- 投稿日:2024/01/13
- 更新日:2025/10/05

対象者
・これから投資を勉強したい初心者の方
・投資を始めたが、家族の理解が得られない、ギャンブルにのめり込んでいると思われているが、「そうじゃない」と上手く説明が出来ない人。
説明のための資料として活用してください。
なお、投資には「自己投資」や「ビジネス投資」もありますが、ここではNISAを前提にした「金融投資」の意味で使っています。
投資の基本 (初歩の初歩)
投資・貯蓄(積み立て)が必要な理由
1.年金受給額が減少していく。
2.インフレ(物価上昇)の世界では、現金の価値は下がり続ける
1.年金受給額が減少していく
年金だけで老後の生活を支えることが不可能になる。
20年後、今の高齢者が受け取っている年金より20%くらい減っている可能性が高い。30年後、最悪今より、40%くらい年金が減ってしまう。
そのため、老後の生活を支える資金(お金)を準備する必要がある(厚生労働省の財政検証の数値から現在の賃金をベースに計算。物価や賃金の変動は考慮していない。)
2.インフレ(物価上昇)の世界では、現金の価値は下がり続ける
世界はインフレが当たり前だが、日本はデフレ(物価停滞)が続いている珍しい国。しかし、その日本でも最近はインフレ傾向にある。
世界中で物価が高くなると、輸入する商品も高くなるので、日本だけがデフレを続けるのは難しくなる。
2%のインフレが続くと、30年後、物価は今の1.8倍。
30年間貯蓄して1,000万円貯めたとしても、2%のインフレが続いていれば、30年後、今の550万円くらいのものしか買えなくなってしまう。
だから、貯蓄だけで老後に備えるのは、かなり危険、足りなくなる可能性が高い。
逆に、株式はインフレとともに価格が上昇していく傾向にある。
「インフレに備えるには、現金よりも株式の方が適している」と言える。
本当に投資は必要か?
「貯蓄」「退職金」「年金」「親の遺産」等のお金で将来の資金をまかなえるのであれば、必ずしも投資をする必要はない。しかし、今の収入や退職金が永遠に続くとは限らない。不足する可能性があれば、「貯蓄」の一部を投資にまわして、資金を増やしていくことが効果的な方策になる。
投資によって実現できること
投資によって資産を増やすことができる
資産とは 「現金(預金)」 「株式」 「債券」 「金」 「不動産」 など
資産を増やすときに、一番やりやすいのは「投資信託」に投資すること。
投資信託は、株式や債券の「詰め合わせパック」。
「配当金」と「株価の上昇(値上がり益)」
株式や投資信託に投資して利益を得るには、2つの方法がある。
①「配当金」を受けとる
②「株価が上昇」したときに売却して利益を得る
配当金:
会社が利益を出すと、その中から株主(株式を持っている人)に、一定のお金(配当金)を支払うことができる。
高い「配当金」を出す株式に投資する方法を「高配当株投資」と呼ぶ。
株価の上昇益:
株式や投資信託は、常に価格が変動する。安く購入して、高くなった時に売却すると利益を得られる。1万円で投資信託を購入し、2万円になった時に売却すれば、1万円利益が出る。
短期間で売買を繰り返して利益を得ようとするのは、ギャンブルに近くなるので、素人はやらない方が良い。
長期間「良い投資信託」を持ち続けて「株価の上昇益」を狙う方が良い。
資産運用は複利が基本(株価の上昇が大きくなる)
単利:
投資元金に金利がつく(利息を配当金として受け取ると、単利になる)
複利:
(投資元金+利息)に金利がつく
(配当金を受け取らず、利息も投資にまわすと複利になる)
例)元金100万円 金利10%とすると
単利:毎年100万の10%(10万円)の利息がつく。
10年で100万円の利息。総額200万円の資産になる。
複利:2年目は(100万円+10万円 合計110万円)に10%の金利がつき、
121万円になる。
3年目は121万円に10%の金利がつき133.1万円に、10年で約259万円の資産になる。
資産を大きく増やすには、配当金を受け取るのではなく、配当金を再投資してくれる投資信託を選ぶと良い。
優良な投資信託でどれくらい利益が出るのか
「S&P500」や「全世界株式(オールカントリー)」など優良な投資信託は、長期的に見ると、5%~10%くらいの利回りがある。(年によって変動する。マイナスになることもある。)
投資信託 資産の増え方
毎月2万円 (年間24万円) 積み立てた場合
投資信託を7%で運用できれば、20年で2倍、30年で3倍に資産が増える。
初心者は定期定額積み立て投資がお奨め
投資をする時、初心者は毎回同じ金額で、定期的に購入することがお奨め。例えば、毎月2万円ずつ購入すると決めて、継続してしていくという方法。株価や債券の価格は常に変動(上下)するので、毎月定額で購入していると、株価が上がった時には購入数が少なくなり、株価が下がった時には購入数が多くなる。
