- 投稿日:2025/05/29
- 更新日:2025/12/10
「病院にお世話になったから、お菓子を持っていきたい」——
高齢のご家族に、そんな相談をされたことはありませんか?
感謝の気持ちは伝えたいけれど、「お菓子を持って行ってもいいのかな?」と迷ってしまうこともあると思います。
今回は、そんなお悩みに、総合病院に勤める医療従事者のひこーぎーがお答えします。
心付けって何?
「心付け」とは、日本の昔からある文化で、冠婚葬祭の時などにサービスを提供してくれた人に対し、感謝の気持ちを表すためにお金や品物を渡す事を言います。
病院の例では、スタッフに菓子折りを渡したり、一昔前のドラマだと手術前に執刀医に封筒を——なんてシーンもありましたよね。
今の時代でも「心付け」はあるの?
実は、今の時代でも見かけることがあります。
特に高齢の方に多いのですが、「お世話になったのだから何かお礼の品を渡すのが礼儀」と考え、お菓子や場合によっては現金を持って来られる方もいらっしゃいます。
しかし、大学病院や公的な病院では、明確に「心付け」をお断りしている施設がほとんどです。それ以外でも、総合病院など大きな病院の多くは「心付け」をお断りしていることが多いです。
心付けが禁止される理由
公平性の担保のため
「心付けをした人が優遇される」または「心付けをしないと不利益を受ける」と思われてしまいます。
たとえ実際に差がなくても、見え方で病院の信頼を失ってしまいます。
病院や医療従事者が患者の経済状況により対応が変わるように見えてしまえば、公平な医療は成立しなくなってしまいます。
病院のルールとして禁止されているから
病院としてはトラブルの原因になりやすいことから、心付けを受け取ることが禁止されていることが多いです。
大学病院や公的病院、民間病院問わず、受け取った場合懲戒対象となるケースもあります。
病院としては、受け取らないことが職員を守る行動になります。
贈収賄と捉えられるリスク
「便宜の見返り」とみなされると、懲戒処分や贈収賄罪などの刑事事件になる可能性もあり、病院の信頼を損なうことになりかねません。
医療従事者の本音と、よくある誤解
心付けが禁止されているので、医療従事者は受け取りを断ります。しかし、渡そうとしている人は、「断るのは形式的なもので、本当は欲しいはず。強く推したら受け取るだろう。」と考える人がたまにいます。
しかし、医療従事者の本音としては「本当に持ってこないでほしい、まったく欲しくない」というのが正直な気持ちです。
もう一度言いますが、本心から持ってきて欲しくないと思っています。
もちろん、気持ちは嬉しいですし、患者さんの多くは「特別扱い」して欲しくてやっているわけではないことは十分わかっています。
ですが、医療従事者としては、金品を受け取るわけにはいかないですし、自身の立場を危うくすることもあります。また、断ったとしても、その場面を他の方に見られて、誤解を与えることもあります。
ですので、トラブルの原因にもなる「心付け」は持ってこない方がこちらとしても助かるのです。
じゃあ、どうしたらいい?
感謝の言葉や手紙で十分です
感謝の気持ちを伝えたくなったら、品物や金品は必要ありません。「ありがとう」の言葉だけで十分伝わります。
どうしても感謝の気持ちを形にしたい場合は、手紙をお勧めします。「お世話になって、すごく良くなりました。ありがとうございます。」と言った内容の手紙は、現場でもたまに届きますが、これは本心から嬉しく思います。
小児科の患者さんなどは、折り紙と一緒にお手紙を書いてくれたりして、これには本当に癒されます。お手紙などをいただいた時は、部署で共有されますので、必ずスタッフが目を通しますので、安心してお渡しください。
普段の挨拶や、ちょっとしたことでの「ありがとう」むしろそれが嬉しい
特別な場面でなくても、普段の通院時に顔を合わせた時に挨拶をしてくれたり、処置などをしてもらった後に「ありがとう」と言っていただける、それだけで気持ちは十分に伝わりますし、いい患者さんだな、この人のために頑張りたいな、と思います。
面と向かっては言いにくい、そんな時は声のポスト
もし、面と向かって言いにくい、手紙を渡しづらい、そんな時は声のポストに投函するのがおすすめです。声のポストはどうしてもクレームに近い声が多く入りがちですが、感謝の言葉やお褒めの言葉などをいただくと、これも大変励みになります。声のポストにいただいたメッセージも、きちんと担当部署に共有されますので、しっかりと気持ちは届きます。
遅れても大丈夫、無理なく伝えられる時に伝えて下さい
お礼を言いたかったけど、退院の準備などで忙しくて伝える暇がなかったり、お礼を言いたい人がその日不在だった、ということがあるかもしれません。そんな時は、声のポストでも、お手紙でも、次の診察の時でも、無理のないタイミングでお伝えいただければ大丈夫。感謝の気持ちは、いつ伝えても遅すぎることはありません。
それでも、感謝を形にしたい!そんな人には寄付がおすすめ
それでも、どうしても、感謝の気持ちを表したい。
そんな時におすすめの方法があるんです。
それは、寄付です。
大きな病院は寄付を受け付けていることが多い
大学病院や公的病院は、研究費や施設維持費、スタッフの育成費などに充てるために、寄付を募っていることが多いです。
寄付は制度が整えられているので、トラブルの心配もなく、安心です。「心付け」の品を買おうと思っていた予算の分だけでも寄付をしていただけると、医療従事者としては、とてもありがたいと思います。
寄付をするときに、寄附金と一緒にお手紙などを添えていただくと、一層こちらにも気持ちが伝わります。
寄付の方法は病院のホームページに記載されていることが多いので、一度確認してみてください。
また、病院への寄附は、寄附金控除の対象になります。所得がある方は忘れずに寄附金控除の申請をしましょう。
寄付は三方よし
寄付は、リベシティの5つの力でも、使う力のうちの一つです。「心付け」の代替行為として、寄付する人にとっては感謝の気持ちを形にできるという満足感があり、受け取る病院にとっては、その善意が大きな力になります。また、社会にとっても医療施設の充実や医療技術の発展に繋がり、まさに「三方よし」の行為と言えます。
感謝の気持ちを行動に移したい方は、ぜひ「寄付」という形を考えてみてください。あなたの善意が、これからの医療を支える力になります。
まとめ
現代の病院では金品や品物の「心付け」は不要です。気持ちを伝えたいときは、直接伝えたり、お手紙に書いたりしましょう。
言葉だけでも気持ちは十分伝わります。もし、どうしてもお金やお菓子を贈りたくなったら、寄付金として病院に贈りましょう。
そのお金は「生きたお金」として、必ず社会の役に立ちます。