- 投稿日:2025/06/29
- 更新日:2025/10/01

はじめに
LINE公式アカウントの拡張ツールとして有名な
どちらも高機能なツールとして知られていますが、
クライアント様が小規模店舗である場合──
「どちらを提案するのがベストか?」
「無料プランで始めて後悔しないだろうか?」
と、構築者としては悩むポイントも多いと思います。
実は僕自身、これまでずっと「エルメ」一択で構築をしてきました。
理由はシンプルで、
飲食店のような小規模事業者にとっては、無料で始められることはとても大きく、
「導入コストの低さ」と「必要機能が揃っていること」
の両立が重要だから。
ただ、最近になってLステップにも無料プランが登場。
「無料から始められる」選択肢として、エルメとLステップが並んだことで、
「じゃあ結局、どっちがいいの?」
という疑問が改めて浮かび、実際に触って比較してみることにしました。
この記事では、小規模店舗向けの構築者目線で、
「Lステップとエルメ、どっちから始めるのが最適か?」
を、段階的に比較しながらわかりやすく解説していきます。
比較の前提条件
今回の比較は、あくまで
「小規模事業者が無理なく導入できるLINE拡張ツール」 を選ぶこと
を前提にしています。
特に意識したのは、以下のようなケースです:
✅ できるだけ初期費用を抑えてスタートしたい
✅ 最低限の分析やセグメント分けを活用して効果的に運用したい
✅ 拡張ツールは使いたいけど、いきなり月3万円以上はちょっと厳しい
公式LINE単体ではどうしても限界があるため、
今回はLステップとエルメ、
どちらかの拡張ツールを導入する前提で話を進めていきます。
また、全てのプランを比較すると複雑になりすぎるため、
この記事では以下の3ステージに絞って、構築者目線で比較していきます:
📌 比較ステージ①:無料プラン同士の比較
📌 比較ステージ②:最安有料プラン同士の比較
📌 比較ステージ③:配信通数と運用スタイルについて
さらに、比較する機能も「管理者の使いやすさ」や「配信設計のしやすさ」だけでなく、
実際のユーザー体験に影響する要素や、マーケティング的な活用可能性を重視して選定しました。
具体的に比較するのは、以下の6項目です:
✅ 月額料金
✅ 月間の配信可能な通数
✅ リッチメニュー出し分け
✅ フォーム作成数
✅ 条件分岐
✅ 流入アクション(経路に応じた動きの設定)
では早速、無料プランから見ていきましょう!
📌 比較ステージ①:無料プラン対決
まずは、Lステップとエルメの無料プランを一覧で比較してみましょう👇
それでは、それぞれの項目について簡単に解説していきます👇
✅ 月額料金・月間配信通数
どちらも月額0円で始められるのが大きな魅力。
Lステップは月200通の制限があるのに対して、
エルメは約1,000通まで配信可能。
配信ボリュームを考えると、無料プラン同士ならエルメに軍配が上がります。
✅ リッチメニュー出し分け
リッチメニューをセグメント別に出し分けられるのは、ユーザー体験の質を左右する重要な機能。
無料プランでこれが使えるのはエルメのみ。
特に来店頻度や属性ごとに見せ方を変えたい飲食店などにはありがたい機能です。
✅ フォーム作成数
Lステップはフォーム数に制限がなく、自由度が高いのが特徴。
エルメは最大3つまで。
とはいえ、実際の運用で3つ以上のフォームを使うケースは少ないため、
実用上は大きな差になりにくいかもしれません。
✅ 条件分岐(タグ処理)
ユーザーの行動に応じた細やかな動線設計を行いたい場合、条件分岐は重要なポイント。
Lステップは無料プランでも対応可能。
一方、エルメは有料プランからの対応です。
✅ 流入アクション設定
「どの導線から登録されたか」を把握できるのが、流入アクション機能です。
Instagram、LP(ランディングページ)、チラシなど、流入元ごとにタグを自動で付けておくことで、後からどの経路が効果的だったかを分析することができます。
たとえば、
•Instagram経由の登録者が多いのか?
•チラシから登録した人はクーポン利用につながっているのか?
といった分析に役立ちます。
エルメは無料プランでも3つまで設定可能なのに対し、
Lステップは無料プランではこの機能は使えません。
ただし、Lステップでも
「友だち追加後のアンケート」で「どこでこのLINEを知りましたか?」と聞き、
回答に応じてタグをつける方法で代用は可能です。
とはいえ、
お客さんの自己申告になるため、正確性や手間の面では劣ります。
「どこまで自動で正確に把握したいか」によって選び方が変わってくる部分です。
次は、最安有料プラン同士の比較に進んでいきます!
📌 比較ステージ②:最安有料プラン同士の比較
無料プラン同士では「配信通数」「リッチメニュー出し分け」「流入アクション」の3点でエルメに優位性がありました。
では、有料プランになるとどう変わるのか?
