- 投稿日:2025/02/09
- 更新日:2025/10/30
はじめに
現在55歳のサラリーマンです。
2025年度から会社の人事制度が変わるので、65歳定年が標準化されます。なんてこったと驚いています。急に延ばされても困りまっせって感じです。
介護の問題も抱えていますので、現時点では60歳退職を目指しています。
人事制度移行期間中の特例措置があるので、退職金は減額されずに受け取れます。これには安心しました。
このようなこともあって、退職一時金と企業型確定拠出年金(企業型DC)を賢く受け取る方法を見つけたいと思っています。
私が受け取ることができそうな予定金額を用いて、シミュレーションしてみました。
①60歳退職時に退職一時金と企業型DCを一時金として受け取る場合
前提条件を以下に整理します。
・入社年:1993年
・会社支給の退職一時金受取時の年齢:60歳(2029年)
・企業型DCの一時金受取時の年齢:60歳(2029年)
・会社支給の退職一時金:760万円
・企業型DC一時金:1450万円
・一時金の合計金額:2210万円
勤続年数は36年になりますので、退職所得控除と退職所得は以下のように計算されます。
※引用元
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm

・退職所得控除額:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
=800万円+70万円×(36年-20年)
=1920万円
・退職所得の金額:(収入金額-退職所得控除額)×1/2
=(2210万円-1920万円)×1/2
=145万円
退職所得の税率はかなり優遇されていますね。
この145万円によって所得税と住民税を計算します。
・所得税(復興特別所得税も含む) = (退職所得 × 税率 - 控除額) × 1.021
=(145万円 × 5% - 0) × 1.021
=約7万円
・住民税=退職所得×10%=145万円×10%=約15万円
となりまして、手取りは以下のように計算されます。
・手取り=2210万円-(7万円+15万円)=2188万円
②60歳退職時に退職一時金を受け取り、65歳時に企業型DC一時金を受け取る場合
先程のケースで受け取ることができれば良いのですが、会社の人事部門にヒアリングしたところ、企業型DCの一時金は65歳からでないと受け取れないという情報がありました。ほんまに、急に制度を変えるのをやめてほしいです...。
ということで、次のシミュレーションを行いたいと思います。
前提条件を以下に整理します。
・入社年:1993年
・企業型DC開始年:2011年
・会社支給の退職一時金受取時の年齢:60歳(2029年)
・企業型DCの一時金受取時の年齢:65歳(2034年)
・退職一時金:760万円
・企業型DC一時金:1680万円(65歳まで5年間運用・年利3%で計算)
・一時金の合計金額:2440万円
先程のシミュレーションと同じように計算します。
・退職所得控除額:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
=800万円+70万円×(36年-20年)
=1920万円
60歳時点で受け取る一時金は、会社から支給される退職一時金760万円のみですので、退職所得控除額を下回ります。よって、60歳時点では税金がかからないことになります。
ここから先がややこしいのですが、がんばって記します。
勤続年数36年ですから退職所得控除は1920万円です。これより退職一時金が下回る場合、控除の枠を最大限使い切ることができないですよね。
65歳で企業型DCを一時金で受け取るなどの場合には、「みなし勤続年数」という考え方を適用するようです。
760万円(60歳での退職金支給金額)/40万円=19年(みなし勤続年数)となり、1993年入社+19年=2012年まで勤続していたとみなします。
2011年から確定拠出年金を続けていますが、上記のみなし勤続年数と重複しない確定拠出年金の拠出年数は拠出完了日(60歳定年時の2029年を想定)までの17年となります。この17年を用いて65歳時の退職所得控除を計算します。
・退職所得控除:40万円×17年=680万円(下表より)
・退職所得=(1680万円-680万円)×1/2=500万円
・所得税(復興特別所得税も含む) = (退職所得 × 税率 - 控除額) × 1.021
=(500万円 × 20% - 42.75万円) × 1.021
=約57万円(下表より)
・住民税=退職所得×10%=500万円×10%=50万円
となりまして、手取りは以下のように計算されます。
・手取り=1680万円-(57万円+50万円)=1573万円
よって、60歳時と65歳時の一時金の受取額の合計は以下となります。
・手取りの合計=760万円+1573万円=2333万円
まとめ
シミュレーション結果を整理すると以下になります。
60歳で両方の一時金を受け取らずに、60歳で会社支給の退職一時金を受け取り、65歳で企業型DCを一時金として受け取る方が税金は多くなりますが、受け取る一時金の合計額は多くなりますね。企業型DCの年利との関係でいろいろなケースがありそうです。
支給額、受取時の年齢、年利、いろいろな要素によって税金の大小が変わりますので、企業型DCやiDeCoの出口戦略は難しいようですね。
なお、年金として受け取ることで税金を減らせるようですが、少なくとも5年間にわたって年金として受け取る必要があるようです。
企業型DCやiDeCoを一時金と年金に分割して受け取ることを検討しておられる方は、年金受け取り期間が少なくとも5年間になるように調整する必要がありそうです。
私は年金で受け取るよりは一時金として受け取り、特定口座で行うインデックス投資に回すことを検討しています。
今回の記事が皆様方にとって良い情報となれば幸いです。
なお、「インデックス投資取崩し研究室」チャットでご教示いただいた内容をベースにして、今回の記事を作成いたしました。
ご教示いただいた皆様方にはとても感謝しております。ありがとうございました。