- 投稿日:2025/05/10
- 更新日:2025/10/07

「学校の先生はブラックすぎる!誰かにこき使われるのではなく、自分らしく仕事をしたい……。」
そう思った私が「安定」した公務員の仕事を捨て、個人事業主として塾を始めたのが2015年。
何の当てもコネもない状態から、10年かけて市内トップの塾に成長させることができました。
今回は、塾立ち上げ当初から年商1000万円を超えるまでにやったこととやめたことをまとめます。
この記事が、競合他社との差別化や「自分の強みは何だろう」と悩んでいる人、副業や個人事業主として稼ぐ力をアップさせたいと考えている人の参考になれば幸いです。
塾立ち上げから年商100万円まで
始めは、自分の塾を知ってもらうために徹底的に「ギブ」しました。
自分たちが思いつく限りのサービスをすることで、「〇〇塾っていうのがあるらしい」とお客さん(30代〜40代の保護者)に認知してもらうのが目的です。
具体的には、以下のことを行いました。
近所の子どもたちを相手に無料で授業
私の住んでいる地域は、近所付き合いが盛んに行われています。私が学校の先生を辞めたことは、すぐに近所に広まりました。
「まつい先生、学校の先生辞めたらしいよ」
「まつい先生に何があったんだろうね」
「ずっと学校の先生になりたいって言っていたのに、辞めちゃったんだね」
ひそひそ話が広がるのはいい気持ちではありませんでしたが、「これはビジネスチャンスだ!」と捉えました。
うわさが広まったのを逆手に、近所の子どもたちを対象に全員を3ヶ月間無料で塾に招待しました。
結果、塾に来たのは中学生5人。全員無料です。ここから、私の塾経営生活がスタートしました。
週1回3時間の授業で、授業料は500円
塾に来てくれた5人の中学生の保護者に、「中学を卒業するまで無料にするので、よかったら友達を誘ってください」とお願いしました。
友達を誘ってもらうときは、以下の3つをアピールしてもらいました。
・学校の先生だったこと
・1回3時間の授業を500円で行うこと
・授業料以外のお金はいただかないこと
以下は、当時の私の塾の料金体系です。
・授業料:500円/回
・入会金:無料
・教材費:無料
・年会費:無料
塾のカリキュラムは以下の通りです。
・授業は1回180分
・週に何回来てもOK
・教科は、数学と理科のみ
・1回授業を受けるごと、500円現金手渡し
1回あたり500円で授業を行っていたので、月に20回(180分×20回)来ても10,000円でした。
他の塾の月謝が、週1回(60分〜120分)で10,000円〜30,000円程度。
競合他社と比べて明らかに安かったので、「500円で見てくれる塾があるらしい」「学校の先生だった人が教えてくれるらしい」と話題になりました。
ただ、安いからすぐに人が集まるかといったらそんなことはありません。
来てくれたのは、7、8人。無料で見ている子どもたち5人と合わせて、13人くらいだったと記憶しています。
もちろん大赤字です。毎月通帳の残高がゴリゴリ減っていきます。
認知してもらうことには成功したので、「500円だし1回だけ行ってみるか」と思ってくれた保護者と子どもをいかに満足させるかを徹底的に追求しました。
理科と数学に絞った授業
私が理科の先生、もう1人が数学の先生だったので理科と数学に絞った授業をしました。
私の授業では、身の周りの物を使った簡単な実験や観察を毎週取り入れました。
・水に砂糖や塩、片栗粉、牛乳などを混ぜて溶けるのか確認する実験
・静電気で蛍光灯を光らせる実験
・ムラサキツユクサに食用油を塗り、蒸散量を調べる実験
・自作の石灰水にストローで息を吹き込み、白く濁らせる実験
・並べたコップの上に立つ実験
・ゴム板に取っ手をつけ、机を持ち上げる実験
・コーヒーシュガーが溶けていく様子の観察
上記のような実験や観察を毎週行うことで、「500円で元中学校の理科の先生が勉強を見てくれ、実験までしてくれる」という評判をつくることに成功しました。
しかし、ただでさえ赤字です。これから先も毎週実験を行う予算はありません。
そこで、実験の回数を減らす代わりに無料体験をスタートすることにしました。
1ヶ月の無料体験
私の塾は、元々その日の授業料(500円)をその日に払うシステムでした。
それを、最初の1ヶ月間は何回塾に来ても無料に変更しました。
・500円で元中学校の先生が勉強を見てくれる
・普通の授業にプラスして、実験までしてくれる
・最初の1ヶ月間は、何回塾に来ても無料で見てくれる
上記の3つの評判をつくることができ、塾に来る生徒の数が20人前後に増えました。
そして、うれしいことに「何回塾に行っても無料なら、損しないようになるべくたくさん行きたい」と週3、4回来てくれる生徒が増えました。
これが、1つのターニングポイントでした。
親が子どもを塾に入れる目的は何でしょうか?そうです。成績を伸ばすことや勉強させることですよね。
