- 投稿日:2026/04/25
はじめに
「宿題やりなさい!」 その一言がきっかけで、子どもが泣き出したり、パニックになったり。そんな経験はありませんか?
実は、自閉症スペクトラム(ASD)やADHDなどの特性を持つ子の中には、「宿題をやる」という大きすぎるタスクを、どう分解していいか分からず、脳がフリーズしてしまう子がいます。
「何から手をつければいいのか分からない」 この不安が、パニックの正体です。
そこで今回、AI(Claude)の力を借りて、ワンクリックで宿題を「スモールステップ」に分解してくれるツールを開発しました。プログラミングの知識はゼロ。50代の私が、AIとの対話だけで作り上げたものです。
この記事では、ツールの使い方から、その裏側にある「プロンプト(AIへの命令文)」まで、すべて公開します。
1. なぜ「スモールステップ」が重要なのか
特別支援教育の現場で20年、多くの子どもたちと向き合い、試行錯誤を繰り返してきた中で、私が何よりも強く確信していることがあります。それは、「見通し」が持てることこそが、子どもの心の安定と安心感に直結するということです。
定型発達のお子さんであれば、「さあ、宿題をしよう」と考えたとき、無意識のうちに頭の中でタスクを整理できます。「まず筆箱を出して、1問目を読んで、解いたら丸付けをする」といった一連の流れを、自然なリズムで行うことができるのです。
しかし、発達に特性のあるお子さんにとって、その景色は全く違って見えています。彼らにとっての「宿題をやる」という言葉は、あまりにも漠然としていて、どこから手をつけていいか分からない「巨大で複雑な、そびえ立つ断崖絶壁」のように感じられているのです。登り口が見つからず、その圧倒的な高さに足がすくんでしまう。その恐怖や不安が、時にパニックや拒絶という形で現れます。
今回ご紹介するAIツールは、その高く険しい壁を壊すものではありません。その壁の前に、お子さんの歩幅に合わせた「なだらかな階段」を、一段ずつ丁寧に設置していくものです。
一段ずつであれば、子どもは自分の力で足を上げることができます。「次は何をすればいいか」が視覚的にハッキリと分かるだけで、不安は消え、本来持っている力を発揮できるようになります。AIという技術を使い、あの子の歩幅に合わせたオーダーメイドの階段を作る。それは、子どもたちが「自分にもできた!」という自信を積み重ねていくための、新しい支援のカタチなのです。
2. 最強の「タスク分解プロンプト」
ClaudeCoworkに以下の文章を貼り付けてみてください
「見通し」を自動生成するスケジュール・スモールステップ化ツール 「宿題をやる」という大きなタスクを、どう分解していいか分からずパニックになる子に向けた支援です。
機能: 「宿題」と入力すると、AIが「1. 筆箱を出す」「2. 漢字ドリルを開く」「3. 1ページ書く」のように超スモールステップに分解し、チェックリスト化します。
Claude Coworkでの実装ポイント: 入力されたタスクを構造化データに分解するAPI連携や、完了ごとにデジタルな「ご褒美スタンプ」が出る仕組み。「視覚支援タイマー」のロジック(円グラフや砂時計の視覚表現)は、**「2. スモールステップ化ツール」**と組み合わせると非常に強力なアプリになると思います。 「あと何分で、このステップ(例:筆箱を出す)を終わらせよう!」という連動型にするのはいかがでしょうか?
出てきたステップリストを、あとで自分でもカスタマイズできるようにしたいです。
これらを踏まえたウェブアプリを作ってください
ちょっと長いですが、Geminiに「「見通し」を自動生成するスケジュール・スモールステップ化ツール を作りたいんだけど」と投げかけて考えてくれた文章をそのまま貼り付けました。
完成したタイマーを誰でも使えるようにする(URL化)については⬇️を見てください。
https://library.libecity.com/articles/01KPCTK78XXBVNW4PYN9CSN05R
3.最初に完成したウェブアプリ
timely-yeot-4ef20c.netlify.app


「ステップが多すぎるな」「漢字が読めないと使えないな」「紫基調だとちょっと暗い印象だな」「好きな電車をさりげなく入れたいな」・・・などなど、いろいろ改善したいところが出てきました。
4.子供に合わせてカスタマイズするコツ
出てきた改善点を、ぜんぶClaudeCoworkにお願いしてみましょう。
「ステップは5つ以内で、ひらがな・カタカナだけで書いて。色はオレンジ基調で。電車のキャラクターを目立ちすぎないように入れて作ってください。」とお願いしてみました。
thunderous-pasca-86b106.netlify.app


願いを全て取り入れて、作り直してくれました。
さりげなく電車のキャラが入り、明るい色で、ステップは5つ以内、ひらがな・カタカナのみを使ってます。カスタマイズもできます。
5. 50代からのAI活用:大切なのは「困りごと」を言語化すること
「プログラミング」という言葉に、高い壁を感じてしまう必要は全くありません。大切なのは、コードを書く技術ではなく、目の前で葛藤している「子どもの困り感」を、ありのままAIに伝えること、それだけです。
「もう少し優しい言葉で励ましてあげて」「漢字が苦手だから、全部ひらがなとカタカナにして」「手順が多すぎて混乱しそうだから、ステップを5つに絞って」あるいは「あの子の好きなオレンジ色をメインに使って」といった、現場での気づきや親心のままに言葉を投げかけてみてください。
AIは、あなたのその「想い」を形にするための通訳者です。 最初は完璧でなくて構いません。一つ伝えて、その反応を見て、また一つ微調整を繰り返す。そうしたAIとの温かい対話の積み重ねこそが、世界にたった一つ、その子のためだけにカスタマイズされた「最高の支援ツール」を形作っていくのです。
技術に自分を合わせるのではなく、子どもの個性に技術を合わせる。そんな「オーダーメイドの支援」が、あなたの言葉一つで今、ここから始まります。
おわりに
AIという言葉を聞くと、「人間の仕事が奪われるのではないか」「冷たい機械に何ができるのか」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、私がこの数ヶ月間で確信したのは、その正反対の可能性です。
AIは、私たちの仕事を奪う存在ではありません。むしろ、これまでの忙しい日常の中ではどうしても手が届かなかった、「一人ひとりの、ほんの小さな困りごと」に、24時間いつでも何度でも寄り添ってくれる「魔法の杖」なのです。
「宿題ができない」と泣く子を前に、かつての私は自分の無力さを感じることもありました。しかし今、AIという新しいパートナーを得たことで、その子の特性に合わせた「階段」を、瞬時に、そして何度でも作り直してあげることができます。
このツールが、日々葛藤されている親御さんや先生方、そして何より一生懸命に生きているお子さんたちの、不安を安心に変え、笑顔を取り戻すきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
50代からでも、教育の現場からでも、新しい扉はいつでも開けます。 さあ、一緒にこの「魔法の杖」を振ってみませんか?
