- 投稿日:2024/12/21
- 更新日:2025/10/09
はじめに

以下のような方におすすめの本です。
・原因不明の体調不良に悩んでいる
・病院で「異常なし」と言われたものの、不調が続いている方
・現代医療の現状について知りたい方
・自分の健康を主体的に管理したいと考えている方
・西洋医学だけでなく、東洋医学にも興味がある方
現代医療の現状を見つめながら、病名がつかない不調との向き合い方、そして患者自身が主体的に健康を管理することの重要性が解説されています。
著者:津田篤太郎(つだとくたろう)先生1976年、京都府生まれ。京都大学医学部卒業。北里大学東洋医学総合研究所漢方診療医。 NHKの「ドクターG」にも出演。
書籍の要約
大きく分けて5つの章で構成されています。

第1章 現代医療の現場から
現代医療の現状、医師の診断プロセスにおける課題、そして医療現場で起こっている様々な問題点(例えば、医師の知識不足や誤診)を具体的な事例を交えながら解説しています。
第2章 医師はどのようにして診断をつけているか
医師が患者の訴えからどのように病気を特定していくのか、その思考プロセスを明らかにします。
問診の重要性や病名の選定方法など、普段は知ることのできない医療の裏側を見ることができる内容です。
第3章 現代医療にできること、できないこと
現代医療が得意とする分野(感染症や外科手術など)と、不得意とする分野(原因不明の慢性的な不調など)を明確に示します。
西洋医学と東洋医学の違いにも触れ、それぞれの長所と短所を比較検討しています。
第4章 よくわからない「不調」とのつき合い方
病名がつかない不調の原因、その背景にある要因(精神的なストレスや生活習慣など)、そしてそのような不調とどのように向き合っていくべきかを具体的に解説しています。
第5章 患者は医師とどうつき合えばいいのか
患者が医療機関とどのように関わっていくべきか、医師とのコミュニケーションの取り方、医療に対する適切な期待など、患者の主体的な行動を促す内容です。
本書全体を通して、著者は現代医療の限界を素直に認めながらも、決して医療を否定しているわけではありません。
むしろ、現代医療の特性を理解した上で、患者自身が主体的に健康管理を行うことの重要性を強調しています。
個人的レビュー

本書の最大の魅力は、病名がつかない不調に悩む人々に対して、解決の糸口を与えてくれる点です。
「原因不明」と言われている人々にとって、本書は「原因が分からなくても、自分自身でできることがある」ということを気づかせてくれます。
西洋医学だけでなく東洋医学の視点も取り入れながら、多角的に不調の原因を考察しています。
特に、原因を特定することに固執するのではなく、「不調」そのものとどう向き合っていくか、という視点は非常に大切です。
現代医療はどうしても「病名」というラベルを付けたがる傾向がある中で、とても新鮮な視点と言えるでしょう。
中でも特に印象的だった3つの点をご紹介します。
「患者離れの良い医者」という概念
著者がかつて教わったという「病気が治って退院したらすっかり忘れ去られるような医師こそ良い医者」という言葉は、本質を突いていると感じました。
患者と医師の関係は、病気が治癒すれば解消されるべきものであり、必要以上に依存する関係ではないということを表しています。
西洋医学と東洋医学の違い
西洋医学が原因を特定し、それを取り除くことに重点を置くのに対し、東洋医学は身体全体のバランスを整えることを重視する、と一般の方にも分かりやすく解説しています。
患者の主体性の重要性
本書全体を通して、著者は患者が主体的に自分の健康を管理することの重要性を繰り返し述べています。
これは、現代医療において見落とされがちな点であり、非常に重要なメッセージです。
まとめ
本書を通して、著者は「病気」という概念に囚われるのではなく、「不調」とどう向き合い、自分らしい生き方を実現していくかということを問いかけているように感じました。
現代社会において、ストレスや生活習慣の乱れなど、様々な要因で体調を崩しやすくなっています。
そのような状況の中で、本書は私たちに「自分自身の身体と心に耳を傾け、主体的に健康を管理していくこと」の大切さを教えてくれます。
鍼灸師としても大変参考になる書籍でした😊
