- 投稿日:2026/04/21
はじめに
「肋骨を閉じなさい!」
「あばらが開いてる!」
バレエを習っている方はこんな声かけを聞いたことがあるかもしれません。でもこれはバレエをしている人だけの話ではありません。
姿勢を良くしようとして「胸を張る!」と意識したとたん、みぞおちが前に飛び出して肋骨がパカっと開いてしまった経験はありませんか?
実は「肋骨を閉じよう・締めよう」と意識する必要はありません。
正しい体の使い方を知れば、肋骨は自然と開かない状態になります。
この記事では元のブログの考え方をベースに、2024〜2025年の最新研究をプラスしてわかりやすくお伝えします∩(*´ᗜ`∩)ワッショイ♪
そもそも「肋骨が開く」ってどういうこと?
まず肋骨(ろっこつ・あばら)について知っておきましょう。
肋骨とは

・胸のまわりをぐるっと囲んでいる骨のこと
・左右12本ずつ・合計24本あります
・心臓と肺を守る大切な骨です
・呼吸のたびに自然に開いたり閉じたりしています
「肋骨フレアー」(Rib Flare)とは
肋骨の下部(第7〜10肋骨)が前方・外側に突き出た状態のことです。
正常では左右の肋骨弓が作る角度(胸骨下角)は約90度ですが、これが110度以上に広がると「肋骨フレアー」と判断されます。
🌟 重要ポイント:肋骨フレアーとは肋骨が「常に息を吸った状態で固まってしまっている」ことです。呼吸と深く関係しています!
🔍 最新研究でわかった「肋骨が開く」本当の原因
2024〜2025年の研究で、肋骨が開く原因は一つではなく複数の問題が絡み合っていることがわかってきました。
原因① お腹まわりの筋肉が弱い
・外腹斜筋・腹横筋・内腹斜筋が弱くなっている
・これらが弱いと肋骨を「内側に引き込む力」が失われる
原因② 姿勢の崩れ
・反り腰(腰椎前弯過剰)→骨盤が前傾→肋骨が開く
・猫背→胸椎が丸まる→代償的に肋骨が開いてスペースを確保
・前方頭位(スマホ首)→連鎖的に上半身全体が崩れる
原因③ 呼吸パターンの乱れ(最も見落とされがち!)
・「胸式呼吸」が優位になっている
・息を吸うことばかりで「吐ききれていない」
・肋骨が常に「吸気位(開いた状態)」で固まってしまう
原因④ 広背筋・胸筋などの緊張
・背中や胸の筋肉が固まると肋骨の動きが制限される
・デスクワーク・スマホの多用が特にリスクを高める
原因⑤ 肩関節の可動域の制限
・腕を上げる動作を肋骨を開くことで代償してしまう
・「万歳するたびに肋骨が開く」方はここが原因のことが多い
悪循環のサイクル
・腹筋が弱い→横隔膜がうまく使えない→胸式呼吸が増える→肋骨がさらに開く→腹筋がさらに使いにくくなる
横隔膜と肋骨の深い関係
2024年の研究で「横隔膜(おうかくまく)」と肋骨フレアーの関係がより明確になりました。
横隔膜ってどんな筋肉?

・胸とお腹の間にあるドーム型の筋肉
・呼吸するたびに上下に動くポンプの役割をする
・体幹を安定させるインナーマッスルとしての役割もある
肋骨が開くと横隔膜に何が起きるの?
・肋骨が開いたまま固まると横隔膜の動きが制限される
・横隔膜の代わりに首・肩・胸の筋肉が呼吸を担ってしまう
→首こり・肩こりが慢性化する原因のひとつ!
・呼吸が浅くなる→副交感神経が刺激されにくくなる→ストレスや不安が高まりやすくなる
🌟 「しっかり吸う」より「しっかり吐く」ことが肋骨フレアー改善の最大のカギです!
女性・産後の方に特に多い理由
肋骨フレアーは女性・特に出産経験のある方に非常に多く見られます。
妊娠中に起きること
・赤ちゃんが大きくなると内臓が上に押し上げられる
・横隔膜が押されて呼吸しにくくなる
・代償として肋骨が外側・前方に開いてスペースを確保する
・妊娠ホルモン(リラキシン)により関節・軟骨が柔らかくなる→肋骨がさらに動きやすくなる
・お腹の筋肉(腹直筋)が引き伸ばされて弱くなる(腹直筋離開)
産後に続く理由
・肋骨が「開いたまま記憶された」状態でリセットされない
・授乳・育児の前かがみ姿勢が猫背を促進
・2025年の研究では**産後42日時点で約89%の女性に肋骨フレアーを伴う腹筋の問題が残っている**ことが報告されています
⚠️ 産後の方へ:骨盤底筋トレーニングだけでは不十分です。肋骨の位置と呼吸の改善をセットで行うことが大切です!
