- 投稿日:2024/11/21
- 更新日:2024/11/21

抗凝固薬の中止と再開判断ミスが引き起こしたトラブル―患者の命を守るために
抗凝固薬は、血液が固まりにくくする薬で、心臓の病気や血管に血栓(血の塊)ができるのを防ぐために使われます。ただ、この薬を飲んでいると出血しやすくなるため、場合によっては一時的に中止しなければならないことがあります。しかし、再開のタイミングを誤ると、血管が詰まる危険な状態になることがあります。今回は、再開が遅れたことで患者さんが重い症状を引き起こしたケースをご紹介し、そこから学べることをお伝えします。
事故後の薬の中止、そして判断の遅れ
心臓の病気のために抗凝固薬を飲んでいた患者さんが、交通事故で病院に運ばれてきました。体の中に出血している可能性があったため、この薬を一時中止し、出血が止まるか様子を見ていました。2日後、医師は出血が収まったと判断しましたが、この段階で薬を再開するかどうかを話し合う必要がありました。
しかし、医療スタッフ同士の連携がうまく取れておらず、薬を再開するタイミングについて十分に話し合われませんでした。その結果、薬が再開されないまま、患者さんは翌日に突然息苦しさを訴えました。検査の結果、血の塊が肺の血管を詰まらせる「肺塞栓症」という状態になっていたのです。このため、もともと1週間程度で退院できるはずだった入院が、1か月以上に延びてしまいました。

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