これにより、割安な株を多く購入することができ、安定的な運用が出来るようになっていく。
投資のリスク
1.長期では利益が出る可能性が高いが、短期ではマイナスになることも多い。1000万円まで増えた資産が、いきなり500万円になってしまうこともあり得る。
2.利回りは保証されてはいない。(未来は誰にも分からない)
3.利回りが高い投資信託は、海外のものが多い。そのため為替リスク(円高や円安の影響)がある
投資は、「投資のリスク」を理解したうえで、そのリスクを出来るだけ減らし、適正なリスクを取ることで、適正な利益(リターン)を獲得していくもの。「ノーリスク(絶対損しない)」という投資は存在しない。適正なリスクとリターンを得る方法はいろいろ開発されているので、自分に合った良い方法を取り入れていくことが大切。
投資で安定的に利益を生み出す 3つのコツ
1.長期投資 2.分散投資 3.リバランス(初心者講座では省略)
1.長期投資のポイント
最低でも15年、できれば20年は続ける。途中マイナスになっても続ける。初心者は積み立て投資がお奨め。毎月一定の金額で投資信託を購入していく。
優良な投資信託であれば、20年積み立てて赤字になったことはない。(未来の保証はできないが)
2.分散投資のポイント
投資の格言 「卵は一つのカゴに盛るな」
一つの株式しか持っていなければ、その会社がダメになると株式も暴落する。JALや東京電力など、有名企業でも株式は暴落する。
たくさんの優良な株式や債券を持っていると、ひとつの会社がダメになっても、他の会社がカバーしてくれる。
投資信託は株式や債券の詰め合わせパックなので、投資信託ひとつ買うだけで、ある程度分散される。
資産の増え方や、いくら積み立てが必要なのか知りたいときは
毎月2万円5%で運用するといくらになるのか? 2000万円貯めるには毎月いくら積み立てれば良いのか?
各証券会社が出しているツールで簡単に調べることができる。
例えば:三菱UFJアセットマネジメントツール: https://www.am.mufg.jp/tool/
「NISA」とは
投資の利益には、税金がかかるのが普通(利益の約20%)
1000万円利益が出ると、約200万円税金を納めなければいけない。
しかし「NISA」口座を使って投資すると、税金が取られない。
「NISA」では、年間360万円、総額1,800万円まで、投資信託や株式、債券などを買うことが出来る。
普通に投資するより絶対お得なので、「NISA」口座で投資することがお奨め。
「NISA」の申し込み先
たくさんの証券会社や銀行が「NISA」を扱っているが、
良い投資信託を持っていて、手数料の安いところがお奨め
2024年1月時点のお奨め
お奨めNo.1
SBI証券(商品も手数料の安さも群を抜いている)
住信SBIネット銀行とセットで使うと便利
お奨めNo.2
楽天証券(機能はSBI証券+住信SBI銀行に劣るが、アプリが使いやすい)
楽天銀行とセットで使うと便利
庶民は、ネット証券とネット銀行を使うこと
対面型の証券会社や銀行(メガバンクや地銀)を使うと損をする。。
対面型の証券会社・銀行のデメリット
・手数料が高い(店舗維持費や人件費が高いので、手数料も高い)
・良い投資商品が少ない
・余計な商品を売り込まれる
・富裕層や大手企業でなければ、好条件を引き出しにくい
・ネットバンキングの機能が低い、使い勝手が悪い
・家計簿管理ソフト(Money Forward ME)とうまく連携できないところが多い
ネット銀行やネット証券は不安だという人もいるが、まったく気にしなくてよい。
そもそも1,000万円までの銀行預金は、国家が保証してくれている。
住信SBIネット銀行は、親会社が三井住友銀行とSBIホールディングス(SBI証券等)という日本の超大手金融機関。業績も好調。ネットでの使い勝手は、他行より圧倒的に良い。
証券会社に入っている株や現金は分別管理されていて、証券会社が倒産してもすべて保護される仕組みがある。
何に投資すれば良いのか
20~30年投資できるなら お奨めは
投資信託 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 通称オルカン
全世界株式の投資信託は多数販売されているが、
その中でも” eMAXIS Slim“という商品がお奨め。
“eMAXIS Slim”は「三菱UFJアセットマネジメント株式会社」が販売している商品のブランド名。
eMAXIS Slim全世界株式(オルカン)の特徴(メリット・デメリット)
メリット
・世界中の優良企業数千社に投資しているので、個別株より安全度が高い。
・ダメになった企業を外し、良くなった企業を入れてくれる。(勝手に入れ替えしてくれる)
