- 投稿日:2024/08/13
- 更新日:2025/10/06

シャドーイングとは?どんな効果がある?
シャドーイングとは、聞こえてくる音声のあとを追ってくり返し発話するトレーニング方法です。まるで影(シャドー)のように後についていくのでシャドーイングと呼ばれます。もともとは同時通訳者がトレーニングとして行っていたのが、英語学習に有効であると一般の学習者にも広がっています。
効果①リスニングの向上
日本人がリスニングを苦手とする最大の原因は発音を聞き取れないことです。これまでの学習で間違った発音をインプットしてしまったことが原因です。シャドーイングで、聞こえた通りの発音をくり返すことで、正しい発音を再現しやすくなります。それがリスニング力の向上につながります。
かなり負荷のかかるトレーニングなので、続けることで英語を聞く体力も身につきます。
効果②発音の向上
シャドーイングで英語の正しい発音を再現する練習をおこなうので、発音の改善につながります。
特に以下のような発音に気をつけておこないます。
1.音の連結(リエゾン):子音と母音がつながる
(例)an egg → ×アン エッグ ○アネーッグ(nとeがつながる)
2.音の脱落(リダクション):子音と子音が続くと最初の子音が脱落する
(例)good night → ×グッド ナイト ○グッナイト(dが消える)
その他にも発音のポイントはありますが、上記の2つは特に重要です。音の連結や脱落で英語の発話スピードが上がるので、この2点を意識するだけでリスニングのさいにもスピードについていきやすくなります。
効果③スピーキング力の向上
シャドーイングだけでは英語を話せるようになりませんが、スピーキングにも一定の効果が期待できます。くり返し同じ英文でトレーニングをおこなうので、単語や定型表現の定着になります。
聞き流すだけではなく声に出して練習するので、スピーキングのさいにも英語が口から出てきやすくなります。
リピーティングやオーバーラッピングとの違い
シャドーイングとよく似たトレーニングにリピーティングやオーバーラッピングがあります。特に、オーバーラッピングは混同されがちなので、違いを理解しておきましょう。
リピーティング
リピーティングでは、英文を最後まで聞いたあとにくり返し発話します。英文を見ながら発音を確認でき、発話のときも自分のペースで読み上げができるので難易度はもっとも低いです。
ただし、リピーティングでは自己流の発音なってしまいがちです。特に文章が長くなると、聞いた発音を忘れてしまって自分勝手な発音で読み上げてしまいます。英語のリズムやスピードなども身につけにくいです。
オーバーラッピング
オーバーラッピングでは音声の上にかぶせて同時に発話します。英文を見ながら、音声に合わせていっしょに読み上げていきます。
オーバーラッピングは英語のリズムやイントネーションを身につけるのに良いトレーニングです。音声と同じ速さで練習するので、スピードについていく練習になります。
文字を見る・音声を聞く・発話するという3つの作業を行うため、音声にじゅうぶん意識が向かなくなるのが問題点です。文字を見ると、自分の頭の中にあるカタカナ発音にひっぱられてしまうことが多いです。
私がこれまで教えてきた生徒さんもほとんどの方がオーバーラッピングでは発音の再現がうまくできません。文字を見るとつい文字通りに発音したくなるからです。
シャドーイング
シャドーイングでは音声から少し遅れて追いかけるように発話します。リピーティングとオーバーラッピングの中間のような感じです。音を聞いて、聞こえた音をすぐにくり返し発音します。
シャドーイングは英文を見ずにおこないます。これがリピーティング、オーバーラッピングとの一番の違いです。
音声のみでおこなうので初心者にはハードルが高く感じられますが、文字なしでおこなうからこそ音声にしっかり集中できます。
聞き取れない発音はシャドーイングでも上手く言えないので、自分の弱点も明確になります。
シャドーイングのやり方
では、シャドーイングの手順をお伝えしましょう。いきなりシャドーイングに入るのではなく、オーバーラッピングも取り入れて少しずつ難易度を上げておこないます。
教材の選び方
まずは短めの英文を用意します。できれば30秒~1分以内の長さのものがおすすめです。TOEICの会話文やパート4の音源などもシャドーイングに適しています。TEDトークなど長めの音源を使うときは、少量ずつにわけておこなうのがおすすめです。
必ず英文スクリプトと音源のある教材を用意してください。日本語訳もあると理想的です。内容はあまり難しすぎない方が良いです。辞書など引かずに7割くらいは理解できるような英文を選びましょう。
シャドーイングの手順
1.英文を見ずに音声を聞いてリスニングの理解度をチェック
2.スクリプトを確認して内容をチェック(知らない単語があれば意味を調べます)
3.英文を見ながら再度音声を聞いて、単語や音の連結など発音をチェック
4.英文を見ながらオーバーラッピングを数回おこなう
5.英文を見ずにシャドーイングをおこなう(発音の再現に努めましょう)
6.なれてきたら意味も意識しながらシャドーイングする(強弱のリズムを意識すると効果的)
オーバーラッピングの前にリピーティングをおこなったり、音声なしで何度か音読してみても良いです。自分のレベルに合わせて、手順を少し変えてみてもかまいません。
初心者におすすめのやり方
初心者にとってシャドーイングは難しく感じると思います。シャドーイングに入る前の段階で、リピーティングや音読を取り入れ、オーバーラッピングを中心に練習するのがおすすめです。そのあとにシャドーイングに挑戦してみましょう。
音源は再生スピードを調整できる場合は、スロースピードから始めて少しずつ上げていけばついて行きやすいです。
中級レベル以上の人におすすめのやり方
中級レベル以上の方は積極的にシャドーイングに挑戦していきましょう。オーバーラッピングは少なめにして、シャドーイングを多めにしてみてください。
オーバーラッピングをやりすぎると英文を覚えてしまうことがあります。そうすると、音源をしっかり聞かずに、覚えた文章を自己流の発音でシャドーイングしてしまいがちです。
音源をしっかり聞いて、発音をそのまま真似するように心がけましょう。難しければ、最初は再生スピードを落として練習して大丈夫です。スロー再生で始めても、最終的にはオリジナルのスピードで練習できるようにしましょう。
シャドーイングは何回すれば良いのか?
