- 投稿日:2024/08/18
- 更新日:2025/10/24
略記のメリット1:解答時間を短縮できる
簿記3級では勘定科目が100個ほど登場します。その中には画数の多い漢字だらけのものもあります。ところが試験時間は60分しかありません。勘定科目を略記すれば解答時間を短縮することができます。
略記のメリット2:練習量を増やせる
略記するとサクサク進むから仕訳の練習量を増やせます。むしろこっちの方が重要かもしれないです。
略記のメリット3:楽しいかも(個人差あり)
一時期、V式速記法にはまっていました。速記は、思いついたことを素早く書けるのに加えて、読み返すときにちょっとした暗号解読をしているような気分になれます。自分だけの略記をノートに書きまくると何か秘密文書みたいで人によっては面白いかもしれません。
略記のメリット4:俯瞰できる(かも)
略記一覧表を作ってみると、勘定科目の「なんだか引っかかって気になる部分」にも気づきやすくなりました。
例えば、資産グループの「受取手形」と、負債グループの「支払手形」は、他の「受取◯◯」が収益グループで、「支払◯◯」が費用グループなので違和感があります。これは本来、「受取手形」「支払手形」で使われる「受取」「支払」だけが未来の金銭移動を意味しているからだと思います。未来に対価を受け取れる手形、未来に対価を支払わなきゃいけない手形、という感じです。一方、他の勘定科目は、受け取った家賃、支払った家賃、という感じで、その勘定科目が示す金銭移動そのものを意味しているようです。(専門家じゃないので間違っていたらごめんなさい)。なので、私は頭の中で「受取手形」「支払手形」を「手形(形式の)債権」「手形(形式の)債務」と読み替えていました。ほかにも「未収」を「未受」に統一したくなったりしましたが、違和感の整理がしやすくなると思います。
注意点:あまりこだわってもしょうがないです
しかし、最終目的は「簿記的考え方」の修得なので、あまりこだわってもしょうがないと思います。書いている私は略記のおかげで第3問は満点でしたが、第2問はほとんど落として、結局ギリギリで合格した程度の者です。ふくしままさゆき先生も「勘定科目は全部書いてしまう」とおっしゃってたと思います。略記は必要のない人には必要がないみたいです。なので、気に入ったら部分的にでも採用していただければ幸いです。
略記のコツ1:頻度が高いほど画数を減らす
出現頻度が高い勘定科目は解答時間に占める割合も多いのでできるだけ画数を減らして簡単に書けるようにしたいです。例えば、売掛金・売上/仕入・買掛金などはいちいち書いていられないですね。UX、う上、KXとかでもいいのですが、もっと画数を減らしてもわかればOKです。
逆にそれほど頻度が高くない勘定科目は頑張って画数削減しなくてもいいと思います。例えば「車両運搬具」は「車」でOK。「車」だと7画ありますが、解答時間中に何度も書くとは思えないので画数削減はこのくらいで打ち止めにします。
略記のコツ2:特徴的な部分を使う
勘定科目全体のうち特徴的な部分を略記に使うと、見返したときに一発でわかるのでオススメです。
例えば「資本金」は「資」だと画数が多いです。一方、他に「本」がでてくる勘定科目は(少なくとも3級では)なさそうです。なので「本」で十分としました。
略記のコツ3:他と区別できることが必須
画数を減らすと略記は似てくるので区別がつきにくくなります。なので、区別しやすい字を採用します。ただし、勘定科目を二文字以上で表す場合、同じ文字でもどこに登場するかで区別できることがあります。例えば「く」は「繰越商品」の「繰越」にも使いつつ、「貸倒引当金繰入」の「繰入」にも使えます。
具体例
私が昨年使っていた勘定科目略記一覧表です。これがベストではないのでカスタマイズして使っていただければと思います。勘定科目は2022年の「商業簿記標準・許容勘定科目表」のPDFを参照しました。具体的な作成方法は以下の通りです。
具体的方法1:すでにあるものを流用
