- 投稿日:2026/04/21
はじめに
クレジットカードは便利だから使ってる、でもしくみはよく知らない。
という人は多いんじゃないでしょうか。
実はクレジットカードの裏側には、カードを発行する会社、お店・わたしたち(ユーザー)の三者がそれぞれ「得をしようとしている」、なかなか面白いビジネスの仕組みが隠れています。
今回はその仕組みを、誰もが知っている3つのカードを題材に解説します。
✈️ ANAカード(旅行好きに人気)
🛒 楽天カード(日本最強クラスのポイント還元)
🏋️ スポーツジムのカード(入会時に「作ってください」と言われるアレ)
この3つ、実はしくみがまったく違います。どれが「誰のためのカード」なのかを知ると、カード選びの見方が変わるかもしれません。
まず基本:クレジットカードのお金の流れ
クレジットカードの仕組みを理解するうえで、最初に覚えておきたいことがあります。
カードで買い物をするとき、登場人物は3人いるということです。
・ 🧔あなた(ユーザー)
・ 🏪お店(加盟店)
・ 💳️カード会社
たとえばコンビニで1,000円の買い物をカードで払うとき
こんな流れになっています。
① あなたがカードで1,000円の支払いをする
② カード会社がお店に「立て替え払い」をする
(お店はすぐ現金を受け取れる)
③ 翌月、あなたにカード会社から1,000円の請求が来る
④ お店はカード会社に「加盟店手数料」(約3〜5%)を支払う
つまりカード会社は「お金の立替屋さん」です。そしてその報酬として、
お店から手数料をもらっているわけです。
「え、手数料ってあなた(ユーザー)じゃなくてお店が払ってるの?」
そうなんです。あなたが1,000円の買い物をしたとき、
お店の手取りは970円くらいです。
残りの30円がカード会社の取り分。
これがカードビジネスの基本的な収益構造です。
では、この基本を頭に入れたうえで、それぞれのカードを見ていきましょう。
✈️ ANAカード:「マイルを売る」という意外なビジネス
ANAカードって何者?
ANAカードを持っている人は「マイルが貯まるから」という理由で作ったと思います。でも少し立ち止まって考えてみてください。
「このカード…ANAが作ってるの?それともJCBが作ってるの?」
正解は「両方が協力して作っている」です。
カードの表面には「ANA」のロゴがありますが、実際に決済処理や与信審査をしているのはJCBなどのカード会社です。
ANAはカードのインフラを持っていないので、カード会社に「うちのブランドを使っていいよ、でもその分うちにもお金を払ってね」という形で提携しています。
これを「提携カード」と呼びます。
ANAは何で稼いでいるのか?
ここが面白いところです。
「ANAカード」というくらいだからANAが主役に見えますが、ANAがこのビジネスで稼ぐ方法は「飛行機のチケットを売ること」ではありません。
ANAは「マイルをカード会社に売ること」で稼いでいます。
仕組みはこうです。
① あなたがANAカードでコンビニで1,000円買い物をする
② カード会社が「このユーザーに10マイル付与してください」とANAに依頼する
③ ANAはマイルを発行し、カード会社から現金を受け取る
④ あなたはいつか貯まったマイルを航空券と交換する
つまりANAは「飛行機に乗る前から、マイルというデジタル通貨をカード会社に前払いで売っている」わけです。
しかも強力なのが「貯めたマイルが使われなければ、ANAにコストはほぼ発生しない」という点です。あなたがマイルを失効させてしまったり、使わずに眠らせている間、ANAはカード会社から現金をもらい続けられます。
ANAカードのメリット・デメリット
✅ ユーザーのメリット
飛行機に乗らなくても、日常の買い物でマイルが貯まります。貯まったマイルは航空券と交換できるので、うまく使えば実質タダで旅行ができます。カードのランクによって搭乗ボーナスマイル(10〜50%)もつくので、ANAをよく使う人ほどお得度が高まります。
❌ ユーザーのデメリット
年会費がかかります(2,200円〜96,800円)。マイルには3年間の有効期限があり、管理が複雑です。ANAにあまり乗らない人は、普通のポイント還元カードより損するケースもあります。
✅ ANAのメリット
マイルを前払いで現金化できる高収益ビジネスです。しかも飛行機に乗らない人からもカード利用を通じて収益を得られる、究極の顧客囲い込みです。
ANAカードはどんな人向け?
