- 投稿日:2025/05/24
- 更新日:2025/09/30

はじめに:「褒めているつもり」になっていませんか?
「すごいね!」「えらいね!」
最近、巷では「褒めたほうがいい」「褒める教育」なんて、言われるから、一生懸命、声をかけているのに・・・何で言う事聞いてくれないのよ!!そんな経験、ありませんか?
ありますよね?
僕はあります!
近年、子育てや教育において「叱るより、褒めて育てよう」といった風潮が広がっています。それ自体はとても素晴らしいこと。それは間違いないんです。しかし、友だちや保護者を見ていると、「褒めればいいんでしょ?」という形だけの声かけになってしまってるんじゃないかな~という風に感じます。
実際、同居しているうちの母親(ばあちゃん)はそうです。「分かっているよ、息子よ。最近の子育ては褒めることが大事なんでしょ」と言い、「すごいね~」「えらいね~」とよく孫に声をかけています。
しかし、声を大にして言いたい!
違うんだよ!おばあちゃん!!
むしろ、それは逆効果!!
よかれと思ってるかもしれないけど、むしろ悪いよ!
今回、そんなおばあちゃんのよかれと思っている勘違いを正したい。しかし、同居しており、直接言うと門が立つので、自分の思いをきじにしました。おばあちゃんには言えないけれど、きっと同じように「褒めているのにに・・・」と悩んでいる方がいると思います。
そんな方に、小学校教諭として16年間、そして3児の父として子どもと向き合ってきた経験をもとに、「本当に届く褒め方」について、家庭での実践を意識してまとめました。
テーマは5つ。
起きた事実を伝える(主観を少なく)
タイミング(即時)
その子自身との比較(変化をひろう)
一人の人として見る
次のステップにつながる声かけ
全国のお父さん・お母さん、そしてうちのおばあちゃん、必見ですよ!
1. 起きた事実を伝える:主観ではなく客観で
子どもを褒めようとすると、つい「すごい!」「えらい!」と言ってしまいますよね。
だって、褒めるって「すごい!」「えらい!」でしょ。と思っちゃいますよね。しかし、これは断言します。これは、感想なんですよね。感想が悪いわけではないんです。必要なこともありますし、感情に訴えることも必要です。
けれど、子どもは「なにがすごかったのか」がわからないと、次にどう行動してよいかがわかんないんです。
例えば、宿題をしている時に「すごいね~」と声をかけた。しかし子どもとしては
「きれいな字で書いているから」
「家から帰ってすぐにやっているから」
「難しい問題ができたから」
「自分から取り組んでいるから」
何を褒められているかがわからないんです。だからこそ、客観的に具体的に褒める必要があるんです!
● 客観的な声かけ
「ランドセル、ちゃんと自分で背負ってるね」
「宿題、自分から取り組んでるんだね」
「さっきまでできなかったのに、がんばって跳べたね」
これは、「あなたの行動をちゃんと見ているよ」というメッセージでもあります。
ポイントは、「親の希望」を押しつけるのではなく、「事実として起こったこと」を伝えることです。
あなたは何を褒めているか、事実を具体的に客観的にそのまま言ってあげる。そこに「すごい」「えらい」という感想は必ずしも必要ではないんです。そのままを伝えてあげてください。
● 家庭での応用ポイント
家事の最中でも子どもをチラッと見て、「今○○してたね」とひと言添える
毎日のルーティンの中で「○○が終わったところだね」と進捗を言葉にする
※お父さんが冷蔵庫から調味料スッと取り出せたら、「調味料の場所が自分でわかったんだね~」とお母さんは言ってあげてください。
2. タイミング:「即時フィードバック」が子どもの心に届く
子どもが何かできた瞬間、見てますか?どうですか?
僕は自信をもって見てます!・・・とは言えません。。。
でも、その瞬間を見てあげることが大事なんですね。そして、見るだけでなく「よく見てたよ」「すぐ伝えたよ」というリアクションをすることで、行動と喜びがセットになります。
時間が経ってからの「そういえばさっき…」では、すでに本人の意識は別のところに移っています。
見逃してはいけません。子どもの行動は見逃し配信していませんので、しっかり見てリアクションしてください!
● 即時の声かけの例
お手伝いが終わった瞬間→「ありがとう、すごく助かったよ」
おもちゃを片づけたタイミング→「お、今の動き完璧!」
特別、大げさに言葉を選んで言う必要はありません。ここで大事なことは「見ているよ」という意識だからです。短くても、一言でもいいので、タイミングを逃さず言いましょう。
● 家庭で意識したいこと
見逃さないよう、日常の“間”を観察しておく
スマホや家事で手がふさがっていても、「今、見てるよ」と伝える目線やうなずきだけでも有効
※お父さんが朝、カーテンを開けてたら、お母さん方は軽くうなずいてあげてください。
3. その子自身との比較:変化や成長を見つけて伝える
「○○ちゃんはもっと早くできるのに」
「△△くんみたいにがんばって」
言ってませんか?