正しいアプローチ:肋骨を閉じるのではなく「開かない体」を作る
肋骨を無理やり閉じようとすると体が固まりすぎて呼吸が浅くなります。
大切なのは「閉じる」ではなく「自然と開かない状態を作ること」です。
そのために必要な3本柱
・みぞおちの位置を正しく保つ
・広背筋(こうはいきん)を使う
・呼吸を整えて体幹の深層筋で支える
改善方法① みぞおちを「前に突き出さない」意識を持つ
⭐️みぞおちの目で正面を見るイメージ
・みぞおちの部分に目があると想像する
・その目でまっすぐ正面を見るように「前でも後ろでもない・真正面の位置」に保つ
・すると背骨の「くの字」折れが自然に修正される
・骨盤の前傾も防がれ、肋骨が開かない状態になる
⚠️ 「胸を張る」ではなく「みぞおちを正面に向ける」がキーワードです!
改善方法② 広背筋(こうはいきん)を使う
⭐️広背筋とは
・背中の下から脇の下にかけて広がっている大きな筋肉
・脇の下をギュッと締めるときに使われる
・この筋肉を使うと肋骨が自然と締まりやすくなる
やり方
・両脇を軽く締める(脇の下に薄い紙を挟むイメージ)
・そのまま肩を下げてリラックスさせる
・肋骨まわりがすっきりまとまる感覚を確認する
バレエ・ダンス・バートレーニングをしている方へのポイント
・バーにつかまるとき「握りしめない」
・手のひらをバーに乗せるだけで広背筋が自然に使いやすくなる
・力強く握ると腕に力が入りすぎて広背筋が働きにくくなる
🌟 「ギュッと強く締める」のではなく「そっと引き寄せる」くらいの感覚がちょうどいいです!
改善方法③ 呼吸の再教育(最重要!)
2024年のRCTでは、横隔膜呼吸をコアトレーニングに追加することで痛み・筋活動・睡眠の質すべてが有意に改善したことが確認されています。
360度ブレッシング(3次元呼吸法)
・仰向けまたは座った状態で行う
・鼻から息を吸う→お腹・横・背中へ360度に膨らむイメージ
・口からゆっくり細く長く吐く→肋骨が「内側・下方に引き込まれる」のを感じる
・「吐ききること」を最優先にする
4セット×5呼吸を1日1〜2回
🌟 ポイント:胸が大きく動かないように注意!お腹と背中が膨らむ感覚を目指しましょう。
「ハ!」呼吸(位置感覚の再教育)
・「ハッ!」と短く強く声を出す
・この瞬間、腹横筋・外腹斜筋が瞬発的に収縮し肋骨が内側に引き込まれる
・「肋骨が内側に入る感覚」を体に覚えさせるための練習
1セット10回を1日2〜3回
改善方法④ タオルで肋骨の動きを感じる
肋骨の動きがわからないと意識しにくいものです。タオルを使うと感覚がすぐにわかります!
やり方
・バスタオルをアンダーバスト(胸の下)に一周巻く
・胸の前でクロスするように持つ
・息を大きく吸う→肋骨が横に広がるのを感じる
・息をゆっくり吐く→タオルとともに肋骨が中央に戻るのを感じる
・「吐いたときに戻る感覚」が肋骨が自然に閉じた状態です
🌟 この「吐いたときの感覚」を姿勢を作るときの基準点にしましょう!
改善方法⑤ 胸まわりの力みをほぐす
⭐️「ネクタイをゆるめる」ストレッチ
・胸の真ん中(胸骨のあたり)に手を当てる
・きついネクタイの結び目をゆるめるイメージで上から下にゆっくり撫でおろす
・みぞおちの手前まで撫でたら深呼吸する
・胸がリラックスして首もすっと伸びる感覚を感じる
改善方法⑥ 腕を上げながら肋骨を閉じたままにする練習
「腕を上げると肋骨が開く」という方にとても効果的な練習です。
やり方
・仰向けに寝て膝を立てる
・腰を床に軽く押しつけて骨盤を安定させる
・両腕を天井方向(前ならえ)に伸ばす
・腰が床から浮かないように注意しながら、両腕をゆっくり頭の上(万歳の方向)へ動かす
・腰が浮き始めたところでストップ。10回繰り返す
⚠️ 腰が浮くのは肋骨が開いているサインです。浮かない範囲でだけ動かすのがポイント!
