• 投稿日:2025/08/25
  • 更新日:2025/09/29
私もヤングケアラーだった ― 経験から伝えたいことと支援のこと

私もヤングケアラーだった ― 経験から伝えたいことと支援のこと

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みっちゃんママ@Amazonせどり

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要約
私は高校生の頃、母が家を出たことをきっかけに、祖父の介護や弟の世話、家事全般を担う「ヤングケアラー」になりました。病院実習や勉強と並行しながらの生活はとても大変で、遊ぶ時間もなく踏ん張る毎日でした。今ヤングケアラーで苦しむ子には「支援を受けてもいい」と伝えたいです。

ヤングケアラーとは?

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「ヤングケアラー」という言葉を聞いたことがありますか?
本来は大人が担うべき家事や介護を、日常的に行っている子どもや若者のことを指します。

近年ようやく注目されるようになってきましたが、当時私が高校生の頃はまだあまり知られていない言葉でした。


大人になった今、ふと思います。
「あの頃の私はヤングケアラーだったんだな」と。


私がヤングケアラーになったきっかけ


私は父・母・弟二人・父方の祖父と暮らす6人家族でした。
父は家庭のことに深入りせず、母が家を支えていました。

ある日、祖父がお風呂に入っているときに、母がキッチンから給湯器のスイッチを誤って切ってしまいました。

ほんの些細なことでしたが、祖父は激しく怒り、母を責めました。母も耐えきれず、荷物をまとめて実家へ。

ChatGPT Image 2025年8月25日 14_58_49.png

子どもだった私は、「この家を支えなきゃ」と思ったのを今でも覚えています。
こうして母がいなくなり、祖父が入院するまでの約4年半、私はヤングケアラーとしての生活を送ることになりました。


ヤングケアラーとしての日常

当時の私は看護科の高校1年生。初めての病院実習を控えて緊張していた矢先に、母が担っていた家事のすべてが私にのしかかりました。

それまで家事は母任せ。最初はガラケーでレシピを調べながら味噌汁や卵焼きを作り、弟の体操服を毎日洗い、買い物や掃除をこなすだけで精一杯でした。

学校から帰って洗濯物を取り込む

買い物をして夕飯の支度

食後の片付け

部活帰りの弟の体操服を洗濯

風呂掃除やトイレ掃除は土日にまとめて

やがて病院実習が始まり、白衣やエプロンにアイロンをかけ、毎日のレポートをこなしながら家事も継続。自転車で片道30分かけて病院に通いながらの生活は本当に大変でした。

ChatGPT Image 2025年8月25日 15_29_11.png

祖父の受診に付き添い、長い待ち時間を共に過ごしたり、入院の同意書を父に渡してもらったり、薬を飲まない祖父に声をかけたりもしました。
さらに弟の受験や中退なども重なり、家庭の責任は一層重くなっていきました。

「やめたい」と思うことは何度もありました。
でも「自分がやらなければ誰もやらない」と思うと、やめることはできませんでした。気づけば、それが“当たり前”の生活になっていました。


ヤングケアラーとしての“その後”


高校卒業後、私は無事に看護師として就職しました。
その直後に祖父が入院し、母も実家から戻ってきました。

「これで少し楽になる」とホッとしましたが、完全に解放されたわけではありません。伯母(祖父の娘)は他県に住んでいたため、お金の管理は伯母が担当し、実際の動きは孫の私。

入院先への洗濯物の受け渡しや、「うどん屋に行きたい」といった外出時の付き添いもすべて私の役割でした。入院費を預かって病院へ支払いに行くこともあり、休みの日や夜勤明けに会計を済ませるのが習慣になっていました。

母が戻ってきても、私は“責任を担う人”であり続けたのです。


当時の気持ち

放課後に友達が遊びに行くのを羨ましく見ていました。私は高校時代に一度も「学校帰りに寄り道する」という経験をしたことがありません。

毎日が学校と家事の繰り返しで、正直つらかったです。
それでも「私しかいない」と思い、なんとか踏ん張っていました。


経験が与えてくれたもの

大変だったけれど、その経験が私に生活力を与えてくれました。

一人暮らしを始めたとき、家族分の家事をこなしてきた私にとって、一人分の家事はとても楽に感じられました。ご飯の量も少なく、余った分はお弁当に。洗濯も2日に1回で十分。職場では白衣を洗ってもらえたので、私服の洗濯だけで良くなり、気が楽でした。


もう二度と戻りたくないからこそ

ただ、もう一度あの頃の生活に戻りたいかと聞かれれば、答えは「絶対に嫌」です。
体力的にも精神的にも限界ギリギリで、思い出すだけで胸が苦しくなります。

だからこそ、今ヤングケアラーとして頑張っている子どもたちには「一人で抱え込まないで」「支援を受けていいんだよ」と伝えたいです。
そして社会の側も「気づいて声をかけ、支える存在」であってほしいと願っています。


今すぐ相談できる全国共通の窓口

私自身は当時、誰かに助けを求めることができませんでした。
「大丈夫」としか言えず、支えてくれる大人に頼ることもできませんでした。

でも今は違います。
全国には電話やLINEで匿名のまま相談できる窓口がたくさん整っています。
まずは「しんどい」と一言でも伝えれば、そこから地域の支援へつないでくれる人がいます。


📞 児童相談所相談専用ダイヤル(0120-189-783)
/24時間対応・通話料無料

📞 24時間子どもSOSダイヤル(0120-0-78310)
/いじめ・生活の悩みも含めて24時間対応

📞 子どもの人権110番(0120-007-110)
/平日8:30〜17:15

💬 親子のための相談LINE(平日9:00〜17:00)

💬 ほっと一息LINE(平日18:00〜22:00)

💬 ヤングケアラーズキャリアLINE(平日11:00〜20:00)

もし今ヤングケアラーとして悩んでいる子がいるなら、ひとりで抱え込まずに、まずはこのような窓口につながってみてほしいです。


最後に

私よりももっと大変な経験をしてきた方も当然いると思います。
けれど、これは「私にしか書けない私の体験談」です。

不幸自慢をしたいわけではありません。
当時は「ちょっとおかしいな」と思いつつも、世間を知らなかった私は「誰も家事をする人がいないから」「世話をする人がいないから」と自分に言い聞かせ、必死に頑張ってきました。

もしこの文章を読んで「自分だけじゃないんだ」と感じてくれる人が一人でもいたら嬉しいです。
そして今ヤングケアラーとして頑張っている子どもたちに、少しでも支援と安心が届くことを願っています。

現在、祖父はすでに他界しており、他の家族とは良好な関係を維持できています。

今は一児の母として看護師として働きながら絶対にこの子をヤングケアラーにはしないぞ!と決意を胸に日々頑張っています。

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