- 投稿日:2024/10/09
- 更新日:2025/10/02

はじめに
なんとなく大事だと思っていても、「もっと湿度について知りたい!」という人は多くないでしょう。
「冬になったら加湿器をつけ、梅雨時期には除湿」
おおまかに、そんな感じで過ごしていませんか?
湿度を適正に保つことは、健康面・快適性において非常に重要です。
また、建物の維持管理においても大きな役割を担います。
湿度の基本的な知識をインプットして、今後のQOLを上げていきましょう。
湿度とは?
湿度とは、空気中に含まれる水分(主に水蒸気)の量を示す指標です。
湿度は主に「相対湿度」と「絶対湿度」の2つに分類されます。
相対湿度
空気が含むことのできる水分量(飽和水蒸気量)は、温度ごとに決まっています。
限界の水分量に対して、今どのくらいの水分を含んでいるかをパーセントで表すのが相対湿度です。
空気の温度が上がれば限界の水分量は増え、温度が下がれば限界の水分量も下がります。
冷えたコップの表面に水滴ができるのは、
①温かい空気中では空気に溶け込めていた水分が、
②コップ表面で空気が冷やされ、空気に溶け込める限界の水分量が減り、
③限界を超えた分がコップ表面の水滴になった。
という理屈です。
40〜60%が理想ですが、難しいので35〜70%くらいで管理するイメージです。
絶対湿度
1立方メートルあたりの水蒸気の質量を示します。
空気中にどれだけの水蒸気が実際に存在しているかを示すもので、単位はグラム毎立方メートル(g/m³)です。
(他の単位もありますが、メジャーなものを紹介しています)
単位が覚えにくいですが、単位を省いて言えば
「この中に、どれだけの水分が入っているか」
を表す数値です。
天気予報など、日常生活では相対湿度を使うことが多いので、どちらかというと馴染みのない数値ではないでしょうか?
しかし、絶対湿度は相対湿度に比べ、
・人間の体感湿度に近い
・温度変化に関係なく一定
・健康管理上の正確な目安となる
など、実は重要でわかりやすい数値です。
11g/m³〜13g/m³が理想ですが、まず無理なので8g/m³〜16g/m³くらいが目標になります。
快適・健康・安全
なぜ湿度管理が重要なのか?
快適性
人間は、湿度が適正だと快適に感じます。
・夏は暑いだけでなくムシムシする
・冬は寒いだけでなく乾燥する
このせいで不快になるわけです。
温度を管理するだけは、快適な空間は作れません。
健康面
湿度が低すぎると、
・ノドの粘膜を傷める
・ウイルスが活動的になる
・皮膚が乾燥し、ヒビ割れや炎症を起こす
湿度が高すぎると、
・カビが繁殖する
・ダニが繁殖する
・体温調節が難しくなり、自律神経や水分バランスが乱れる
このように、人間の健康にダイレクトに反映します。
安全性
過度の湿気は、建材の劣化やカビの発生を引き起こします。
逆に乾燥しすぎると木材の収縮や亀裂の原因となります。
壁の内部など見えない箇所が損なわれても、なかなか気付けるものではありません。
震災など、いざという時に後悔することになりかねません。
また建物の劣化により、不動産としての価値が損なわれることになります。
資産価格は下がり、維持コストは増すでしょう。
屋内の湿度が変化する原因
建物により外と内が区切られているのに、なぜ屋内の湿度が変化するのでしょうか?
湿度が上がる原因として、
・人間やペット、観葉植物、水槽の存在(呼吸や発汗、蒸発)
・料理や食洗機で発生する水蒸気
・風呂やシャワーからの水蒸気
などがあり、湿度が上下する原因としては、
・換気による外気の流入
・家の隙間からの外気の流入
・温度変化にともなう相対湿度の変化
などがあります。
これを理解することで、湿度を管理しやすくなります。
通風は正しいか
窓を開けて風を通すことで快適性を上げようとする場合。
外気を入れるということは、室内の空気を捨てるという事でもあります。
イコール、除湿もしくは加湿された快適な空気を捨てるということです。
外気を取り入れる場合、温度だけでなく湿度(できれば絶対湿度)も考慮することをオススメします。
ガスや石油、薪などを燃焼させるタイプの暖房器具は、空気の質を劣化させます。
この場合、空気の入れ替えは必要です。
そういう意味で、電気ストーブやエアコンは効率の良い暖房器具です。
特にエアコンはエネルギー効率に優れるため、オススメです。
「エアコンは効かない」という場合、家の断熱性能不足が原因です。
現在は断熱工事に補助金が出たりしますので、検討すると良いでしょう。
自分でDIY的な断熱補強(窓にプチプチなど)をするだけでも違ってきます。
測定器の誤差
一般向けの湿度計は、かなりの誤差や個体差があります。
目の高さか足元かなど、設置する場所によっても数値が変わります。
大まかな目安ととらえ、あまり細かく拘らないほうが良いでしょう。
おわりに
湿度の重要性やその意味をわかっていただけたでしょうか。
具体的な湿度のコントロール方法を、別の記事で書きたいと思っています。
よろしければお待ち下さい。
↓別記事を作成しました。
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