- 投稿日:2025/01/05
- 更新日:2025/09/30

はじめに
興味をもっていただきありがとうございます!
臨床検査技師のきなこと申します。
この記事では乳がん早期発見のカギとなる「ブレスト・アウェアネス」という考え方について解説します。
乳がんは自分で見つけられる数少ないがんの一つです。従来の『自己触診』は異常やしこりを自分で見つけるための方法ですが、「方法がわからない」「やり方が難しい」という声がありました。
最近では『ブレスト・アウェアネス』という新しい考え方が注目されています。これは、乳房の状態に日頃から関心を持ち、変化に気づく生活習慣を意味します。
自己触診:異常やしこりを見つけることが目的の「検診行為」
ブレスト・アウェアネス:乳房に日頃から関心をもつ「生活習慣」
ブレスト・アウェアネスとは、自分の乳房の状態に日頃から関心を持ち、乳房を意識して生活することです。乳がんの早期発見や早期治療につながる重要な生活習慣とされています。
乳がんは早期発見がカギ
・高い生存率が期待できる(ステージⅠで5年生存率は95%以上)
・治療の選択肢が広がる
・リンパ節や他の臓器への転移リスクを減らすことができる
乳がんは早期発見がとても大事です。
早く見つけて治療を始めれば、元気に長く生きられる可能性が高くなり、普段の生活も今まで通り続けやすくなります。
ブレスト・アウェアネスは早期発見に有効
・乳がん患者の約半数は自分で見つけている
・しこりは早期の乳がんでも生じやすい症状
・入浴や着替えのときなど、日常的に実践可能
・自身の健康に対する意識が高まる
・異常に気づいたらすぐに医療機関を受診できる
・検診と併用することで効果的な早期発見が可能
大事なのは自分で乳房の状態を知り、変化に気づくことです。
ブレストア・ウェアネスの4つのポイント
①自分の乳房の状態を知る
「普段の自分の乳房の状態を知る」ことから始めます。閉経前の女性は月経周期に伴う変化を知ることも重要です。入浴や着替えのときなど、ちょっとした機会に自分の乳房を見て触ってみましょう。入浴の際に、石鹸をつけて撫で洗いするのがおすすめです。
②乳房の変化に気をつける
「いつもと変わりないかな?」という気持ちで取り組みましょう。しこりを探す(自己触診)という行為や意識は必要ありません。
毎日のお風呂タイムで、体を洗う際に触れてみて変化がないか確認するだけです。
③変化に気づいたらすぐに受診する
以下の兆候が見られたら受診してください。
・乳房に硬いしこりが触れる
・乳房の左右の大きさが極端に違う
・乳房の皮膚にくぼみやひきつれが見られる
・乳頭の陥没、ただれや湿疹、分泌物(特に血性のもの)がある
・乳房の皮膚に赤みやただれがあったり腫れている
・乳房に痛みやむくみがある
これらの症状が見られた場合、必ずしも乳がんであるとは限りませんが、専門医の診察を受けることが重要です。
④医療機関で検診を受ける
乳房の変化がなくても、必ず定期検診は受けましょう。
ブレスト・アウェアネスは定期的な乳がん検診と組み合わせることで最大の効果を発揮します。
注意するべきこと
①自己判断の危険性
・「このくらい大丈夫だろう」と安易な自己判断はせず専門医受診をしてください。
・乳がんの症状は「しこり」だけではありません。
・しこりが良性か悪性かの判断は専門医にしかできません。
②定期検診は必要
・小さなしこりや脂肪が多い乳房は、触るだけでは発見が難しいです。
・マンモグラフィーや超音波検査などの画像検査は、しこりを作らないタイプの腫瘍や石灰化が検出できます。
おわりに:家族が乳がんになって実感
実は、私の妹は42歳のときに乳がんと診断されました。
乳がんが見つかったのは、まさにお風呂で「しこり」に気づいたからです。妹の乳がんは良くないタイプの乳がんでしたが、早く見つかったことと治療に使用された抗がん剤があっていたようで、いまは元気に過ごしています。
職業柄、乳がん患者さんにはたくさん会いましたが、改めて早期発見の重要性を実感した出来事でした。
乳がんは「見つかること」が怖いのではなく、「知らないまま」のことが怖いのです。まずは自分の乳房を知ることから始めてみましょう。
そして変化があれば専門医を受診し、定期検診も忘れずに!
もう少しブレスト・アウェアネスを知りたい方はコチラ↓
乳がん検診の適切な情報提供に関する研究
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事が参考になれば嬉しいです。