- 投稿日:2025/06/18
- 更新日:2025/09/29
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1.税務署職員が来た
2021年のある日、当時はコロナ禍で自宅で仕事をしていました。その時、私を訪ねて来客がありましたが、私は手が離せなかったので、妻が対応しました。後で妻に誰が来たのか聞くと、税務署の職員が納税について調査に来たとのことでした。
職員が妻に説明した内容は、
「ここ数年間、ご主人は日本で得た株の配当収入をタイに持ち込んでいたが、それをタイの所得として申告していませんでした。申告の修正を行う必要があります。修正後は、追加で税金がかかりますよ」
でした。
「えー、そんなの聞いてないよ~!」
後日、私は税務署に出向いて、担当者に直接詳細を聞きました。
2.税務署職員とのやりとり
税務署職員とのやりとりは、だいたいこんな感じでした。ちなみに職員は、私が日本で持っていた株の配当金額(円)を正確に把握していました。
以下 👨🦰税務署職員 😞私
👨🦰あなたはこの数年間、日本で株の配当がありましたね。
😞はい
👨🦰その配当金をタイに持ち込みましたか。
😞はい
👨🦰配当金が出た年に、そのお金をタイに持ち込んだら、タイ国内での所得と合算して確定申告をしないといけないんです。
😞そうなんですか。知りませんでした。
👨🦰タイに持ち込んだのは、何年ですか。
😞2017年、18年、19年です。でも、2020年は持ち込んでいません。
👨🦰そうなると、2017~19年の確定申告を修正する必要があります。意図的に申告をしなかったというわけではないので、延滞金のみが課されます。延滞金は1か月1.5%となっています。
😞そうなんですか…
👨🦰タイの銀行に着金した日と送金額が分かるものを後で提出してください。
😞はい、わかりました。
(注意📢 タイ国外での所得をタイに持ち込んだ場合の規則は、当時と2025年現在では異なる点があります。詳細は、「6.タイの税制についての情報源」のリンク先から確認してください。)
3.追徴課税を払った
税務署で職員からの説明を受けて納得したので、追徴課税を払うことにしました。本来の納税額との差額に延滞税が加わって、結構な額になりました。
2017年の分が、約53,000バーツ(延滞43か月)
2018年の分が、約46,500バーツ(延滞31か月)
2019年の分が、約25,000バーツ(延滞14か月)
合計 124,500バーツでした。
当時バンコク〜東京の往復の格安航空券は、約1万バーツでしたので、約10回日本に帰れるぐらいの額です。
追徴金は、職員から説明を受けた後、税務署の会計で支払いました。支払いは、銀行アプリによるQR決済で行いました。
4.その後の対策
このような申告漏れが起き、追徴課税を払うことになった原因は、何と言っても、タイの所得税の仕組みを知らなかったことです。
今回の追徴課税があって以来、私はタイの所得税について自分で調べたり、タイの税制に詳しい専門家(公認会計士・税理士)に相談をしたりしました。
結果として、その後は日本で得た株の配当金を必要以上にタイに送金しないようにしました。また、タイで課税されないように、送金する時期をきちんと計画するようになりました。
5.まとめ
今回の件を通じて学んだことは、以下の3点です。
①国外源泉所得をタイに持ち込んだ場合、タイで課税される可能性があること
②タイの税制について知識を得ることの重要性
③税制は変わるので、最新情報を確認することの重要性
海外で生活していると、自国と現地の税制の違いに戸惑うことがありますが、だからこそ「知らなかった」では済まないリスクが潜んでいます。常に最新情報を得ていくことが必要でしょう。
現在海外で生活している方、そして今後海外移住を検討している方にとって、今回の私の経験が少しでも参考になれば幸いです。
6.タイの税制についての情報源
・「タイの税制」(独立行政法人日本貿易振興機構)
https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_04.html
・『タイ国税務小冊子2024/2025年』(PwCタイ)…PDFダウンロード
https://www.pwc.com/th/en/tax/assets/thai-tax/thai-tax-booklet-2024-25-jp.pdf
・「タイ国内居住者の国外源泉所得に対する課税原則」(ZERO ASIA LABORATORY CO., LTD.)
https://zero-asia.biz/information/income_tax_01.html
・YouTube「11月20日発令、タイ所得税法改正追加条文。国外源泉所得の持ち込みに対する課税、追加条文。」(【国際会計税務チャンネル】公認会計士 税理士 相川聡志)