• 投稿日:2025/02/02
  • 更新日:2025/09/29
「学問のすすめ」なぜ学ぶの?有名な冒頭はどうつながるの?

「学問のすすめ」なぜ学ぶの?有名な冒頭はどうつながるの?

からぽん/イソップ童話紹介

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この記事は約5分で読めます
要約
「学問のすすめ」の内容紹介。 有名な冒頭「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」 身分制度がなくなり、さまざまな平等になった今、 学問しないと搾取されるよ…という流れに注目した解説です。


天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず

https://www.aozora.gr.jp/cards/000296/files/47061_29420.html

誰でも一度は聞いたことがあるこの言葉です。
「人間はみんな平等ってこと?」と思うかもしれませんが、実はそれは誤解です。

福沢諭吉が本当に伝えたかったのは、身分制度がなくなった今、
「学ばない人は搾取されるぞ!」という厳しい現実でした。

150年前に書かれた『学問のすすめ』、その教えは現代にも通じています。この記事では、当時の時代背景を確認しながら、その本当の意味を解説していきます。

「学問のすすめ」が生まれた背景

この名言の後には、こんな意味の文が続きます。

「平等なはずなのに、
現実を見れば、お金持ちもいるし、貧乏人もいる。
全然平等じゃないよね」(…超意訳です)

福沢諭吉は強調しているのは、
「人は生まれつき平等」ではなく、「機会の平等」の重要性です。


『学問のすすめ』が書かれたのは、身分制度が撤廃された明治時代の初期。これまでの日本では、武士・町人・農民など、身分によって職業が固定されており、与えられた役割の中で生きるのが当たり前でした。

それなのに突然、身分制度がなくなり、人々は自分の力で生き抜く必要が出てきたのです。

ここで重要になったのが「学問」です。

学ばなければ搾取される時代

誰でも学ぶことができるようになったということは、
「学んだ人は裕福になり、学ばなかった人は取り残される」
という現実が生まれたということです。

武士も、これまでは特権によって守られていましたが、
特権がなくなった今、学ばなければ仕事を得ることすらできません

「勉強は面倒くさいし、
必要な時に知っている人に聞いたり任せればいいや」
と思うかもしれません。

しかし、学んでいない人は、その「必要な時」がわかりません

さらに、知識がないことで、

● 詐欺に引っかかる
● 目先の儲けに飛びついて、長期でみると損をする
● 結局、学んだ人に敵わない

などのリスクも生じます。

情報や知識の格差は、現代でも深刻な問題です。

自立のために学ぶ

詐欺にあうなんて極端だと思うかもしれませんが、
頼った識者に悪気がなくても、
自分で学ばず、他人に頼っているだけでは、
結局は他人に振り回される人生になってしまいます

なぜなら、識者にも、その人なりの人生や都合があるからです。

例えば、あなたが学ばずに他人に任せていたとします。
その人はピンチになったとき、あなたを優先してくれるでしょうか?

おそらく、自分や自分の家族を守ることを優先するでしょう。

では、どうすればよいのでしょうか?

答えはシンプルです。
人に頼らなくても生活できるように、自分で学ぶこと。

福沢諭吉は、学問こそが個人の力を高め、
自立した人生を築く鍵だと言ったのです。

国としての生存戦略

ここは当時の世界情勢、社会事情なので、読み飛ばして大丈夫です。

福沢諭吉の視点は、個人の生き方から国の在り方にまで広がります。

当時、近くの大国、清(現在の中国)は、
アヘン戦争でイギリスに屈してから、
さまざまな不平等な条件を押し付けられ、弱体化していました。

「長年、日本が学んできた大国である中国が西洋列強に屈してしまった。」

福沢諭吉は、これを「学問(実学)を軽視したせいだ」と考えていました。

だからこそ、日本が同じ道をたどらないために、
国民がみなしっかりと学び、
国としても強くならなければならないと訴えたのです。

現代にも通じる『学問のすすめ』

現代でも、知識や情報を持たず、
他人の言葉を鵜呑みにする人は簡単に流され、
利用されたり、搾取されたりします。

あらためて現代のリスクを上げれば、

● SNSで流れてくるデマ情報を信じてしまう
● 金融知識がなく、詐欺にあってしまう
● 契約の意味がわからず、不利なローンを組んでしまう
● 学んでいる人との競争には勝てない

これらはすべて、学びが足りないがゆえに起こることです。

経済的にも、政治的にも、社会的にも、
知識や情報を持つ人が優位に立ち、
知識や情報を持たない人は不利な立場に追いやられる。

「学問のすすめ」で書かれた内容は現代にも通じますよね。

当時も今も、学ぶことで、
他人に振り回されずに、自分で判断できるようになる。
だから、自分の人生を生きることができるのです。

まとめ、終わりに

以上、『学問のすすめ』全17編の前半、
「人はみな平等」という冒頭の言葉が
「学問をする理由」につながる流れだけをまとめました。

さらに後半まで読み進めると、
第15編では「情報や知識に振り回されないために、取捨選択が大事だ」
という話も出てきます。

今回参照したのは、
「学問のすすめ」初編、2,3、6,7,8,9,10編です。

特に初編は「学問のすすめ」の本質が詰まった最も重要な部分です。

ちなみに除いた4,5編は、
当時の識者や難しい学問に取り組んでいる学生向けの内容で、
文章も内容もかなり高度です。
…私は4編の序盤で何度も心が折れました。

全編、青空文庫で読むことができます。

▶︎ [青空文庫「学問のすすめ」]

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この記事のレビュー(1
  • 会員ID:xaroLDHL
    会員ID:xaroLDHL
    2025/02/02

    からぽんさん、天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずってそういう意味だったんですね❗️😳 勉学や知識をつけるモチベーションになりました! 有益な情報ありがとうございます^^

    2025/02/02

    レビューありがとうございます。 昔の人って、本当にすごいですよね。

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