・配当金を出さないで再投資してくれるので、複利運用になり、資産が増えやすい。
・たくさんの会社が全世界株式を販売しているが、eMAXIS Slimのオルカンが一番安定してコストが低い。
2024年2月時点で信託報酬 (税込)/年0.05775%以内 (最安値レベル)
デメリット
・個別株よりは安全だが、株式100%は、現金や債券に比べるとリスクが高い。
・仕組み上、現状では米国株の比率が高くなる。今後米国が衰退すると、オルカンも低迷する可能性がある。
・世界各国の通貨で購入するので為替リスクがある。円高に進むと利益が減り、円安に進むと利益が増える。
オルカンに投資するときの注意点
生活防衛資金(大きなトラブルがあった時の緊急用のお金)は、必ず別に確保しておく。
最低生活費の半年~1年分くらいの確保が一般的。
余剰資金をすべて投資信託(株式)につぎ込むのは、資金に余裕が無いとチョッと危険。
投資信託購入資金の 20~40%くらいを預金しておくと、安全度が高い。 例えば、毎月2万円投資信託を購入しているなら、毎月4,000円~8,000円銀行に貯蓄していく。
【新NISAの利用意向調査】
オカネコ 新NISAの利用意向調査
調査期間:2024年1月4日(木)~2024年1月7日(日)
回答者:全国の『オカネコ』ユーザー1,594人
調査結果
■新NISA制度の導入を知らない 13.4%。
■新NISAの利用率 37.8%。
主な理由「余剰資金を増やすため」「老後の資金を貯めるため」
■新NISAを利用していない理由
・新NISAを利用するまでの手続きが面倒・億劫だから 28.1%
・新しいNISA制度とこれまでのNISA制度の違いがわからず、
具体的な行動に移せない 24.0%
お金に興味のある「オカネコ」ユーザーを対象にしたアンケートだが、それでも面倒でやらない人が多い。
日本人全体で見ると、もっと多くの人が「面倒」「よく分からない」でやらないだろう。
「面倒」でやらない人と、しっかり学んでいる人とでは「マネーリテラシー(金融知識)」に大きな差が生まれる。
それはやがて、人生の大きな差となって現われてくる。
投資を始める前段階のお話
借金(ローン、リボ払い、リースなど)がある人は、借金返済が優先。
借金は確実に金利を取られるが、投資は確実に金利が得られるわけではない。
住宅ローンや奨学金返済など極めて低利の場合(少なくとも1%未満)は、返済しながら投資もあり。
短期解約すると元本割れ確実で満期まで持てば元金保証される金融商品(保険や投資商品)は、原則解約する。
確実に元本割れするということは、その分高額の手数料を取られている可能性が高い。
一方で高額の手数料を取られながら、他方で不確実な利息を求めるのは合理的でない。
例外的に、あと数年持てば満期で全額戻って来る場合は、持ち続けてもよい。
契約したばかりであれば、たとえ元本割れしても早期に解約した方が傷は浅い。
日本人は「元金保証」という言葉にすごく弱い。
満期まで持てば「元金保証」と言われると何か安心してしまう人が多いが、満期までの期間をオルカンなどに投資した場合の期待リターンと比較してみること。大概大損している。
「元金保証」が無いから投資をしないという人も多いが、そもそも生きているかぎり、リスクは必ず存在する。
ノーリスクで生きようとすること自体、幻想でしかない。
リスクとリターンをよく見極め、リターンがリスクを大きく上回るのであれば、リスクを低く抑え、致命傷を負わないように注意深く行動し、確実にリターンを得られるようにしていくことが望まれる。
投資を始める前段階の手順(プランニング)
「投資」を始める前には、以下の作業を行うことが望ましいと個人的には考える。
しかし、ひとりで行うのは難しいので、詳しい人に相談しながら行うと良い。
1.ライフプラン(人生設計)を作成する
自分はどんな人生を送りたいのか明確にする
↓↓↓
2.ライフプランに基づいて、投資計画を立てる
「何のために投資するのか」「いつ、どれだけのお金が必要になるのか」
目的と目標を明確にする
↓↓↓
3.自分の資産状況や、収入・支出の状況を把握する
↓↓↓
4.目標を実現するために必要な投資商品を選定する
↓↓↓
5.実際に投資するための資金を準備する
無理をして投資しても、お金が続かない。
自分のお金の管理(予算管理・家計管理)ができないと、投資を続けることは難しい。
最後に投資の注意点
投資は自己責任で行うもの。
「NISA」を使えば、効率的に資産を増やすことは可能だが、一歩間違えば、逆に資産を減らしてしまう。
誰かを盲信して、その人の言うとおりに投資し、その結果大損したとしても、だれも責任は取ってくれない。
証券会社や保険会社の営業には相談しないこと。証券会社や保険会社が主催するセミナーも行かない方がよい。証券会社や保険会社は、業績を上げるための商品はよく知っているが、あなたの人生をよくする方法は知らない。