改善方法⑦ 深層筋を鍛えてしっかり支える
呼吸が整ったら、次はインナーマッスルを鍛えて「肋骨が開かない体」を作ります。
デッドバグ(体幹深層筋の協調トレーニング)
・仰向けで腕を天井に向け・膝を90度に立てる(テーブルトップ)
・腰を床にしっかり押しつけた状態をキープしながら
・右腕と左足をゆっくり4秒かけて伸ばす
・腰が浮かないことを厳守!10回×3セット
ドローイン(腹横筋のアクティベーション)
・仰向けに寝て膝を立てる
・息を吐きながらおへその下を背骨に向けて引き込む(5秒キープ)
・力を抜く。10回繰り返す
2024年の研究では、ドローインが腹横筋を選択的に活性化する最も効率的な方法のひとつであることが確認されています!
日常生活での意識づけ
座っているとき
・みぞおちが前にも後ろにも出ていない「真ん中の位置」をキープ
・坐骨(おしりの骨)で座る意識を持つ
・30〜45分ごとに立ち上がって呼吸を整える
立っているとき
・脇の下を軽く引き締める(広背筋を意識)
・肩は上げず・後ろに引きすぎず・自然な位置にストンと落とす
・「吐いたときの肋骨の位置」を普段から意識する
スマホ・PC使用中
・画面を目線の高さに上げる(胸が押し出されない)
・20〜30分ごとに360度ブレッシングを1回行う
やってはいけない!NGなアプローチ
・「胸を張る=みぞおちを前に突き出す」→肋骨が開く・反り腰になる
・「肋骨を力で固めて動かさない」→呼吸が浅くなる・体が固まる
・「腹筋だけを鍛える(クランチなど)」→特に産後の方は逆効果になりやすい
・「肋骨を意識しすぎて呼吸を止める」→インナーマッスルが機能しなくなる
⚠️ 肋骨まわりの筋肉は「柔らかく・動ける状態」が大切です。固めすぎは逆効果!
改善ロードマップ(段階的に進めよう)
第1フェーズ(1〜2週)→呼吸の気づきと再教育
・360度ブレッシング
・タオルで肋骨の感覚を覚える
・「ハ!」呼吸で位置感覚を養う
第2フェーズ(3〜4週)→胸椎・肋骨の可動性改善
・ネクタイほぐし
・みぞおちの意識づけ・広背筋の活性化
・腕上げで肋骨を閉じたままにする練習
第3フェーズ(5週〜)→深層筋の強化と統合
・ドローイン
・デッドバッグ
・日常動作への意識の統合
まとめ
・肋骨が開く本当の原因
→腹筋の弱さ・呼吸パターンの乱れ・姿勢の崩れの3つが複合して起きている
・最も見落とされる原因
→「胸式呼吸」「吐ききれていない呼吸」→常に肋骨が開いたまま固まる
・正しいアプローチ
→「肋骨を閉じよう」とするのではなく「開かない体を作る」こと
・最優先でやること
→「しっかり吐く呼吸」の再教育→これだけで多くの方が変化を実感できる
・広背筋を意識すること
→脇を軽く引き寄せるだけで肋骨が自然とまとまる
・産後の方へ
→骨盤底筋だけでなく「肋骨の位置と呼吸」からアプローチすることが大切
「正しい姿勢=力んで作るもの」ではありません。呼吸と体の仕組みを正しく使えば、自然と美しい姿勢が手に入ります😊
気になる方はいつでもDMお待ちしておりますので、気軽にご相談ください♪
最後まで読んでいただきありがとうございました∩(*´ᗜ`∩)ワッショイ♪
参考:[バレエで肋骨締めるならこの筋肉意識してみて… | 先進療法治院](https://www.senshinryochi.com/2016/11/19/ballet-rokkotsu-shimerunara/) ・ [バレエ 胸を開く?肋骨は締める?| 踊るドイツブログ](https://riverside-germany.com/ballett-38/) ・ [肋骨を締める!とはどういう意味?| イロハ ピラティス](https://hanaepilates.com/ballet/1696/) ・ Spine Deformity(2025)・ PMC11889499(2025)・ PMC10774616(2024)・ Bioengineering/MDPI(2025)ほか