英語学習者からよく聞かれる質問が「シャドーイングは何回くらいすればいいのか」というものです。
シャドーイングや音読は何回すればOKというものではありません。数さえこなせば良いのではなく、トレーニングの質が重要になります。
回数を目標にシャドーイングをおこなうと、「30回やったからOK」というように、質より数を目指してトレーニングをおこなってしまいがちです。
そこで、回数を目標にするよりも、
・音の連結を再現しよう
・スピードを少し上げられるようにしよう
・次は意味を意識してみよう
というように、ポイントを意識しながら質を上げるようにして、ある程度自分が納得いくまでくり返して練習しましょう。
質を意識してトレーニングをすれば、結果として回数は増えていきます。おそらく、50回~100回くらいにおさまることが多いです。100回と聞くと途方もなく聞こえるかもしれませんが、毎日10回のシャドーイングを10日間すれば100回になります。
いろんな教材で数回ずつトレーニングするよりも、同じ教材でくり返し練習することが大切です。最終的には暗唱できるくらいにできれば、英語力はかなり上がります。
シャドーイングにおすすめのアプリ
最後に、シャドーイングに使える無料アプリをいくつかご紹介します。自分のブログでは高額なシャドーイングアプリを紹介していますが、リベシティの皆さん向けに無料アプリを集めてみました(笑)
1.ざっくり英語ニュース!Study Now
ニュースで英語を学べるアプリで、堅めの話題から軽いトピックまで幅広く扱っているのが嬉しいです。英文の読み上げ速度が調整でき、英文スクリプトだけでなく日本語訳もついているのでシャドーイングにも使いやすいです。
初心者~初中級レベルの人におすすめです。
2.TED
皆さんご存じのTED Talkはアプリ版もあります。字幕の設定もON、OFF変更可能で、再生スピードの変更もできます。1つの動画が長めのものが多いですが、1段落ごとにわけてシャドーイングに使うのがおすすめです。
中級~上級レベルの人におすすめです。
3.Voice Tube
Voice Tubeは英語学習者向けの動画を集めたサイトです。TEDと同様にWeb版とアプリ版とがあります。洋画や海外ドラマの1シーンから、BBCニュース、TED Talkの動画など、幅広い動画がそろっています。
字幕の設定を変更したり、再生スピードの変更も自由にできるのでシャドーイングに使えます。私も英語のレッスンによく使用しますが、注意点はときどき字幕や日本語訳にミスがあることです。
注意点はあるものの、それを上回る便利さと内容の充実度があります。初心者向けの動画から上級者向けのものまで幅広いレベル、ジャンルの動画が見つかります。
4.abceed
TOEICの公式問題集をお持ちの方ならこのアプリをご存じかと思います。公式問題集を始め、多くの英語教材の音源を無料で聞けるアプリです。音声の再生スピードを変更できるので、シャドーイングに最適です。Web版もあるので、私は普段はそちらを使っています。
私はいつもTOEIC対策レッスンで、abceedの音声を使ってシャドーイング指導をしています。TOEICのリスニング対策は「TOEIC試験のコツ+シャドーイング」がメインです。それだけでリスニングのスコアは大幅に上がります。TOEICのスコアアップを目指す方は、ぜひabceedでシャドーイングに取り組んでみてください。
まとめ
「シャドーイングって聞いたことはあるけど、何をするの?」という人が多いです。そんな方に向けてこの記事を書いてみました。
英語力のアップには普段の自主トレが非常に大切です。シャドーイングだけで英語が話せるようになるわけではありませんが、学習に取り入れることで上達の速度が上がります。特にリスニングには、毎日のオンライン英会話よりも毎日のシャドーイングが効果的です。
学習の効率化ができれば無駄な出費をおさえつつ英語力を上げていけます。英語力が身につけば稼ぎ力アップにもつながります。
ぜひ、皆さんの英語学習にお役立てください。