- 投稿日:2025/06/03
- 更新日:2025/10/09
酪農場(牛乳を生産している牧場)で働く人が何で牛肉の話?
そう感じた方はぜひこの記事を読んでいただけるとうれしいです☺️
なぜ酪農場で働く私が、牛肉について語るのか?
私は普段、酪農場で働いています。
酪農といえば、「牛乳をつくるお仕事」というイメージが強いと思います。
その通りです!
しかし実は酪農場でも牛肉として出荷される子牛たちが日々生まれているのです。
たとえば、乳牛のホルスタイン種(白黒の牛)のオス子牛です。
牛乳を出すことができるのは出産した母牛、つまりメスの牛です。牛乳を出せないオス子牛は、肉用牛としての道を歩むことになります。
また、ホルスタインに和牛をかけあわせた交雑種(いわゆる「F1」)の子牛や、和牛の受精卵を移植することでホルスタインの母牛からが生まれてくる和牛子牛もいて、この子牛たちはお肉を生産する牧場で大事に育てられて、みなさんの食卓に並びます。
さらに牛乳を出してくれたホルスタインも最後はお肉として、私たちのために命を繋いでくれています。
つまり、牛乳を生産する場でも、「お肉になる命」と日々向き合っているということです。
だから私は、牛肉を選ぶときは店頭に並ぶまでの背景にも目を向けて選ぶようにしています。
海外産牛肉?国産牛肉?
最近は物価も上がっていて、食材選びはますますシビアになります。
そして、お肉は海外産の方が国産より安く手に入ることが多いです。
もちろん、「安いお肉が悪い」なんて思っていません。
海外産でも美味しいし、安全性もきちんと守られていて、海外の農家さんが育ててくれたお肉なので、選択肢のひとつとしてとてもありがたい存在です。
でも私は、大学で畜産を学び、自分で買い物をするようになってから、なるべく日本で育った牛肉=国産のお肉を選ぶようにしています。
それは「品質が良いから」という理由ではなく、その背景にある“育てた人たちの姿”がより身近だからです。
耳標番号から見える「牛の一生」
スーパーのパックや焼肉屋のメニューなどで、牛の耳標番号(10桁の個体識別番号)が書かれているのを見たことはありませんか?牛の耳につけられた黄色いタグに書いてある番号です。耳標は子牛が生まれたらすぐに装着し、大きくなっても同じ番号で管理されます。
実はあの番号、誰でもネットで検索できるんです。
検索すれば、その牛が「どこで生まれて、どこで育って、どこでお肉になったのか」まで分かります。
調べてみると中には、自分の地元の近くで育った牛だったり、北海道から九州まで、まるで日本を旅してきたかのような牛もいます。たまに知り合いの酪農家さんのお名前もあったりします。
普段は見えにくいけれど、一頭一頭に物語があるということを、あの番号はそっと教えてくれます。
「使う力」食費にはお金をかけたい
リベシティに入って「使う力」も学んでいます。
稼いだり、貯めるだけではなく、どこに使うかも重要なマネーリテラシーなのだと思っています。
「買い物は投票しているのと同じ」
食費にお金をかけると言っても、暴飲暴食するわけではありません。私は自分が応援したいもの、特に畜産業界では選んで使うことを継続していきたいと思っています。
「安く買えたから満足」
でも、たとえばちょっとだけ高くても、背景を知った上で「これを選んでよかった」と思える買い物ができたら、それもまた素敵な買い物だと思います。
食べ物の選び方ひとつにも、自分の考えや気持ちをのせてみる。
それだけで、食卓はもっとあたたかく、納得感のあるものになる気がしています。
最後に|小さな選択が、未来をつくる
私は、「絶対に国産を買うべき!」と伝えたいわけではありません。
「そういえば、これは誰かが育ててくれた命なんだよな」
「どこで育った牛なんだろう」
そんなふうに、ほんの少しでも生産現場に目を向けて、より身近に感じてもらえたら嬉しいなと思っています🐮