- 投稿日:2024/11/03
- 更新日:2025/10/04
.png)
保険解約時の一時所得と確定申告について
保険を解約した場合、解約返戻金が一時所得として課税対象となります
1 一時所得の計算方法
一般的な保険商品の場合
・保険を解約すると、解約返戻金は一時所得として課税対象になります
・計算式
一時所得 = (解約返戻金 - 払込保険料 - 特別控除50万円)×1/2
・例 払込保険料が180万 解約返戻金が300万の場合
・一時所得:300万円 - 180万円 - 50万円 = 70万円
・課税所得:70万円 × 1/2 = 35万円
35万円が課税所得として加算されます
・複数の一時所得がある場合、損益通算が可能です。
例)A保険で50万円の損失、B保険で200万円の利益
・解約返戻金:A保険150万円 + B保険300万円 = 450万円
・払込保険料:A保険200万円 + B保険100万円 = 300万円
・一時所得:450万円 - 300万円 - 50万円 = 100万円
・課税所得:100万円 × 1/2 = 50万円
原則:一時所得は確定申告が必要です
2 確定申告が不要な場合
①5年以内の解約:養老保険、個人年金、変額年金
・一時払養老保険や個人年金、変額年金を5年以内に解約すると、源泉分離課税が適用されます(終身保険は5年以内の解約でも一時所得)
・税率:20.315%(所得税+復興特別税15.315%、住民税5%)
例)払込保険料180万円、解約返戻金300万円の場合
(300万円 - 180万円)× 20.315% = 243,780円 243,780円が源泉徴収されます
・解約時に保険会社から送付される支払明細書を確認してください
②一時所得が50万以下(特別控除後)
③給与所得者(年収2,000万以下)で、給与所得 退職所得以外の所得金額が「20万」以下
④公的年金受給者で、公的年金等の収入が400万以下かつその他の所得が「20万」以下
例 一時所得が90万以下の場合
・払込保険料210万 解約返戻金300万の場合
・一時所得:300万円 - 210万円 - 50万円 = 40万円
・課税所得:40万円 × 1/2 = 20万円
所得が「20万」で確定申告は不要(ただし、住民税の支払いは必要)
注意:副業収入、医療費控除、ふるさと納税、源泉徴収分の精算など確定申告の必要性がある場合は一時所得が20万以下でも申告が必要です
⑤専業主婦(夫)など給与所得がない場合
基礎控除48万円が適用され、一時所得が146万円以下であれば所得税はかかりません。
例)一時所得が146万円の場合
課税所得:(146万円 - 50万円)× 1/2 = 48万円(基礎控除内)
※ 一時所得は、所得金額の計算上、特別控除額50万円を控除することとされており、他の一時所得とされる所得との合計額が年間50万円を超えない限り、確定申告をする必要はありません。また、一般的な給与所得者の方については、その給与以外の所得金額が年間20万円を超えない場合には、確定申告をする必要がないこととされており、一時所得については、50万円を控除した残額に2分の1を乗じた金額によって所得税額を計算することとされていますので、他の一時所得とされる所得との合計額が90万円を超えない限り、確定申告をする必要はありません。(所法22、34、36、121)
No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人給与等の収入金額が2,000万円以下である給与所得者が、1か所から給与等の支払を受けており、その給与について源泉徴収や年末調整が行われる場合において、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下であるときは、原則として確定申告を要しないこととされています。しかし、この規定は確定申告を要しない場合について規定しているものであり、確定申告を行う場合にも、この20万円以下の所得を申告しなくてもよいという規定ではありません。したがって、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下であることにより、給与所得者が確定申告を要しない場合であっても、例えば、医療費控除の適用を受けるための還付申告を行う場合には、給与所得だけでなく、その20万円以下の所得も併せて申告をする必要があります。
一時所得と税金の目安(試算)
所得税と住民税
所得税は累進課税です。所得が増えると税率も高くなります。
収入から必要経費や所得控除を引いた課税所得に対して所得税速算表を用いて税額を計算します
住民税は一律で10%です。調整控除等があるため多少の変動があり、おおよその目安としてください
一時所得と税金のおおよその目安表です(復興税は加味してません)
たとえば、一時所得の課税金額が30万円で、所得税率が10%の場合
・所得税:3万円
・住民税:3万円
合計6万円の税金となります
保険会社は支払調書を税務署に提出
保険会社は、保険金等を支払う際に金額が100万を超える場合「支払調書」を税務署に提出します(年金保険などは支払金額が20万を超えるもの)
まとめ
一時所得 = (解約返戻金 - 払込保険料 - 特別控除50万円)×1/2
源泉徴収か一時所得か不明の場合は、保険会社のカスタマーセンターへ電話をすると確認できます(くれぐれも担当者はやめましょう)
給与所得者と専業主婦は確定申告が不要なケースも
解約時の税金 所得税と住民税の目安を把握しましょう
詳しい納税金額を把握したい方は税理士、税務署へご相談下さい