ANAをよく使う人・マイルを計画的に貯めて旅行に使いたい人向けのカードです。逆に飛行機にほとんど乗らない人は、楽天カードのような汎用高還元カードの方がお得なケースが多いです。
🛒 楽天カード:「手数料をグループ内に閉じ込める」しくみ
楽天カードはANAカードと何が違う?
ANAカードは「ANAとカード会社の提携」でしたが、楽天カードは構造が全然違います。
楽天は楽天カード株式会社というカード会社を自分たちで持っています。つまり「楽天市場(お店側)」と「楽天カード(カード会社側)」が同じグループにいるわけです。
これがどれだけすごいことか、お金の流れを見ると一目瞭然です。
楽天市場で楽天カードで買い物をするとどうなるか
通常のカード決済では、手数料がいろんな会社に分散します。
【普通のカード × 普通のお店】
お店 → 手数料 → カード会社 → ブランド料→ VISA
→つまりお店の手数料が外に流出
ところが楽天市場で楽天カードを使うと:
【楽天カード × 楽天市場】
出店者 → 手数料 → 楽天カード(グループ内)→ブランド料→ VISA
→つまり手数料は楽天グループ内に残る
🏋️ スポーツジムのカード:「会費を確実に回収したい」という本音
なぜジムに入会するとカードを作らされるのか
スポーツジムに入会したことがある人なら経験があるはずです。「月会費のお支払いはこちらのカードでお願いします」と、よくわからないカードを作らされた経験。
このカードの正体を多くの人は知りません。でも仕組みを知ると「なるほど!」となります。
ジムのカードによく使われているのがジャックスという会社です。ジャックスは1954年に北海道函館市で創業した信販会社で、三菱UFJフィナンシャルグループの関連会社です。
ジャックスがジムと組む理由
ジャックスの強みは「集金代行」というサービスです。
ジムの悩みを想像してみてください。
毎月何百人もの会員から月会費を回収しなければならない
払い忘れた会員に督促の連絡をしなければならない
現金で受け取ると管理が大変
口座振替の設定ミスで未引き落としが発生する
これをジャックスに丸投げできます。ジャックスが毎月決まった日に自動で会費を回収してくれるので、ジムは集金業務から完全に解放されます。
ジムのカードのメリット・デメリット
✅ ジムのメリット(運営側)
未払いリスクがほぼゼロになります。督促業務がなくなります。そしてもうひとつ重要なのが「退会抑止効果」です。カードと会員資格が紐づいているため、退会するには「カード解約+退会手続き」という二重の手間が発生します。これが心理的なブレーキになるのです。
✅ ユーザーのメリット
毎月の払い忘れがなくなります。それだけです。
❌ ユーザーのデメリット
ポイント還元率が低いです。ジャックスカードの還元率は0.5%程度で、楽天カード(1%)の半分です。日常の買い物でも使いがちですが、メインカードには向きません。カードが増えて管理が煩雑になります。そして意図せず退会しにくい構造に組み込まれます。
ジムのカードはどう使うべき?
月会費の引き落とし専用カードとして割り切るのが正解です。日常の買い物には楽天カードなど、還元率の高いメインカードを使いましょう。そしてジムを辞めるときはカードの解約を忘れずに。
まとめ:3つのカードは「誰のためのカード」か
カードを作るとき「誰のためのカードか」を考える。
ジムのカードはジムのために作らされている、という視点を持つだけで、ふだん使うメインカードは別に持つという正しい判断ができます。
ANAカードはマイルの期限があるので、飛行機に頻繁に乗らなければ、失効してしまい、ANAを儲けさせるだけです。
カードは使い方次第で強い味方にも、知らないうちに損するものにもなります。
【註】掲載している情報は2026年4月時点のものです。最新情報は各社公式サイトで確認してください。