- 投稿日:2024/10/22
- 更新日:2025/10/02

はじめに
マンション(やアパート)の部屋を好きに選んでいいと言われたら、みなさんはどの部屋を選ぶでしょうか?
採光・騒音・展望・防犯・プライバシー・通風・利便性…
様々な条件があるので、すべての人に当てはまる正解は無いでしょう。
そんな中で、多くの人が見逃しがちなポイントが存在します。
冷暖房費や快適性が大きく変わってくるポイントなので、ぜひ覚えて活用してください。
外部と接する面を考える(夏)
下図をご覧ください。
夏の日中のマンションの例です。
条件は、南向き・1階駐車場・5階建て、各階に5部屋、ベランダあり。
ベランダがあるので、日中の日差しは入ってきません。
各部屋に振ってある「0〜2」の数字が、天井・床・東面の壁・西面の壁、の中で外空間と接している面の数です。
(各部屋には北面と南面もありますが、条件が同じなので省略します)
夏の暑い大気と接している面からは、熱伝導により部屋に熱が入ってきます。
色が濃いほど暑くなりやすいと考えてください。
「2」の部屋は2面が外空間と接しているので、熱が入ってくる面積が大きい部屋ということです。
特に日中の日差し(熱エネルギー)は強いので、屋根・屋上はたくさんの熱を吸収します。
最上階の角部屋は、最悪の条件だということです。
快適に過ごそうと思えば、莫大なエネルギーを必要とします。
東面の壁は朝日が当たりますが、夜の間に冷えているので、日差しで熱せられても温度の上昇は控えめです。
良くないのは西面の壁で、日中の暑い大気に温められてから西日で熱せられるので、東面よりも熱くなります。
熱伝導で入ってくる熱量も東面より多いです。
「0」の部屋は、全ての面で隣接する部屋が断熱材の代わりをしてくれています。(北面・南面を除く)
多くの場合は隣接する部屋の住民が冷房を使い、適温になっているはずです。
面からの熱の流入が無いので、冷房に使うエネルギーは最小で済みます。
外部と接する面を考える(冬)
次は、冬の夜の事例です。
条件は、夏の場合と同じく、南向き・1階駐車場・5階建て、各階に5部屋、ベランダあり。
夏とは逆に、部屋の中の熱がそれぞれの面を伝わって外部へと伝導・放射されます。
冬の夜に熱エネルギーが奪われる一番の原因は、宇宙空間(もしくは雲)への熱放射です。
つまり最上階の部屋は、天井からどんどん熱を奪われる事になります。
最上階の角部屋となると、天井からに加えて壁からも熱が逃げていきます。
冬も同じく、快適に過ごそうと思えば、莫大なエネルギーを必要とします。
東西の壁面については、天井ほどでは無いですが熱を放射します。
1階が外部空間の場合は、2階の床面から地面(コンクリートなど)へも放射します。
冬の場合も「0」の部屋は、全面が断熱材に囲まれているのと同じ効果を得ることが出来ます。(北面・南面を除く)
隣接する部屋の暖房はもちろん、隣接する家庭の生命活動や調理・風呂なども熱源となります。
全て無料で、こちら側の暖房効率を上げてくれます。
ですので夏の場合と同様、暖房に使用するエネルギーは最小になります。
北面・南面の補強
熱エネルギーの観点では、真ん中の部屋のほうが有利であることを説明してきました。
省略してきた北面と南面についても、少し考えてみましょう。
建物において、断熱性が弱い部分は窓です。
これは高性能住宅でも同様で、どうしても窓が弱点になります。
逆に言うと、窓から出入りする熱を抑えることが出来れば、住環境はさらに快適になります。
簡易的に行なうなら、断熱カーテン・窓用断熱シート・断熱ボードなどが選択肢になるでしょう。
本格的に改善を狙うなら、効果の高い二重窓化がオススメです。
分譲マンションなら工事も可能だと思います。(規約などを要確認)
まとめ
部屋を選ぶ際に重要視するポイントは、人それぞれです。
しかし今回ご紹介した知識は、間違いなく大事なポイントだと思います。
・知らないことで正しい選択が出来なかったとしたら?
・知っていたからこそ、低コストで快適な居住空間を手に入れられるとしたら?
後悔することが無いよう、頭の片隅に留め置きください。
※ 主に「松尾設計室」のブログやYouTube等から学んだ知識で書いています。