週に3回、1回あたり3時間理科と数学に絞って勉強した結果、「テストで90点取ることができました」「内申点が上がりました」「理科(数学)が好きになったみたいで、家でも勉強するようになりました」とうれしい言葉をいただくようになりました。
上記の評判にプラスして、「点数を上げる」という塾として大切な実績をつくることができました。そこで、次の作戦に移ります。
友達を紹介したら1ヶ月無料
友達を紹介したら、1人につき1ヶ月無料にするサービスを始めました。例えば、5人紹介してくれたら5ヶ月間無料といったかんじです。
・1ヶ月の無料体験
・無料体験後は1回3時間で500円
・友達1人紹介につき、1ヶ月無料
・入会金や年会費、教材費も無料
これにより、生徒の数を35人くらいにまで増やすことができました。しかし、まだまだ無料の生徒が多く赤字です。次の作戦に移ります。
学童から塾までの無料送迎サービス
中学生は、最大でも中1から中3までの3年間しか塾にいてくれません。小学生の人数を増やすために、地域の学童保育に声をかけて回りました。
しかし、突然声をかけても門前払いなのは当たり前。以下のような営業を行いました。
「塾に学童のチラシを置いて学童の紹介をするので、学童から塾まで無料で送迎する塾があるというチラシを置いてほしい」
6つの学童に声をかけたところ、1つの学童が了承してくれました。
ここまでが、年商100万円までに行ったことです。経費を引くとまだまだ赤字の状態ですが、とにかく認知してもらうことには成功した状態です。
年商100万円から年商400万円まで
次に、年商100万円から年商400万円までに行ったことをまとめます。
生徒が増えたことでニーズが増え、それに応じて授業料を引き上げるフェーズです。
中学生に英語と社会を追加
他の先生を雇うお金がないからとずっと断っていたのですが、「値上げしていいから理科と数学以外の授業もしてほしい」という要望をたくさんいただくようになりました。
そこで、保護者にアンケートを取りました。以下のような内容です。
・ちゃんとしたアルバイトの先生を雇うと、時給1,200円程度支払う必要がある
・アルバイトに来てもらった場合、すぐに先生を辞めさせることはできない
・1回3時間500円をその日払いのシステムでは、アルバイトは雇えない
・その日払いのシステムから、月謝制に変更する必要がある
・授業は曜日ごと別の教科を行うことになる
上記を踏まえて、週4回、1回3時間の授業で授業料は18,000円。これでもよいですか?
アンケートの結果、賛成多数で塾のシステムを大幅に変更することになりました。
あらかじめ英語と社会の先生には目星をつけていたため、翌月から週4回、1回3時間の授業で18,000円にスムーズに変更できました。
これまでの1回3時間で500円だと週4回(月16回)来たとしても8,000円。アルバイトを雇ったとしても、プラスの方が大きくなりました。
小学生に英会話を追加
学校の授業で小学校3年生から英語が始まるようになり、小学生にも英語の授業をしてほしいという要望が増えました。
そこで、小学生の料金体系も大幅に変更しました。具体的には、以下の通りです。
【旧料金体系】
・1回2時間500円をその日払い
・1回の授業で算数のみ実施
・入会金、年会費など授業料以外の料金は無料
【新料金体系】
・2教科で月8,000円
・週2回、1回2時間の授業
・算数と英語を1日ずつ別日に実施
・入会金、年会費など授業料以外の料金は無料
既存の生徒に対する1ヶ月の無料体験
塾のシステムを変更するにあたり、保護者に納得してもらえるよう既存の生徒を1ヶ月間無料にしました。
友達を紹介したら2ヶ月無料キャンペーンの実施
既存の生徒に対する1ヶ月の無料体験に加え、期間限定で友達を紹介したら2ヶ月間プラスで無料になるキャンペーンを行いました。
しかも、友達1人につき2ヶ月間の無料。3人紹介してくれたら6ヶ月無料です。
同時に、2ヶ月間の無料体験も実施。とにかく3年後、5年後の生徒数や利益を増やすために徹底的にギブし続けました。
生徒が増えてきたとはいえ、まだまだ利益はゼロ付近。当時は、ここが勝負時だと思っていました。
中学3年生の入試対策の授業(週2回、1回6時間)を無料でスタート
入塾している中学3年生を対象として、1月と2月の2ヶ月間入試対策の授業を無料で実施することにしました。
友達を誘ってもらい、友達も無料で授業しました。
狙いは、塾の合格実績づくりです。入試直前だけでも塾に在籍していれば、「〇〇高校合格!」という実績に使えます。
授業は私が行うことで、アルバイト代はなし。その年だけで、15人程度の合格実績をつくれました。
年商400万円から年商1000万円まで
無料キャンペーンや合格実績づくりで生徒は増えましたが、利益はほとんどない状態です。