「簿記 勘定科目 略」で検索すると、CPAラーニングの植田有祐先生やパブロフ簿記さんのページがヒットします。ざっとみて、自分に合うものは取り入れてしまいましょう(考える手間が省けます)。
例えば、当期純利益(Net Income→NI)は、そんなに画数が多いわけでもないので、ネットで公開されている略記法から拝借しました。
でも「前」とか「仮」とかって、よく出てくるわりに画数が多いですよね。これらを省略している例は見つかりませんでした。そこで以下の工夫をしました。
具体的方法2:他の勘定科目で使われていない音
例えば「貸倒引当金」は比較的画数が多い文字が使われています。3級では他の「引当金」があまり出てこないので「貸倒」部分だけを略すことにしました。「カシダオレ」で他の勘定科目で使われていない(と思う)音は「レ」だったので採用しました。
他にもこんなものを使っています。
・「受取商品券」→「ん」
・「預り金」→「ア」
・「貸付金」→「ツ」
・「手数料」→「ス」
具体的方法3:部首を抜き出す
「手形」を略すとき「手」を使うのも一案です。でも「手数料」と間違うかもしれません。「形」は7画。使えないこともないけれど、もっと短縮したい。そこで部首を抜き出します。「彡(さんづくり)」を採用しました。
他にもこんなものを使っています。
・「売上原価」の「原」→「厂(がんだれ)」
・「未収収益」の「収」→「丩(出し方わかりません)」
・「消耗品費」の「耗」→「毛」
・「所得税」の「所」→「戸」
具体的方法4:似ていればOK
カタカナに似ている部首はカタカナで代用しました。
・「住(民税)」→「イ」
・「社(会保険料)」→「ネ」
具体的方法5:ペアは一方をデフォルトにする
例えば、電子記録債権と電子記録債務はペアです。こういう場合、目印がついている方とついていない方(デフォルト)とで区別すると簡略化できます。具体的には「電子記録債権」→「e」、「電子記録債務」→「eム」としました(「ム」は債務(サイム)の読みから)。これで「ム」がついているかいないかで区別できます。
具体的方法6:字を捏造する
それでも頻度が高くて画数が多いものが結構あります。調べると、売掛金をUX、買掛金をKXと省略する流儀が多いみたいですが、これらは頻繁に使うのでもっと画数を減らしたいです。また「支払」「受取」のペアや、「前払」「仮払」「未払」「前受」「仮受」「未収」も頻度が高いです。
そこで、「買掛金」はひらがなの「か」の点を省いた字を捏造しました。
なんとなく「✕」にも似ているので「カケ」の要素は入っているんじゃないでしょうか。この字(造字)は左上から右下に伸びる線がカーブしていて末端でハネているので、「✕」と十分区別できます。そのため、ペアである「売掛金」は「✕」だけにしました(「U」はいらない)。
また、「支払」「前払」「仮払」「未払」の「払」がつく文字は、「はらい」の「い」の左側だけを伸ばした字を造りました。習字でいう「はらい」にも似ているのでわかりやすいと思います。この字を基にして「支払」「前払」「仮払」「未払」をこのように加工しました。
・「支払」はそのまま
・「前払」は、カタカナの「マ」を足す。
・「仮払」は、カタカナの「カ」を(左下に)足す。
・「未払」は、カタカナの「ミ」を足す。
「支払」「前払」「仮払」「未払」は、それぞれ「受取」「前受」「仮受」「未収」とペアになっていると考えられます。そこで、ペアのもう一方は、この造字をつけないことで区別しました。例えば「受取家賃」は「家賃」だけでわかるので「ヤ」で済みます。「前受」「仮受」「未収」は「マ」「カ」「ミ」だけにしました。
造った略字の一覧はこちらです。
まとめ
勘定科目を略記する効果は本当に人それぞれです。略記を考えるより仕訳練習を一問でも多くこなした方が結果につながる人も多いと思います。でも効果はさておき、こういう工夫は楽しめる人には楽しめると思います。略記法をご自分にあうようにカスタマイズされてはいかがでしょうか。