優良な情報が欲しければ、ネットや書籍を活用することをお奨めする。優良なコミュニティに参加するもあり。
他人の意見を聞くのは良いことだが、最後は自分の責任で、自分で判断して投資することが大切。
分からない商品は買わない
うまい話には、ほぼ確実に落とし穴がある。すごく儲かりそうな話があったら、まず疑って調べること。
投資は必ず「余剰資金」で行う。
余剰資金とは、最悪無くなっても生活に支障のないお金。今使う必要がないお金。
20年以上使わなくても生活に困窮しないお金を投資に回す。
株式は、上がったり下がったりするので、20年後には利益が出るとしても、その途中は大きなマイナスになっていることもある。だから、近い将来使うお金は投資に使ってはいけない。
短期解約は避ける
投資を始めたが短期で解約してしまう人が後を絶たたない。
短期解約3つのパターン
1. 大きく値下がり(株価が暴落)した時
リーマンショックやコロナショックなどで暴落した時、不安になって売却する人がいる。
2. 値下がりが続いた後、株価上昇して、やっと赤字が消えたとき
暴落した時は、売ると損をするのが嫌で売れない。でも不安がずっと続いている。
そんな時、株価が回復して赤字がなくなると、ホッとして安心を得たくて売ってしまう人がいる。
それでは資産は増えないし、たいして利益も得られない。
3. 株価が上がってうれしくなって、何かを買いたくなったとき
株価が上がると急にお金持ちになった気がして、解約して現金を手にして、欲しかったものを買ってしまう。
物欲に負けて購買欲求が抑えられないと、短期解約してしまう。
投資は、目的目標が大事。老後のために積み立てているのであれば、その方針を維持しなければならない。
途中でブレて短期解約するくらいなら、初めから長期投資はしない方がよい。
以下補足資料
中級編:資産分散のお話(概略だけ。初心者は無視してOK)
長期投資は、株式のようにリスクの高い資産にだけ投資するのではなく、債券や預金など利回りの安定した商品にも投資する方が、安全度が高い。
(株式が下がる時に、逆に上がる動きをする資産が理想的)
ただ、株式、債券、現金と複数の商品に投資すると、各商品のバランス調整(リバランス)という作業が必要になり、初心者にはハードルが高くなる。理想的には、初心者もしっかり投資を学習し、リバランスしながら投資する方が望ましいと考える。
しかしそれでは初心者がなかなか投資に踏み出せないので、長期で投資するのであれば、株式100%のオルカンだけで構わない としている。難しいことを覚えなくても、時間をかければ過去利益が出ているからである。
中級編:参考までにリバランスのお話(概略だけ。初心者は無視してOK)
資産を「投資信託(株式)と現金や債券など」に分散した場合、「リバランス」という作業を行うと、より安全に運用できる。
株式と現金など複数の資産に分散する場合、それぞれの資産の配分比率を決める。そしてその比率が守られるように調整していくのが、リバランスという作業になる。
例えば
投資信託(株式)1,000万円、現金1,000万円 1対1の比率で持っているとする。
投資信託(株式)が1,200万円に上がった時は、株式を100万円売却して
投資信託(株式)1,100万円、現金1,100万円 1対1の比率に戻す。
逆に
投資信託(株式)が800万円に下がった時は、株式を100万円購入して
投資信託(株式)900万円、現金900万円 1対1の比率に戻す。
株価上昇時(リバランス)
比率 元の価格 株価上昇時 リバランス後
株式 50% 1,000万円 1,200万円 1,100万円
現金 50% 1,000万円 1,000万円 1,100万円
合計値 100% 2,000万円 2,200万円 2,200万円
※株式を売らないで、現金を1,200万円に増やして1対1の比率に戻すやり方もあり。
株価下落時(リバランス)
比率 元の価格 株価下落時 リバランス後
株式 50% 1,000万円 800万円 900万円
現金 50% 1,000万円 1,000万円 900万円
合計値 100% 2,000万円 1,800万円 1,800万円
1値上がった時に利益確保し、値下がった時に割安で購入することで、安定的に運用できるようになる。
リバランスは、持ち続けるともっと上がるかもしれない株式を売却することになるので、やりすぎると利益が減ってしまう。一般的に「1年に1回くらい」行えば効果が高いと言われている。
ただ、オルカンやS&P500などの優良投資信託は、20年以上の長期運用すれば、過去赤字になったことはないので、必ず長期投資するという人は、リバランスせず投資信託を持ち続ける方法も有り。
その代わり、投資資金を少し抑えめにして、安全度を高めるとよい。
以上