ここから、競合他社に勝つべく「安い」以外の付加価値をつけていきました。
「安い」から「料金は普通だけど料金以上のサービスが得られる」を目指すフェーズです。
国語の授業を学校別に展開
競合他社との差別化ポイントとして、私が真っ先に考えたのが国語の授業のブランド化です。
一般的な塾の国語の授業には、以下のようなデメリットがあります
・学校の教科書に沿っていない、塾オリジナルのカリキュラムである
・学校の教科書に沿っていても、表面的なことを教えるだけである
・学校の教科書に沿っていても、学校別の授業に対応していない
私は、一般的な塾の国語の授業が上記のようになってしまう理由を、以下のように分析しました。
・国語は、教科書が変わるごとに掲載される物語が変わるので、過去のデータや教材が使えなくなってしまう
・国語は、同じ問題でも学校の先生によって模範解答が異なる
・学校の先生によって、問題の出され方が全く違う
・国語は、教科書の順番通りに授業が進まないことも多い
→学校ごと授業の順番が異なるので塾で教科書を使った授業がしにくい
そこで、私の塾では「学校別に、定期テストに出る問題に絞った国語の授業」を行うことにしました。
もちろん、準備は地獄のように大変です。市内の全ての国語の先生の定期テストの問題を徹底的に分析する必要があります。
1度作っておしまいではありません。毎年の定期テストを分析し、「より出やすい問題に絞ったプリント」に日々アップデートさせています。
これまでに国語のプリント作成に用いた時間は、2,100時間以上。しかも、これらのプリントは教科書が変わったら使えなくなる……。
しかし、これによって「学校別、定期テストに出る問題詰め合わせプリント」の作成に成功です。
〇〇先生のAの単元の授業、✕✕先生のBの単元の授業、△△先生のCの単元の授業を、同じ曜日の同じ時間に行うことができるようになりました。
「国語の授業を学校別に見てくれる」「定期テストに出る問題に絞った勉強ができる」
上記のような評判を獲得することができ、ここから5年間で生徒の数を3倍以上に増やすことができました。
オンライン授業のスタート
生徒の人数が増えた結果、毎週誰かしらが欠席する中で授業をするようになりました。
「体調不良で欠席しても何とかなるようにしたい」
そんな思いで、オンライン授業をスタート。具体的には、ライブ配信型のオンライン授業とオンデマンド型のオンライン授業の2つを行うようにしました。
*ライブ配信型のオンライン授業とは、インターネット回線を使い、リアルタイムで双方向のやり取りができる授業のこと
*オンデマンド型のオンライン授業とは、あらかじめ作成された映像を視聴する授業のこと
自分の都合に応じて、2種類のオンライン授業を受けられるようにしたのも、競合他社との差別化になりました。
年商1000万円から現在
年商1000万円を超えてからは、ムダを削減し利益の最大化を狙いました。同時に、サービスの質の向上と「料金以上の価値がある」塾という印象を与えるべく、競合他社にはできないことを考え抜きました。
需要の少ない理科をアルバイトの先生に一任
元々「実験や観察も行う理科の授業」を売りにしていましたが、時代の変化もあり理科の需要が少なくなってきました。
私自身中学校の理科の先生だったので心苦しいところもありますが、相対的に見て需要の少ない理科をアルバイトの先生に任せることを決意。
代わりに、副業のブログアフィリエイトの時間を増やすことにしました。
需要の少ない小学生の理科と社会の授業を終了
試験的に小学校の理科と社会の授業を行ったのですが、思ったより人数が集まらなかったので2年で終了。
国語のプリントづくりの時間に当てることにしました。
夏休みの宿題を無料でサポート
塾の授業とは別に、8月限定で学校の夏休みの宿題のサポートを始めました。
具体的には、以下の内容を行っています。
・自由研究のテーマ決めと添削
・読書感想文の書き方の指導と添削
夏休みの宿題の中でも、特に大変な2つに絞って無料サポートをしています。
今後は、内容をグレードアップして有料サービスにすることを検討中です。
【自由研究】
評価される自由研究のレポートの書き方の指導→私が決めたテーマで実際に塾で実験→レポートの作成→添削
【読書感想文】
読みやすい読書感想文の書き方の指導→私が下書きを作成→下書きを基に読書感想文を書く
今年から、上記の内容2つ合わせて2,000円で行う予定です。
評価される自由研究ついては、私自身が理科の先生としてずっと市の自由研究の選考を行ってきた経験があるので問題なし。
読書感想文の下書きの作成は、Chat GPTのプロンプトを作成してあり、去年までに20個ほど作成しているので問題なし。
上記のような感じです。
リベシティでも、AIを使えるように学長がさまざまな発信をしてくださっていますよね。
私も今はChat GPTなしでは仕事にならないくらい使っています!
