画コンテンツ強化 企画書LINE リスト構築・配信設計釣りコミュニティ集中攻略 企画書アーバンスポーツコミュニティ攻略 企画書競合ブランド分析レポートDuer(競合ブランド)徹底分析レポート
経理部(成果物フォルダ)
年間予算計画書(2026年)経営状況レポート(月次・年次)3 年間売上比較分析
宣伝広報部(成果物フォルダ)
宣伝広告戦略(全体)起源ストーリー動画 企画書Instagram 2 アカウント戦略WIX ホームページのコード一式(HTML・CSS)
部署間連携
受注データ全件分析(全部署の視点付き)月次予算執行レポートのテンプレート予算申請書のテンプレート
これ、私が手を動かして「書いた」わけではありません。
私がやったのは「お願いを言葉にすること」だけです。
正直に書く——苦労したことも
① セットアップの最初の壁
インストール自体はコピペで終わります。ただし「どんな役割の AI チームを作るか」「どう指示を書くか」は自分で考える必要があります。最初の3〜4日は試行錯誤でした。
② エラーが英語で出る
失敗したときのメッセージ(エラーメッセージ)が英語で出ます。ただし Google 翻訳で十分対処できるレベルです。「エラー文をコピーして AI に貼り付けて『これどういう意味?』と聞く」が最強の解決法でした。
③ AI の出力は必ず確認が必要
AI は自信満々に「間違ったこと」を言います。
生成されたドキュメントは必ず自分で読み直す(レビューする)ことが大切です。AI は「優秀なアシスタント」であって「最終判断をまかせる上司」ではありません。
④ コストがかかる
月額約 15,000 円のプランを使っています。無料では動きません。ただし「5 部署の AI チーム+秘書室」が稼働していると考えると、私には合っていました。
非エンジニアが使うときの3つのコツ
1. 「役割を決めてからお願いする」
「マーケの計画を作って」より「あなたはマーケティング部長です。釣り好きな 30 代男性に向けた SNS 戦略を 3 ヶ月分作ってください」の方が、圧倒的に精度が高い出力が返ってきます。
2. 「ブランドの基本情報を最初に覚えさせる」
「このブランドの情報を記憶しておいて」と伝えると、次の会話でも文脈を引き継いでくれます(メモリ機能)。毎回同じ説明をゼロからしなくて済みます。
3. 「失敗しても怖くない」
AI が作ったファイルを消しても、フォルダが増えても、元に戻せます。試しにお願いしてみるコストはほぼゼロです。「まずやってみる」が一番の近道でした。
まとめ——「非エンジニア」が「最強のチーム」を手に入れた
使い始める前、私は「Claude Code = 賢いチャット AI」だと思っていました。
実際は全然違いました。
パソコンの中に、自社のブランドを理解した5つの部署が誕生し、フォルダを整理し、成果物を保存し、Google カレンダーの予定を読んで「今日何をすべきか」を教えてくれる。毎朝「おはよう」と打つだけで、全部署から今日のアクションが届く。
これは「ツール」ではなく、「パートナーチーム」 でした。
「コードが書けない」は、まったく関係ありませんでした。
「お願いを言葉にできる」——それだけで十分です。
付録:実際によく使う操作一覧
操作方法Claude Code を起動するターミナル(黒い画面)で claude と入力スキルを追加する/install-skill スキル名 と入力チームを作る/team create チーム名 と入力使えるコマンドを確認する/help と入力AI に記憶させる「〇〇を覚えておいて」と日本語で話しかける朝のブリーフィングを呼び出す「おはよう」と打つ(スキル設定後)