- 投稿日:2024/11/11
- 更新日:2025/09/30

はじめに
学長は、奨学金を借りることをお勧めされていません。
奨学金は借金ですし、「借金なんてするんじゃねぇ」精神に則って、奨学金を借りないことを勧められているのも納得です。
卒業時に多額の借金を背負い、社会人になってから奨学金地獄に苦しむ人が増えているという話をよく聞きます。
ですので、多くの学生にとって、奨学金を借りないの方が良いというのはその通りだと思います。
ですが、学長が上記のような発言をされる度に、1つ注釈が足りていないのでは、と思っています。
本記事では、その注釈を皆さんにお伝え出来ればと思います。
奨学金の実態について
まずは、奨学金の実態について簡単にまとめます。
JASSO(日本学生支援機構)が作成した「令和4年度 学生生活調査結果」によると、
何らかの奨学金を受給している者の割合は、以下の通りです。
・大学学部:55.0% ※昼間部
・修士課程:51.0%
・博士課程:58.9%
つまり、2人に1人以上が奨学金を貸与しています。
また、JASSOの貸与型奨学金は、第一種奨学金と第二種奨学金に分かれます。
第一種が無利子で、第二種が有利子です。
両者の正確な割合を知ることはできませんが、利用のし易さから、多くの学生が第二種奨学金を利用しています。
学力基準も家計基準も第一種の方が厳しくなっています。(各大学でJASSOと異なる基準を設けている場合があるそうです)
免除制度について
JASSOの貸与型奨学金には、返還免除制度があります。
つまり、借りた奨学金を返さなくても良い可能性があるということです。
これが、私が思う、「奨学金は借りたらあかん」に対する注釈の正体です。
対象者は?
免除される対象者は、以下の通りです。※JASSO「特に優れた業績による返還免除の概要」
・貸与期間中に特に優れた業績を挙げた学生
・大学院(修士課程・専門職学位過程・博士課程)第一種奨学生
これに該当する奨学者どれくらいいるか、につきましては、
令和元年度の結果では:
・貸与終了者:24,638人
・返還免除者:7,473人
つまり、業績が上位約30%以内に入ることが必要です。
どれくらい免除される?
免除制度には、半額返還免除と全額返還免除の2種類あります。
その割合につきましては、令和4年度の認定結果によると:
・全額返還免除:約25%
・半額変換免除:約75%
つまり返還免除対象者のうち1/4が全額返還免除になっています。
「特に優れた業績」とは?
「特に優れた業績」の基準は、詳細はこちらから見ていただきたいですが、
個人的経験からざっくり言うと、
論文をたくさん書き、たくさん学会に出て、良い評価を得る、ということです。
論文の投稿数が大事で、どの雑誌に載っても評価は変わらないみたいです。
また、国内の学会より海外の学会の方が高く評価されるそうです。
更に、当たり前ですが学会で表彰されるとなお良しです。
他にも、特許や授業の成績、学内外の教育活動なども評価対象になるみたいですが、
さほど気にせず、論文と学会を頑張れば良いかと思います。
奨学金を借りることのメリット
さて、以上を踏まえた上で、奨学金を借りることのメリットは以下の通りです。
返還免除される=「お金を給付される」可能性がある
言うまでもないですね。
返還免除されるということは、その分のお金を給付された、と同等です。
半額返還免除されれば、半額分給付された、
全額返還免除されれば、全額給付されたということを意味します。
研究のモチベーションになる
返還免除の可能性があるとなると、論文執筆や学会発表のモチベーションになります。
大学院は研究機関です。
その研究のモチベーションになるというのは、嬉しい副産物かなと思います。
まとめ
短い記事になりましたが、
私は「奨学金は借りたらあかん」がとにかく気になり、注釈をお伝えすることが出来ればという一心で書かせていただきました。
対象者の幅が狭すぎて期待外れだったかもしれませんが、
それならば借りてみようかな、研究頑張ってみようかな、と思った方が一人でもいれば、幸いです。