2ヶ月の無料体験を1ヶ月の無料体験へ変更
市内トップクラスの塾にまで成長させることができたので、「塾の存在を知ってもらう」ための2ヶ月の無料体験を1ヶ月の無料体験へ変更しました。
「友達を紹介したら2ヶ月無料」を1ヶ月無料へ変更
無料体験期間の短縮と同時に、「友達を紹介したら2ヶ月無料」のキャンペーンを1ヶ月無料へ変更。
期間限定としながらも、コロナ禍もあり最近までダラダラと続けてしまっていました。このままだと永遠に「友達を紹介したら2ヶ月無料」の塾になってしまうと思い、あらかじめ告知したうえで1ヶ月無料へ変更。
「友達を紹介したら2ヶ月無料」のキャンペーンを1ヶ月無料へ変更しただけで、年間の利益が5%近くアップしました。
言ってしまえば、「改悪」と呼ばれるようなことを多数行いました。しかし、「料金以上の価値がある」と感じてくださっている方が多かったので、ありがたいことに不満は全くでませんでした。
長年、保護者の方と誠実に向き合ってきて本当によかったと感じた瞬間です。
【10年間の塾運営の結論】損して得を取れ!とにかく行動せよ!
個人事業主として10年間塾を経営してきて感じたのは、「自分が動かなければ何も始まらない」ということです。特に、以下の4つは私が個人事業主として働く中で特に重要でした。
・自分から積極的に動くことが大切である
・目先の利益にとらわれてはいけない
・競合他社にはできない自分ならではの強みを考える
・安売りではなく「料金以上の価値を届ける」にこだわることが大切である
塾を始めたばかりの頃は、授業料を無料や500円にするなど、とにかく「知ってもらう」ために動きました。
どんな強みを持っていても、相手に知ってもらわないと「強みがない」のと同じです。個人事業主としてやっている以上、何もしていなくても誰かが見つけてくれて、勝手にたくさん買ってくれるなんてことはありえません。
「待ち」の姿勢ではなく、自分の強みを見つけてアピールし、知ってもらう努力が必要です。
私の場合、学校の先生を辞めて周囲が騒いでいたときに、「無料で勉強を見ます!」と勇気を出して一歩踏み出せたことが幸いしました。
初めはたった5人の生徒。しかし、この一歩が今の塾の原点になりました。
最初は、利益よりも口コミと信頼づくりに全力を注ぎました。本当に「ギブ&ギブ&ギブ&ギブ」くらいの気持ちです。
とにかく、目の前の生徒や保護者が「こんなことまでしてくれるの?」と思うであろうことをやり続けました。まさに、ノーペインノーゲインです。
最初は赤字でしたが、結果的に多くの生徒が集まり、口コミや友達の紹介を通して塾の評判を高めることができました。
しかし、いつまでも「安いだけ」ではやっていけません。
次のステップとして、「料金以上の価値があるサービス」を徹底追求。「学校別の国語の授業」「2種類のオンライン授業」「夏休みの宿題の無料サポート」など、競合他社には真似できない独自の強みづくりを徹底的に考え抜きました。
ビジネスで成功するために、私は常に以下の問いを自分自身に投げかけています。
・自分という商品に、どんな付加価値をつけられるか?
・どうやって自分という商品を知ってもらうか?
・継続的にサービスを提供するために、どうすればよいか?
・今よりもよいサービスにするために、どうすればよいか?
・今よりもよいサービスにしつつ、コストを下げるにはどうすればよいか?
私の次の目標は、ブログアフィリエイトで月50,000円稼ぐこと!そのために、全力で頑張ります!!
この記事が、競合他社との差別化や「自分の強みは何だろう」と悩んでいる人、副業や個人事業主として稼ぐ力をアップさせたいと考えている人の参考になれば幸いです。
みなさん、一緒に頑張りましょう!