言ってますよねー。
ついつい、言っちゃいますよねー。
よくないと分かっているんですよね。でも、言っちゃうんですよね。
上司に「◯◯みたいにやってみろ」
配偶者に「〇〇さんの家庭では」
子どもに「ユーチューバーの〇〇は」
うるさーーーい!俺は、俺なんだよ!他と比べるなよ!!
って思っちゃいますよね。
子どももそうなんです。自分を見てほしいのに何で他の子と比べるんだろって思うんですよ。
ただ、比べること自体は悪いことではないんです。ただし、比べるべきはその子の外ではなく、その子の中。見るべきは、「昨日の自分」「前回の自分」と比べてどうだったかです。
● 具体例
「昨日は途中でやめてたけど、今日は最後までやりきったね」
「前よりも静かにお皿を運べるようになったね」
「前は10分だったけど、今日は9分になったね」
「今朝は1人で起きられたね」
※「今回はトイレットペーパーが無くなった時、入れ替えてくれたね」
● 家庭ならではの良さ
親の声掛けでもいいですし、子ども自身が視覚的にわかるよう日記やチェックリストなどを使うのも一つの手ですね。毎日の変化を目で見ることができますよ。
一言でも、一秒でも、ほんの小さな変化に気づけるのは、一緒に暮らしている親の特権です。
子どもは毎日何かしらの変化、成長をしています。他のだれにもわからなくても親のあなたなら気づいているはずです。あとは、それを伝えるだけです。
いつやりますか?
今でしょ。
4. 一人の人として見る:「子ども扱いしない」から伝わる
「子どもだから」
「まだ小さいから」
思ったり、言ったりすることありますよね。子どもはそれを見事に見透かしています。
もちろん、「子どもだから」が必要な場面もあります。背が低いなどの物理的に難しい場合や、重大な危険が伴う時などがそうでしょう。
しかし、一回、「子ども」という枠を取っ払って我が子を見てほしいです。
子どもも一人の人間。尊重されていると感じたときに、自己肯定感が育まれます。
● 具体的に心がけたいこと
目線を合わせる(上から話しかけず、同じ高さで)
呼び方や口調を丁寧に(ふざけてからかったりしない)
話すときにしっかり聞く態度をとる
意見や感想を聞いて、共感する姿勢を見せる
これは、大人同士が話す時には当たり前のことだと思います。子どももそうです。一人の人間です。一人の人間として接するときに心がけることは、同じように子どもにもしてあげるといいですね。
● 家庭での実践場面
夕食後の団らんで、今日の良かったことをお互いにシェアする
宿題の取り組みや工夫に対して、意図や考えを聞く
※酔っ払ってベロベロでも、一人の人間です
「子ども」としてではなく、「一人の大切な存在」としての関わりが、信頼の土台になります。
5. 次のステップにつながる:「がんばれば届く」声かけを
今、やっていることが子どもにとって簡単すぎる、やって当然ということもあります。そんな時は、いくら褒めたって効果はありません。
子どもは、できたことに満足して終わるのではなく、
「もっとやってみよう」
「今度はこんなふうにしてみよう」
と思えたときに、ぐんと成長します。
● さりげないステップアップの促し
「今日はここまでできたね。明日はあと一つ増やしてみる?」
「これが終わったら、自分でしまうところまでできそうだね」
「今度はお姉ちゃんみたいに時間を計ってやってみる?」
※「次は、テレビをつけっぱなしにせずにベッドで寝てみようか」
ポイントは、“ちょっとがんばれば届きそう”な目標を提示すること。
「え、そんなの無理」と感じさせない程度に、でも期待を込めて背中を押す。その絶妙な距離感が、意欲を引き出します。
おわりに:「褒める」は“希望”ではなく“応援”
どうでしたか?
全国のお父さん・お母さん、そしてうちのおばあちゃん。
褒めるって「すごい」「えらい」だけじゃないというのが少しは伝わったでしょうか。
子どもってすごく敏感なんです。だからこそ、親の声掛け一つで大きく変わります。
子どもの行動や意志に気づき、受け止め、前向きな気持ちで後押しすること。
その連続が、「自分って素敵だな、ここにいていいんだな」という心を育み、「またやってみよう」という自分から挑戦することにつながっていきます。
家庭という毎日を共に過ごす場所だからこそ、できる褒め方があります。
事実を伝え
タイミングを逃さず
変化を見つけ
一人の人として関わり
次の目標をさりげなく添える
その積み重ねが、子どもの「伸びる力」を引き出す原動力になるはずです。
目の前のお子さんを見てください。ほら、キラキラ輝いて見えてきたでしょう。よく見れば伝えられることがたくさんあるはずです。それをたくさん伝えてあげてください。
毎日の暮らしの中に、ひとつでも「いい褒め方」を。あなたのひと言が、子どもの未来の力になりますように。
最後まで読んでくださりありがとうございました。