ここでは、
Lステップの「スタートプラン(5,000円)」と
エルメの「スタンダードプラン(10,780円)」
を比較していきます。
✅ 月額料金・月間配信通数
• Lステップ:5,000円/月(5,000通まで)
• エルメ:10,780円/月(配信通数は無制限)
エルメはLステップの約2倍の料金ですが、そのぶん配信通数が無制限。
5,000通を超える配信を想定するなら、
長期的にはエルメのほうがコスパが良くなる可能性があります。
✅ リッチメニュー出し分け
• Lステップ:不可(※スタンダードプラン21,780円から対応)
• エルメ:制限なし
有料プランでも、Lステップのスタートプランでは出し分けができません。
ユーザー属性に応じたリッチメニューの切り替えは、飲食店やサロンなどで重要になる機能のため、
ここは明確な違いとして意識したいポイント。
✅ フォーム作成数
• Lステップ:制限なし
• エルメ:制限なし
どちらも制限なくフォームを作成できるため、
アンケート・来店予約・事前ヒアリングなど、様々な場面に対応可能です。
✅ 条件分岐(タグ/セグメント処理)
• Lステップ:対応
• エルメ:対応
どちらのツールも、ユーザーの属性や行動に応じた分岐設計が可能です。
ステップ配信やタグベースでのメッセージ出し分けなど、
高度な運用にも対応できます。
✅ 流入アクション設定
• Lステップ:不可(※プロプラン32,780円から対応)
• エルメ:制限なし
Instagram、LP、チラシなど、登録経路ごとの分析や動線管理が必要な場合は、流入アクション設定が重要。
ここでも、Lステップは非対応であるため、エルメに軍配が上がります。
Lステップではプロプランでしか使えませんが、
アンケートを活用した代替手段については無料プラン比較部分で、前述しています。
詳しくはそちらをご覧ください
⸻
このように、最安有料プランにおいても
「リッチメニューの出し分け」や「流入アクション設定」など、
ユーザー体験の最適化に関わる要素では
エルメが優位な印象です。
とはいえ、
月額約5,000円という料金差をどう捉えるか? によって、選択は分かれるところ。
費用を抑えて最低限の機能で始めたいならLステップ、
やや高くても体験設計の幅を広げたいならエルメ、
といった考え方ができそうです。
ただし、ここから先は
「月間配信通数」と「どんな運用スタイルを想定しているか?」
によって選ぶべきツールが変わってくる場面もあります。
次は、その“分かれ目”をもう少し深掘りしていきます。
📌 比較ステージ③:配信通数と運用スタイル
LINE公式アカウントを運用する上で、
最初に確認しておくべき重要な指標の一つが「配信通数の上限」です。
一見、無料プランでスタートすれば初期コストを抑えて運用できそうに思えますが、
「毎月どれだけ友だちが増えるのか」、
「月に何回配信を予定しているのか」
──この2つの要素によって、
無料プランが機能し続ける期間は大きく変わってきます。
特にスモールスタートを考えている方にとっては、
“いつまで無料プランで回せるか?”
が非常に現実的な分かれ目になります。
このあとの表では、
実際に「月間の友だち追加数」と「配信回数」を仮定しながら、
それぞれのプランで何ヶ月目に配信上限を超えるかを
シミュレーションしています。
【シュミレーションの前提条件について】
なお、今回の配信通数の比較は、以下の最低限の配信スタイルを前提としています:
・新規の友だち追加時に1通、消費する
・月に2回の定期配信を行う
つまり、1人あたり月に最小3通(初回+2回)を想定した、ミニマムな配信スタイルです。
実際には、
・ステップ配信を入れる
・個別対応でメッセージを送る
・クーポンやアンケートの告知などを加える
といった運用も多く、通数はさらに増える傾向にあります。
あくまでこの比較は、
「どのくらいのスピードで上限に達するのか?」
「どのプランなら何ヶ月くらい余裕があるのか?」
といった目安としての参考にしていただければと思います。
✅【通数とコスト感から見る冷静な事実】
たとえば月に100人ずつ友だちを増やしていく場合、
Lステップでも、
約2年間(25ヶ月)は月額5,000円で配信を継続できます。
月200人ペースでも
13ヶ月目までは月5,000円のまま運用が可能です。
一方で、エルメは無料で1,000通まで対応でき、
有料プラン(上限なし)への移行も月額1万円で済むというのが強みです。
このように、
通数の上限到達タイミング
有料プランへの移行コスト
を冷静に比較した上で、
「どちらが自分の運用スタイルに合っているか」を考えるのがポイントです。
✍️まとめ
LINEの配信ツールを選ぶときに大切なのは、
「どんな体験を届けたいか」と「どれくらいの規模で始めるか」
のバランスだと思います。
たとえば、
• 配信通数が少なくてもいいから、まずは0円で試してみたい
という“超スモールスタート”なら、Lステップは検討の余地があります。
一方で、
• リッチメニューの出し分けがしたい
• 流入ごとの動きを把握して分析したい
• フォームなども含め、できるだけ機能を広く活用したい
といった希望がある場合には、
エルメの方が柔軟で、コスト的にも始めやすいと感じる場面も多いです。
特に「流入アクション」が標準搭載されている点は、
マーケティング視点で見ても頼もしい機能だなと思っています。
実際、私が関わっている飲食店でも、
こうした要素を踏まえて、今はエルメで運用しています。
もちろん、どちらが正解という話ではなく、
どんな使い方をしたいのか、どんなお客さまとの関係性を築きたいのか
によって、選び方は変わってくるはずです。
この記事が、「クライアント様のためのLINE構築」を考えるうえでのヒントになれば嬉しいです。