- 投稿日:2025/03/29
- 更新日:2025/09/29

Ⅰ.きっかけ
令和元年の春のことでした。
私が仕事で不在の間に、母親が一人で在宅していたところ、NHKの集金スタッフが突然訪問してきました。
当時、我が家にはテレビはあったものの、衛星放送を視聴する機器は設置していませんでした。
母は最初、
「地上波の契約はすでにしているので、衛星契約は必要ない」
と丁寧に断ったそうです。
しかし、スタッフは引き下がらず、
「もうお引き取りください」
と言っても
「契約してくれるまで帰らない」
と居座り続けました。
母は次第に不安になり、「早く帰ってほしい」という一心から、結局は衛星契約の書類にサインしてしまいました。
Ⅱ.問題点の発見
私が帰宅すると、机の上にNHKの衛星契約の書類が置いてありました。
母から事情を聞くと、強引な勧誘があったことがわかりました。
私はこの状況におかしさを感じ、インターネットで調べてみました。
すると、消費者契約法によれば、「事業者が消費者の住居から退去しない」など、消費者を困惑させて契約を結ばせた場合、その契約は取り消すことができると知りました。
まさに母が経験した状況は、「消費者契約法」第4条第3項第1号に該当する「不退去」だったのです。
Ⅲ.「取消し」の手続
⭐ 契約取消の手順
調査を進めた結果、以下の手順で契約取消しを行うことにしました。
✅ 1.取消通知の作成
└ ♦️ 消費者契約法に基づく取消しの意思表示を明確に記した文書を作成
✅ 2.内容証明郵便の準備
└ ♦️ 後日のトラブル防止のため、内容証明郵便で送付することに決定
✅ 証拠の整理
└ ♦️ 母の証言や契約時の状況をメモとして残す
⭐ 取消通知の内容
取消通知には以下の内容を含めました。
✅ 契約日と契約番号
✅ 取消しの理由
└ ♦️「消費者契約法」第4条第3項第1号に基づく「不退去」
✅ 今後の請求を停止するよう求める旨
この内容証明郵便を、契約から2週間以内に管轄のNHK放送局宛てに送付しました。
Ⅳ.結果
内容証明郵便を送付してから約3週間後、管轄のNHK放送局から連絡がありました。
結果として、NHK側は衛星契約の取消しを認めることとなりました。
Ⅴ.得られた成果
⭐ 1.経済的メリット
✅ 衛星契約の年間受信料:約¥10,000円(地上波との差額)の削減
⭐ 2.精神的メリット
✅ 不当な契約から解放された安心感
✅ 母の「申し訳ない」という気持ちからの解放
✅ 消費者の権利を守ることができた達成感
Ⅵ.成功のポイント
⭐ 1.法律の知識を活用する
消費者契約法という具体的な法的根拠を示したことが、交渉を有利に進める決め手となりました。
⭐ 2.証拠と記録を残す
契約時の状況を詳細に記録し、内容証明郵便を使用したことで、後のトラブルを防止できました。
⭐ 3.冷静かつ毅然とした対応
感情的にならず、法的根拠に基づいて冷静に交渉したことが成功につながりました。
まとめ
NHKの受信料契約は法律で定められていますが、その勧誘方法が不適切であれば、消費者契約法に基づいて取り消すことが可能です。
私の場合は、強引な勧誘によって母が困惑して結んだ契約を、法的手段で取り消すことに成功しました。
この経験から学んだのは、消費者としての権利を知り、適切に行使することの重要性です。
不当な契約に悩んでいる方は、消費者契約法などの法的手段を検討してみる価値があります。
最後に注意点として、この方法はあくまで不当な勧誘があった場合に限ります。
テレビを所有し、正当に契約した場合は、受信料の支払いは法律で定められた義務ですので、誤解をなさらないようお含みおきいただけますと幸いでございます。