• 投稿日:2025/08/21
  • 更新日:2025/10/09
【福祉】障害者と親亡き後の備え──なぜ遺言書が必要なのか?

【福祉】障害者と親亡き後の備え──なぜ遺言書が必要なのか?

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桜 梅子@サブカル療育論noteで発信

桜 梅子@サブカル療育論noteで発信

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要約
障害のある子の将来を守るためには、親亡き後の財産分配を明確にしておくことが不可欠。遺言書はトラブル回避と生活保障の要になります。 遺言書の説明と解説をしております。 ご参考になれば幸いです。

こんにちは、🌸桜🌸です。

親亡き後を考えるとき、避けて通れないのが 「遺言書」
「まだ早い」「うちには財産が少ないから関係ない」と思っていませんか?

でも、障害のある子どもを持つ親にとって、遺言書はシンプルかつ強力な備えです。
今回はその歴史的背景と必要性、そして実際にどう作ればいいのかをわかりやすく解説します。

遺言書の歴史的背景

遺言書そのものは古代ローマの時代から存在していました。
日本でも明治民法の制定(1898年)から法的に整備され、
「財産をどう残すか」を本人の意思で決められる仕組みとして使われてきました。

特に戦後の高度経済成長期以降、日本社会では「財産は家族で均等に分ける」相続が基本とされてきました。
しかし障害のある子を持つ親にとっては、
👉 「平等に分ける」では子の生活が守れない という現実がありました。

そのため、親が「障害のある子により多く残したい」と望む場合、遺言書が重要な役割を果たすようになったのです。

なぜ障害者の親に遺言書が必要なのか?

・子の生活を守るための意思表示になる
相続は法律で「子どもは平等に分ける」と定められています。
でも障害のある子にはより多くの支援が必要。遺言書があれば「誰にどれだけ残すか」を明確にできます。

・相続トラブルを防げる
親族間で「誰がどれだけもらうか」で揉めることを防ぎます。

・制度やサービスにつなげやすくなる
たとえば「この財産を生活費に充てる」「成年後見制度を利用する」といった指定も可能です。

・親の想いを子に残せる
お金だけでなく、「どう生きてほしいか」というメッセージを添えることもできます。

遺言書の種類と特徴

1. 自筆証書遺言

自分で紙に全文を書き、日付・名前・押印をしたもの。

メリット

・費用がかからず、すぐに作れる

・自分だけで書けるので、内容を秘密にできる

デメリット

・書き方のルールを間違えると「無効」になることがある

・家の中で保管すると、紛失や改ざんのリスクがある

・相続が始まった後に、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要

2. 公正証書遺言

公証役場で、公証人(法律の専門家)に作ってもらう遺言。

メリット

・法律の専門家が関わるので、形式ミスがなく確実

・原本が公証役場に保管されるので、紛失や改ざんの心配がない

・家庭裁判所での「検認」が不要なので、すぐに使える

デメリット

・作成に数万円〜十数万円の費用がかかる(財産の額によって変動)

・公証役場まで行く手間がある

🌸梅コラム🌸:公正証書遺言っていくらかかるの?

「遺言書は公正証書が安心って聞くけど、お金が高そうで不安…」
そんな声をよく耳にします。

実際にかかる費用は 財産の金額によって変わる仕組み になっています。

💰 公正証書遺言の基本費用
5,000万円までの財産 → 数万円〜10万円前後
1億円くらいの財産 → 10万円〜20万円前後
それ以上の財産 → 数十万円になることもある
(※正確には「財産額に応じて手数料が段階的に上がる」計算方式です)

✍️ そのほかにかかることがある費用
証人を2人立てる必要があり、専門家に依頼すると 1人あたり5,000円〜1万円程度
・財産の内容によっては、登記簿謄本や戸籍の取り寄せ費用が数千円

📌 まとめると
財産が数千万円規模の家庭なら、合計で10万円前後が目安
・財産が大きい場合や専門家に依頼する場合は、20〜30万円程度になることも

🌸 桜からのひとこと
「費用がかかる」と聞くとハードルが高く感じるかもしれません。
でも、家族間に問題がある場合、相続のときに揉めて裁判になると、弁護士費用や時間の方がよほど大きな負担になります。

👉 公正証書遺言は「安心を買うためのコスト」と考えると、実は決して高すぎるものではないかもしれません。

3. 秘密証書遺言

自分で作った遺言を封筒に入れて封印し、公証役場で「これは本人の遺言です」と証明してもらう方法。

メリット

・内容を誰にも知られずに残せる

・公証役場で形式を確認してもらえる

デメリット

・中身は自分で作るので、内容を間違えると無効になる

・家庭裁判所で「検認」が必要

・実際にはあまり利用されていない方式

遺言書の種類のイメージ

・手軽さ重視 → 自筆証書

・安心・確実さ重視 → 公正証書

・秘密を守りたい人向け → 秘密証書(ただし利用は少ない)

🌸梅コラム🌸:公正証書と自筆証書、どっちが高い?

遺言書を作るときに「費用が気になる」という方は多いと思います。
そこで、自筆証書と公正証書の違いをお金の面で比べてみました。

✍️ 自筆証書遺言
ほぼ無料で作れる
 紙とペンさえあればすぐに書けます。
費用がかからない代わりにリスクもある
 形式を間違えると無効になったり、家の中で失くしたり、改ざんされる可能性があります。
👉 「お金をかけずにまず形にしたい人」向け

🖋 公正証書遺言
数万円〜十数万円の費用がかかる
 財産の金額によって手数料が変わります。
 (例:数千万円規模の財産で10万円前後)
証人を頼むとさらに費用がかかる
 専門家に頼むと1人あたり5,000円〜1万円ほど。
その代わり安心感は抜群
 専門家が関わり、原本は公証役場に保管されるので紛失や無効の心配がありません。
👉 「少しお金を払っても確実に残したい人」向け

💡 まとめると…
安さで選ぶなら → 自筆証書(0円〜数百円)
安心で選ぶなら → 公正証書(数万円〜)

🌸 桜からのひとこと
「費用がもったいない」と感じて自筆で書く人もいますが、間違えて無効になれば意味がありません。
一方で「とりあえずの備え」として自筆から始めて、後で公正証書に切り替えるのも現実的な方法です。

遺言書を作るときのポイント

誰にどの財産を渡すかを明確にする

障害のある子どもへの配慮をしっかり書く

実際に管理できる人(兄弟や親族)を指定しておくと安心

財産の分け方だけでなく「思い」を残すことも大切

✍️ 遺言書のテンプレート(自筆証書の場合)

スクリーンショット 2025-08-20 15.39.07.pngまとめ

遺言書は「親の意思」を残せるシンプルで強力な手段

障害のある子どもを守るためには特に重要

公正証書が安全だが、自筆でも正しく作れば有効

財産だけでなく「想い」を残すことが、子どもの安心につながる

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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